リクルーター制度とは? 新卒採用における導入のメリット・デメリット

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人事部以外の社員が求職者に接して採用活動を行うリクルーター制度というものがあります。その概要や導入するメリット・デメリット、注意点について人事・採用情報に詳しい、組織人事コンサルティングを手がける株式会社新経営サービスの大園羅文さんに伺いました。

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リクルーター制度とは? リクルーターの活動内容

リクルーター制度とは、企業の社員がリクルーターとして、就職活動中の学生や求職者に接触して、採用活動を行う仕組みのことです。
通常の採用活動は、基本的には人事部や総務部などが説明会や面接を行います。リクルーターは、現場の社員などが学生や求職者と接触して求める人材を採用できるように働きかけるような活動を行うのです。
 
この制度は、新卒採用で導入されるケースが多く、学生と年齢が近い入社1年目〜5年目くらいの若手の社員がリクルーターに任命され、学生と接点を持つ、というのが比較的よく見られるパターンです。

 

◆リクルーターの主な活動

企業によってリクルーターに任せる範囲や役割は異なりますが、リクルーターの活動としては、主に以下が挙げられます。

 

・出身大学で企業が求める人材を発掘

新卒採用の場合は、リクルーターが自身の出身大学を訪問し、大学のキャリアセンター、所属していた研究室やゼミの先生に会い、会社のPRをして人材発掘を行います。

 

・学生との面談・就職活動の悩み相談

説明会や面接、インターンシップなどのイベント時に、学生の面談や就職活動の悩みに対して学生に近い立場で相談に乗るような活動も行います。そのなかで、選考を突破できるようアドバイスをしたり、自社のPRや入社への不安を払拭したりすることで、入社意欲を促進するよう働きかけます。

 

・内定者フォロー

内定者懇親会や内定者研修など、内定者が集まるイベントに顔を出して入社に向けてフォローします。


 
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新卒採用におけるリクルーター制度を導入するメリット・デメリット

先述のような役割を担うリクルーターが採用活動を行うことで、以下のようなメリット・デメリットがあります。

 

◆メリット

・優秀な人材に早い時期から接触できる

選考解禁日(大学4年時の6月1日)前にも活動が認められている「面談」を行えるため、学生と早期に接点を持つことが可能になります。

 

・求める人材に直接アプローチできる

直接対話をして学生の人柄や能力、価値観などを知ることができます。また、それに合わせて自社に就職するメリットや魅力を伝えることができ、より強い訴求が可能です。

 

・就職活動中の学生への理解が深まる

選考の場とは異なり、リラックスした環境で対話できるため、本音を引き出しやすく本人への理解が深まりやすくなります。そこで得た価値観や特性などは、配属部署の判断材料としても活用可能です。

 

◆デメリット

・リクルーターの質に結果が左右される

対話による自社PRや人材の見極めを行うため、リクルーターの能力に結果が左右されがちです。また、ハラスメントなどリクルーターのふるまい次第では、企業のイメージダウンにつながることもあります。

 

・アプローチできる対象が限定的

対象になるのは、リクルーターの出身大学の学生やインターシップ参加者などに限定されます。また、リクルーターが学生に連絡をとって活動を行うため、1人のリクルーターが対応できる学生数も限度があります。

 

リクルーターによる採用が向いている企業は?

リクルーターによる採用が向いている企業として、大きく以下の2つが挙げられます。

 

◆理系・高学歴など、採用が難しい学生を採用したい企業

生産年齢人口の減少や少子高齢化などによって、新卒採用自体が難しくなっていくなか、特に理系の学生や高学歴の学生はその数が限られるため、競争がより激しくなっているのが現状です。
学生と直接対話をして、入社意欲を高める効果が期待できるリクルーター制度を導入することで、手厚いフォローや情報提供が可能になり、採用につながりやすくなります。

 

◆内定辞退に悩みを持つ企業

内定辞退の理由は多岐にわたりますが、「入社後のイメージが持てない」はよくある理由の1つです。その要因として、情報提供不足により内定者が不安を抱いていることが考えられます。
リクルーターによる情報提供や内定者フォローを行うことで、学生の疑問や悩み、不安などを解消でき、上記理由での内定辞退を減らすことにつながります。

 

リクルーター制度導入の注意点

メリットの多いリクルーター制度ですが、導入する際には以下の点に配慮しておきましょう。

 

◆リクルーター制度の詳細や必要性について、全社員に共通認識を持ってもらう

現場の社員がリクルーターを担う場合、現場からの反発も予想されます。リクルーター制度の概要や、導入の目的などを社員に周知徹底し、その重要性を理解してもらうことが大事です。

 

◆リクルーターに求める役割・ルールを明確にする

リクルーターの活動内容や役割、さらに面談時の飲食代、休日出勤、代休などの扱いなどについて、ルールを決めておくことが重要です。リクルーターやその周りの社員にとって負担とならないよう配慮しましょう。

 

◆求める人材(ターゲット)を明確にする

リクルーターが「誰と接点を設け、フォローすべきか」がイメージできるよう、ターゲットを具体化することで、リクルーターが動きやすい環境を整えることも大切です。

 

◆リクルーターに適した人材を設定する

リクルーターは、学生のロールモデルでもあり、会社の顔となる存在です。「自分もこうなりたい」「この人と一緒に働きたい」と思わせるような、勢いのある社員や実力のある社員、具体的に入社後のキャリアをイメージできる若手社員を選定するようにしましょう。
リクルーター制度を導入することで期待できる役割や効果は多岐にわたります。リクルーターの本来の業務を圧迫する場合は、「面接途中のリクルーター面談だけ担ってもらう」など、野球のワンポイントリリーフのように限定的に活動するカタチもあります。自社の目的や体制に合った形態で、導入を検討しましょう。


<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
現在は、中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
 
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト


 
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