サステナビリティ、SDGs、ESG、CSR……それぞれの意味は?
そもそも「サステナビリティ」とはなんでしょうか。関連して使われる言葉にSDGs、ESG、CSRなどがありますが、いずれもきちんと説明ができる人は多くはないと思います。それぞれどのような意味なのか、改めて確認をしていきましょう。
◆「サステナビリティ」は持続可能な開発・発展を目指し長期的に行動していくという概念
1992年にリオデジャネイロで開催された、地球サミットから広まり始めた「サステナビリティ(Sustainability)」という言葉は、環境・社会・経済などあらゆる場面において持続可能な開発・発展を目指して長期的に行動していくという概念です。
◆持続可能な開発目標を意味する「SDGs」
サステナビリティの概念に基づいて2015年の国連サミットで採択されたのが「SDGs(Sustainable Development Goals)」です。「持続可能な開発目標」と訳され、よりよい地球環境や国際社会を継続するための、ゴールやターゲットを定めた国際目標で、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットで構成されています。
◆企業の長期的な成長手段を意味する「ESG」
持続可能な社会の実現のため、企業の長期的な成長に重要な、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点の頭文字を合わせたのが「ESG」です。ESGは企業の長期的な成長のための「手段」と言えます。
◆企業の社会的責任を意味する「CSR」
「CSR(Corporation Social Responsibility)」は企業の社会的責任を意味する言葉です。企業は利益だけを求めるのではなく、社会や消費者への責任を負うべきであるとするもので、法令順守や環境に配慮した商品の提供などが求められています。
企業のCSRを意識した経営活動や、ESGによる長期的な成長は、結果的にサステナビリティの向上にもつながると言えます。
次に具体的に企業のサステナビリティに資する取り組みについて見ていきましょう。
企業のサステナビリティに資する取り組みとは?
企業におけるサステナビリティに資する取り組みには、消費者の立場からですと「繰り返し利用できる素材で製品をつくること」や「空気を汚さない電気自動車を開発・定着させること」などを思い浮かべるケースが多いかと思われますが、「社員の働きやすさを目指した取り組み」や「個人・個性を重視した取り組み」といった、企業の内側での動きも該当します。
こうしたアクションを行っていくことで、同じくサステナビリティを意識した取り組みを行う企業との取引の増加といったビジネスのネットワークや幅が広がる可能性から、省資源・省エネによるコスト削減・生産性の向上、そして従業員の職場への満足度アップや離職防止など、様々なメリットにつながる可能性があります。
さらに、顧客や消費者からの「環境や社会に貢献している企業」というイメージアップにつながることもあります。企業がサステナビリティに取り組むということは、幅広い範囲に影響があるものなのです。
しかし、裏を返せば、多くの企業がこうした取り組みを進めるなかで、その流れに乗り遅れてしまった場合、相対的に市場での競争力の低下につながる可能性があるため、規模感や業界を問わず、いずれの企業も意識をしていく必要があると考えられます。
そうしたなか、前述のとおり、帝国データバンクの『SDGsに関する企業の意識調査(2021年)』によると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が55.1%となっている一方で、「中小企業」では積極的な企業は36.6%となっており、サステナビリティへの取り組みに対する意識は企業規模で差が表れている現状があります。中小企業はどのような状況なのでしょうか。
中小企業がサステナビリティに取り組む上での課題
中小企業においてサステナビリティに資する取り組みがなかなか進まないでいる状況には、まず大きな理由として「そもそも何がサステナビリティに資する取り組みに該当するかわからない」という可能性が考えられます。
これには、今現在「サステナビリティへの取り組みの必要性を感じているが、何から手を付ければ良いか分からない」というケースのほか、自社の事業やそれに付随する活動がサステナビリティにつながるものでありながら、それを認識できていないケースも含まれます。
後者はつまり、「実は既にサステナビリティに資する活動を行っていながらも、それに気づいていなかった」ということで、公益財団法人全国中小企業振興機関協会の『ポストコロナ時代における規模別・業種別に見た中小企業の経営課題に関する調査結果』によると、SDGsに沿った自社事業の整理等を行っていない企業のうちの45.8%、そもそもSDGsを知らなかった企業のうちの35.7%が、1つ以上の SDGs 関連の取り組みを行っていたというデータからそれが伺えます。
「サステナビリティに資する取り組み」と考えられる活動は意外と幅広く、それぞれの企業で既にいずれかの活動が行われているかもしれません。しかし、どれが該当する取り組みと言えるのかがわからなければ、さらなる改善も強化も難しくなります。
新規で取り組みを進めるにせよ、既存の活動をより一層推し進めていくにせよ、適切なサステナビリティに資する取り組みを進めていくためにも、次のような視点から自社の事業や体制を改めて確認していきましょう。
◆ビジネス、取引などを通じての取り組み
