ヘッドハンティングの進め方とメリット・デメリット

握手しているイメージ

外資系企業を中心に行われていたヘッドハンティングが、最近では日系企業でも浸透しつつあります。その概要やメリット・デメリット、実施の流れなどについて、人事・採用情報に詳しい、組織人事コンサルティングを手がける株式会社新経営サービスの大園羅文さんに伺いました。

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ヘッドハンティングとは?

ヘッドハンティングとは、簡単に説明すると、外部で活躍している優秀な人材を自社に引き入れる採用手法のことです。優秀なアスリートに「うちのチームに来ないか」と条件を提示してスカウトするようなイメージで、外部の企業で既に活躍しているハイレベルな人材にアプローチし、自社への採用を促します。
 
一般的な採用ではつかまらない経営幹部や管理職、将来の幹部候補生、トップセールスの営業など、会社の経営を担う人材や、高い専門スキルを持つ人材が主な対象になります。
 
これまでは、外資系の企業を中心に日本の雇用市場で有益な人材を確保するために行われてきました。しかし、昨今の人材不足の深刻化、売り手市場の進行、デジタル化にともなう専門人材のニーズ増加などにより、日系企業でもヘッドハンティングが有効な採用手法の1つとして一般化されつつあります。
 
ヘッドハンティングには、大きく2つのタイプがあります。

 

◆スカウト型

企業からの求人票をもとに、ヘッドハンティング会社が独自のネットワークやデータベースを通じて、企業の求める人材をスカウトする方法です。全国の求職者の中から優秀な人材に声をかけて一本釣りをしてくるという、一般的に想像するヘッドハンティングのイメージに近いやり方です。
 

◆登録型

転職を希望している人に登録してもらい、転職エージェント(人材紹介)が仲介役として登録者と企業のマッチングを図る方法です。転職エージェントに登録している求職者のみが対象となるので、スカウト型と比べて対象者が狭いという特徴があります。
 
また、ヘッドハンティング会社などに委託せず、採用担当者が自ら候補者を探すケースもあります。

ヘッドハンティングのメリット・デメリット

◆ヘッドハンティングのメリット

ヘッドハンティングを行うことによるメリットは、大きく以下の3つです。
 
1. 即戦力人材が採用できる
 
ヘッドハンティングをすることで、即戦力となる人材が採用できるため、業績向上につながりやすくなります。
一般的な採用では、例えば新規事業をやりたいという場合、いくら管理職経験のある人を採用しても、やはり結果がでるまでには時間がかかるものです。一方、ヘッドハンティングでは、すでにその新規事業で実績のある経験者を採用し、ノウハウをそのまま自社の仕事につなげることができます。
 
2. 転職市場では出会いない人にアプローチできる
 
登録型の場合は転職エージェントに登録している求職者ですが、スカウト型では、転職を検討していない人材にも声をかけることができます。そのため転職市場では出会えない優秀な人材にアプローチできる点もメリットの1つです。
 
3. 水面下で採用活動ができる
 
上記と同様に、スカウト型では、ヘッドハンティング会社のヘッドハンターによって内々に人材を採用することができます。そのため例えば、新規事業の採用など、会社の戦略を社外に公開することなく水面下で実施したい場合にも向いています。

 

◆ヘッドハンティングのデメリット

一方、ヘッドハンティングを行うデメリットもあります。
 
1. 「高年収×成功報酬」のためコストが高い
 
業績向上の即戦力となるような優秀な人材は高年収である上に、ヘッドハンティング会社や転職エージェントなどに支払う報酬も発生します。そのため一人ひとりの採用単価が高額になる点がデメリットの1つです。
 
2. 時間がかかる
 
特にスカウト型では、外部で活躍し、やりがいをもって現職に取り組んでいるような、転職を希望していない人材にアプローチして口説く必要があります。そのため、面接をしてすぐ就職ということはほぼなく、採用まで時間がかかることを理解しておきましょう。
 
3. 採用担当者の手間がかかる
 
上述のように、スカウト型では、転職希望のない人にアプローチし、まずは転職のきっかけや動機を作り、そのうえで自社への入社を検討してもらうという、2段階の動機づけが必要になります。そのためヘッドハンティング会社を使わない場合は、採用担当者の手間がかかるという点もデメリットと言えるでしょう。

ヘッドハンティングをする場合の手順

自社で人材を探してアプローチする場合と、ヘッドハンティング会社や転職エージェントなどの外部を活用する場合とでは、手順が少し異なります。
 
自社で人材を探してアプローチする場合は、大きくは以下のような流れになります。
 
1. 情報収集を行う
 
SNSや転職サイトを参考に、候補者となりうる人をリストアップします。同時に候補者に自社を選んでもらえるよう競合他社の強み、やりがい、魅力、待遇や年収などの情報を集め備えておきます。
 
2. 候補者と信頼関係を構築する
 
一般的な採用とは異なり、候補者に必ずしも転職の意思があるとは限りません。じっくりと時間をかけて関係構築を行います。
 
3. 候補者のニーズを聞き出す
 
転職のタイミングや各種条件などを聞き出し、交渉に向けた諸情報を収集します。また、その情報を踏まえて、ニーズに応えるポジションやタイミングを作り出すことで、獲得への思いを伝えます。
 
一方、ヘッドハンティング会社などの外部を活用するパターンは、ターゲットを明確に伝えたうえで、人材の発掘を依頼することになります。そして、適した人材を見つけたら、上記の2〜3と同様に、時間をかけてじっくりと転職意欲を醸成し、自社に引き込んでいきます。

ヘッドハンティングをするときの注意点

ヘッドハンティングは、基本的には法律上の違法行為とはなりません。転職予定がなかった候補者がヘッドハンティングを受けて転職を決意し、前職を辞めることはよくあることです。なかには就業規定で同業他社への転職が禁止されている場合もありますが、それでも違法行為ではありません。
 
しかし、実際には引き抜きによるトラブルは起きています。たとえば、人材の転職に伴い大口顧客を失って売上が減少した場合などは、引き抜き元の会社から訴えられるケースもあります。
 
候補者の転職時期について考慮し、ヘッドハンティングされる会社の正当な利益を侵害しないよう配慮するようにしましょう。

 

<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
 
中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。「人材採用力の強化」を得意テーマとし、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。採用情報サイト『ヒトノトリカタ』を運営。
 
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト


 
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