現役採用人事の本棚 私の3冊(第6回:アグリゲート)


採用人事は、企業の成長を担う人材を発掘する大切な仕事です。とはいえ、担当部署の人数が少ない場合は、ステップアップしたくても相談相手が見つけられないケースがあります。連載「現役採用人事の本棚 私の3冊」では、現役の採用人事担当者から聞いた、業務のスキルや心構えを培うおすすめの本3冊を紹介します。

 
 

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第6回 株式会社アグリゲート 浅岡絵理香さん

 

【プロフィール】
採用人事の業務歴:3年目
担当業務:アルバイト採用、中途採用
 
株式会社アグリゲートは、「未来においしいをつなぐ、インフラの創造」をミッションに掲げ、都市型八百屋「旬八青果店」の運営を起点としたSPF事業(仕入・物流・製造・販売事業)、HR(ヒューマンリソース)事業、PR地域活性事業を行っている。
 
浅岡さんは2014年5月にアルバイトとして入社。社員昇格後、店長やエリアマネジャーを経験。人材や教育の大切さを感じ、「求める人材を、自ら採用したい」と思うようになる。産休・育休を経て、教育・人事兼経理労務担当へ異動。
 
働く環境を変えることで、転職者は大きな希望と少なからずの不安を抱くもの。だからこそ、採用前に互いのギャップを埋めようと、真摯に対話する方針で採用活動にあたる。

 
 

採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?

 
 

◆『どこでも誰とでも働ける 12の会社で学んだ”これから”の仕事と転職のルール』

(尾原和啓著/ダイヤモンド社)
 
育休から復帰する頃に手に取った一冊です。子育てによるライフスタイルの変化で、漠然と不安を抱いた頃でした。「このまま仕事を続けられるか」「周りに迷惑をかけないか」と悩み、タイトルの「どこでも誰とでも働ける」という言葉に吸い寄せられました。
 
この本のタイトルには、「どこで働いたとしても、周囲から評価される人材になる」と、「世界中のどこでも、好きな場所にいながら、気の合う人と巡り合って働ける」の2つの意味が込められています。
 
今は、AIが進歩し、10年後にはこれまでになかった職業が出てくると言われる時代になりました。著者の尾原和啓さんは、マッキンゼー・アンド・カンパニーや株式会社リクルートなど12回の転職を経験した方です。これからどんなに時代が変化しようとも、乗り越えていける働き方が書かれています。
 
「仕事を信頼して任せてもらうには」「結果を出すには」といった悩みのヒントになる実践的な内容が端的にまとめられているので、人事として社内メンバーと関わる時にも参考になりますね。
 
個人的には、働く姿勢として「ひたすら相手のためになることをギブし続けること」という言葉が印象的でした。読み終わるころには、「働く場所がどこであれ、積極的に関わることで新たなステージを切り拓いていける」と心が奮い立ちます。
 
仕事内容や職場にマンネリを感じた時にも、ぜひ読んでほしいですね。「今の職場で、もっと自分にできることがある」と気持ちが切り替えられるはずです。

 
 

◆『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』

(松浦弥太郎著/講談社)
 
私が25歳の時に書店で見かけて購入しました。著者の松浦弥太郎さんが、雑誌「暮らしの手帖」の編集長時代に書かれた本です。松浦さん自身も25歳の時には知らなかったけれど、知っていたら役に立ったであろうと考える50の心構えが載っています。
 
25歳というと、大学を卒業して社会人3年目を迎える人もいるでしょう。仕事に慣れてくる一方で、ちょっとした不満が出てきたり、周りの活躍を目にして焦燥感に駆られたりしますよね。
 
「小さな約束こそ守る」「失敗を成功に変える」など、本書の「やってみたいこと」の一つひとつは、当たり前のように感じる心構えもあるのですが、「じゃあ全部できているか」と自分を振り返ると、そうとは言えない部分もあり、参考になります。心構え1つにつき2~3ページにまとめられているので読み進めやすく、当時の私は、「基本に立ち返ろう」と一気に読み進めました。
 
印象的なセリフは「収入とは、人に与えた感動の質量に比例するものです」。この本を読んで、周りに左右されず、自分の軸をもって社会人としての経験を積み重ねていきたいと思えるようになりました。

 
 

◆『思わず考えちゃう 』

(ヨシタケシンスケ著/新潮社)
 
出産後、手に取るのは子どものための絵本が中心となりました。この本は、子どもが大好きな絵本作家・ヨシタケシンスケさんのエッセイ本です。大人向けのエッセイですが、子どもと一緒に読もうと購入しました。
 
エッセイの内容は、ヨシタケさんが日々の合間にスケッチしたイラストについての書き起こしです。前半は子育てを中心にほんわかとした内容ですが、今回おすすめしたいのは後半の「ねむくなるまで考えちゃう」という章です。
 
この章では、ヨシタケさんの視点で仕事の価値観などが書かれています。これまで私が手に取ったビジネス本では「できないことをできるようにする」「自分で壁を超えていく」という内容がほとんどでしたが、「できないことをできないままにするのが仕事」など、ヨシタケさんの思いが気負わない言葉で書かれています。
 
採用人事はたくさんの人とコミュニケーションを取ります。時には、人の悩みや課題に直面することもありますから、そういう場面で別の角度から考えるのに大変参考になりました。
 
とくに印象に残ったのは「全ての経験は回収できる」という言葉です。専門性を高める大切さや、与えられた仕事をいかに楽しむかという経験は、今後の人生に必ず繋がると思えますよ。

 
 

【自社での取り組み紹介】求める人材を的確に採用するには?


採用人事の仕事は、採用する相手の人生のミッションが、会社のミッションへの共感にどうつながるか、仲間として一緒に走れるかを考えながら対話することが大切です。パズルのピースを埋めるような作業で、大変ではありますが、自分のやりがいにもつながります。
 
アグリゲートの社員募集では会社の状況をありのまま伝えるほかに、募集の背景や会社からのメッセージを掲載しています。これは、なるべくイメージギャップの少ない形で入社してほしいから。未経験でも、会社のミッションに共感し、挑戦してみたいというやる気のある方であれば歓迎しています。社員として入社する場合は、会社の目指す姿に対して、足りない部分を「ないからできない」ではなく、「一緒に作っていきたい」と考えてくれる方に入社していただきたいですね。
 
また、入社後は1カ月後、3カ月後、半年後に面談の機会を設けています。入社前と後では、会社に対してギャップを感じてしまうものです。問題が大きくなる前に信頼関係と話ができる環境を新入社員と築き、小さなSOSも見逃さないようにしています。
 
とはいえ、すべてをキャッチするのは難しい場合もあります。今後の体制を考えながら、改善しつつ取り組んでいる最中です。
 
なるべくイメージギャップの少ない形で入社してほしいと考えるのは、どこの企業も同じでしょう。だからこそ、ホームページなどでは企業のいい面だけでなく、課題やそのために取り組んでいることをありのまま公開しています。
 
選考段階で、一緒に働くメンバーと話す機会を複数回設けることもおすすめしたいです。アグリゲートは小売りをやっているので、選考状況に応じて入社前に現場をより深く知ってもらう体験として店舗のシフトに一度入っていただくこともありますよ。

 
 
 

TEXT:ゆきどっぐ
EDITING:Indeed Japan + ノオト

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