地方企業の採用難、コロナ禍によるチャンスも
これまでは働き手が都心に集中し、地方企業は人手を集めるのに苦戦するのが実状でした。しかし、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響によって、企業に対する求職者のニーズにも変化が出てきています。
まずリモートワークの普及で、住んでいる場所を問わずに働きやすくなりました。リモートワークを導入した企業は、社員に必ずしも会社の近くに住んでもらう必要はありません。遠隔地に住んでいる求職者も採用できるため、採用のターゲットが広がります。
また、コロナ禍で「地方に引っ越したい」「地元で生活をしたい」と考える人もいるでしょう。従来の地方企業では、求人を出しても求職者の目に止まりにくいのが課題の一つでした。しかし、移住を検討する人が増えることによって、地方企業に目を向けてもらえる可能性が高まります。
リアルタイムで企業情報を発信して差別化する
とはいえ、そもそも地方企業が採用難を感じる大きな要因の一つは「知名度」です。求職者に自社を知ってもらう機会がなく応募が集まらなかったり、同じ募集条件でもより企業アピールに長けている他社に負けてしまったりすることがあります。地方企業が採用を成功させるためには、採用対象者に自社を知ってもらうことが第一です。採用担当者がいかに情報を発信していけるかがカギとなります。
もちろん、既に自社サイトや求人サイトに募集要項や企業概要を載せている企業は多いでしょう。それらは求職者にとって必要不可欠な最低限の情報です。それだけでなく、求職者が入社のイメージを持ちやすい情報発信も重要になります。
特にコロナの影響によって働き方や企業の状況が日々変化している今だからこそ、求職者からはリアルタイムの情報が求められています。たとえば、「コロナの問題は自社にどのような影響があり、どのように対策しているのか」「社員の働き方はどのように変わったのか」……それらを状況の変化に応じてこまめに発信すれば、求職者も働くイメージが持ちやすくなります。
情報発信の際は、どのツールを使うのかも重要です。リアルな働き方をこまめに発信していくなら、SNSを活用する方法もあります。採用したいターゲットに合わせてツールを選択しましょう。
たとえば、若年層に向けてアピールするなら、スマートフォンで視聴する短い動画の投稿サービス「TikTok」やTwitterなどを活用するのも一つの手です。30~40代の中堅・ベテラン層を採用したい場合には、Facebookなど年齢層が高めのユーザーがいるツールがおすすめです。
採用難でも工夫次第で求職者にアピールできる
地方企業が満足度の高い採用を実現しようとするなら、まず採用対象者に自社を知ってもらうことから始まります。採用活動も企業広報の一つとして考えましょう。
働き方を見直す人が増えている現在の状況は、地方企業にとってある種のチャンスともいえるかもしれません。この機会に、自社の魅力をどのように伝えていくべきか見直してみてください。
<取材先>
採用コンサルタント/アナリスト 谷出 正直さん
新卒で大手サービス紹介会社に入社。子会社への出向を含め、新卒採用支援事業に約11年間携わる。独立後、フリーランスとして企業の採用コンサルティングや採用アナリストとして活動。新卒採用に関する情報、ノウハウの収集や発信、共有の仕組み、人のつながり作りに強みを持つ。メディアへの情報提供やコラム連載、記事の寄稿、企業や大学でのセミナーの講師、人事・経営者向けの勉強会・交流会の主催、オリジナルのメルマガの配信などを行う。
TEXT: 成瀬瑛理子
EDITING:Indeed Japan +ノオト