- サステナビリティに資する取り組みをメインに行う事業者やNPO法人を通じてビジネスを展開する
- 開発途上国とされる国々から商品を輸入し、間接的に輸入元の経済発展に協力する
◆自然保護の取り組み
- 川や海の水を汚さないための仕組みを利用して商品を製造する
- これまでは破棄されていた食品の副産物などを活用した商品をつくる。あるいは農業や畜産に活用する
- 社内設備を電力消費量の少ないものに入れ替え、会社全体での電力効率化を目指す
◆教育に関する取り組み
- 地域の人々がサステナビリティを知るためのイベントを行う
- 次世代を担う子どもたちに新たな技術に関する教育を受ける機会を提供する
◆ダイバーシティに関する取り組み
- 役職などに関しての性による区別をなくし、どんな人にも働きやすい環境をつくる
- なんらかの事情により通常の働き方が難しい人々に対し、リモートワークなどの新しい働き方を提供する
ここまで企業のサステナビリティとは何かについて紹介をしてきました。では、実際にサステナビリティに資する取り組みを推進していくためには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。
企業のサステナビリティへの取り組みを進めるために意識するべきポイント
企業がサステナビリティに資する取り組みを進めて行くにあたり、できるだけ全社的なアクションとして捉えることがポイントです。一部の限られたメンバーだけでなく、組織横断的に、多くの人が意欲的に取り組むような空気感の醸成が重要となります。
そのためには、メリットや基礎知識を共有する勉強会なども有効でしょう。その際、取り組みによって実現したいことは明確にし、メンバーで共有するようにしましょう。ただサステナビリティ意識を高めることだけが目的になってしまうことがないよう、注意が必要です。
とはいえ、実際に着手しようとしても、何から始めれば良いか分からないと感じられる方も多いかもしれません。
そこで、すべてを一度に変えようとするのではなく、着実に今できることから進めていき、変化が見えにくい場合でも前進しているという視点の転換が重要となります。
サステナビリティ推進のためには、企業全体の意識改革を行う必要があります。その方法のひとつとして考えたいのが「採用」です。
「採用」を通じて、社内を段階的に変化させていく
企業としての意識改革のための採用とは、サステナビリティの取り組みに対して高い感度を持った人材を積極的に採用し、社内でそうした人たちの割合が増加していくこと、また、様々な特性を持った人材の採用で、従業員の構成割合の多様性が高まっていくことなどを指します。
そうすることで、自社の事業や体制において、どの部分がサステナビリティに該当しているか、もしくは反しているか、または新たな事業展開に持続可能性の観点を入れ込むという方針の共有がしやすくなっていくでしょう。そして、サステナビリティを意識した取り組みを含めた企業文化が醸成されていく可能性が高まっていくはずです。
上記のような採用を行う際のポイントは以下のとおりです。
◆サステナビリティに対して積極的に取り組む姿勢を共有する
まず自社のサステナビリティに関する取り組みの現状について、求職者に採用活動時に共有しましょう。
これから推進していこうという段階であれば、今まさにサステナビリティを意識した取り組みをスタートしようとしている、いずれは企業文化にサステナビリティの考え方が根づいた企業を目指していることを求人情報や選考段階で明確に伝えることが重要です。
また、すでに取り組みを進めているものがあれば、そちらも明記するようにしましょう。他社内の人材多様性を高めるため、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を意識した採用を行っている場合など、積極的に発信をすると良いでしょう。
◆スキルや経験よりも「企業理念への共感」や「問題解決の際の志向性」などを重視する
また、採用の条件として一定のスキルや経験が重視されるケースが多いかと思いますが、企業の「持続可能性」を考えるにあたっては、理念やビジョンに共感が得られているかが非常に重要になります。
また、問題が生じた際にどのようなプロセスで解決しようとするか、といった要素も多様性を考える観点として有効です。自社が取りうるプロセスを把握し、それと異なるタイプの人材を採用することで、新たなアイデアが生まれやすくなることが期待できます。
これらのポイントを選考過程で見極めるためにも、まず自社の理念やビジョン、問題解決の志向性を整理し、求職者にどのような質問をすることで引き出すことができるか、綿密に検討しましょう。
Indeedはあらゆる採用ニーズに柔軟に対応
あらゆる採用ニーズに柔軟に対応可能なIndeedであれば、今回のような採用にも活用することができます。
求人票は、今回の場合、求職者に求める要素や条件のほか、自社のサステナビリティの取り組みについて記載し、求職者に企業の方針を理解してもらうことが必要でしょう。文字数制限のないIndeedの場合、求職者に対し、条件の提示だけでなく、自社の魅力をきちんと伝えることが出来るのも利点の一つです。
まとめ
サステナビリティに資する取り組みは、これからの社会において、企業の規模に関わらず必須となっていくはずです。自社の理念に共感し、サステナビリティにおける取り組みに賛同してくれる人材を迎え入れましょう。
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