在宅勤務アルバイトの給与体系
在宅勤務アルバイトの給与体系は、主に「時給制」「日給制」「成果報酬型」の3つです。
◆時給制
在宅勤務アルバイトの給与体系でもっとも多いのが、時給制です。時給制の場合、契約時に1時間あたりの時給単価を決めておきます。また労働時間の増減によって、支払われる給与の総額が変わります。最近では、アルバイト本人が勤怠管理システムに勤務時間を入力し、労働時間を管理するケースが多いようです。
◆日給制
日給制は、1日を計算単位として定められた額を支給する給与形態です。日給制の場合、働く日数の増減により1カ月の給与額が変わります。
◆成果報酬型
成果報酬型とは、企業が求める成果に対し、アルバイトが一定以上の結果を提示することで報酬を得るという仕組みです。したがって、成果が出せることを前提としてアルバイトを雇用することになります。
「時給制、日給制」と「成果報酬型」のメリット・デメリット
時給制、日給制と成果報酬型のメリット・デメリットについて確認しておきましょう。
◆時給制、日給制のメリット
特定の仕事だけでなく、幅広い業務を担当して欲しい場合は、時給や日給がいいでしょう。アルバイト側も、働いた時間や日数に応じて報酬を受け取れるので、分かりやすい制度といえます。
◆時給制、日給制のデメリット
職種によっては、本当に仕事をしているのか、把握が難しいケースもあります。たとえば企画系やクリエイティブ系の職種は考える時間が多く、どこからどこまでが働いている時間なのか、管理が難しくなります。
◆成果報酬型のメリット
成果を出せば出すほど報酬を受け取れるシステムなので、スキルがある人を集めやすくなります。たとえば「介護や育児の関係で、会社勤務はできなくなった。でもオペレーション能力は高い」という人を、在宅勤務アルバイトとして雇うケースが考えられます。能力が高い人ほど、成果報酬型の仕事を求める傾向は強いでしょう。
◆成果報酬型のデメリット
成果報酬型は、スキルを持っている人に特定の業務を担ってもらう要素が強くなるため、アルバイトではなく「業務委託」になってしまう可能性があります。業務委託の場合は、雇用契約を結ぶわけではないため、労災保険や雇用保険に加入することはできません。あくまでアルバイトとして雇用するなら、労働基準法が定める「労働者」の基準に該当する形で雇用し、かつ成果報酬型という方法を考える必要があります。
在宅勤務アルバイトを雇用する際の注意点
在宅勤務のアルバイトを雇用する際は、給与面でトラブルとならないよう、以下の点に注意して進めてください。
◆勤務時間をきちんと管理する
雇用主は、アルバイト本人が申告した勤務時間が妥当かどうか、チェックしなければなりません。なぜかというと、「実際は働いていないのに、勤務時間に含めて申告している」「働いているのに、勤務時間を少なく申告する」という2つの可能性が発生するからです。アルバイトの場合は、契約更新に繋がらないことを危惧し、実際より勤務時間を少なく申告するケースが珍しくありません。
もし、アルバイト本人が申告した時間以外の労働内容、とくに深夜に働いている形跡を見つけた場合、なるべく早めに注意してください。その際、メール等で注意した証跡を残しておくとよいでしょう。
◆パソコンや通信費など、経費負担の割合を決めておく
パソコンやスマートフォンなど業務で使用する機器については、会社からの貸与や、代金をアルバイトに支払うケースが多いようです。ただ、アルバイト本人が「プライベートで使っているパソコンのほうが慣れているから、それで仕事をしたい」と希望するケースもあります。一律に制度を決めるのではなく、なるべく個別に希望を聞き入れるようにしましょう。
通信費については、実際に仕事でどれくらい使用しているか見積り、計算します。具体的には、労働時間に合わせて月額通信費の30~50%を企業から支給するケースが多いようです。パソコンや通信費に限らず、業務内で発生する経費をどのような割合で負担するか、事前に相互確認しておきましょう。
※記事内で取り上げた法令は2022年9月時点のものです。
<取材先>
りつ社会労務士事務所代表 社会保険労務士 佐藤律子さん
滋賀県彦根市出身。大学卒業後装置製造業にて、主に要員管理と教育体制整備、評価制度構築等の人事労務業務に一貫して携わる。2018年、りつ社会保険労務士事務所を開設。実情に合わせた柔軟な施策をとることを第一にし、企業の人事制度構築と安全衛生遵法体制整備をサポートしている。
TEXT:村中貴士
EDITING:Indeed Japan + ノオト