新卒の秋採用とは? どのような学生が活動しているのか
いわゆる新卒での「秋採用」には大きく2つあります。1つは、海外の大学などを卒業する学生を対象に、9月に入社する人材を確保するための採用活動です。もう1つは秋から冬にかけて、翌年の4月に入社する学生を採用するための活動です。
今回は、後者の「翌年の4月入社に向けて、9月から12月にかけて行う秋採用」に絞って紹介します。
秋採用の対象となる学生は、大きく以下のような3つのタイプに分かれます。
・就職活動をしていたものの就職が決まらなかった学生
春から夏にかけて就職活動を行っていたものの、内定が取れなくて就職活動を続けているような学生です。
・部活などに打ち込んでいた体育会系の学生
体育会の部活に入り、就職活動よりも部活を優先していた学生です。公式戦が終わってから就職活動を行うとなると、どうしてもスタートが遅くなってしまいます。
・大学院の進学や公務員を目指していた学生
大学院進学試験や公務員試験に残念ながら落ちてしまって、秋以降に急いで就職活動をしているような学生です。
コロナ禍以降は、採用活動のオンライン化が進んだことで、母集団形成がしやすくなった一方で辞退率が上がり、春から夏の採用活動でも人材確保が難しくなっているという側面があります。上記のような学生の中から自社に合った人材を採用するために、9月以降も採用活動を展開する企業は少なくありません。
秋採用のメリット・デメリット
秋採用には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。押さえておきたいポイントをいくつか紹介します。
◆秋採用のメリット
・春採用で出会えない学生と出会える
秋採用では、先述のように部活に打ち込んでた体育会系の学生や、大学院や公務員を志望していた学生など、春の採用活動では出会いにくい学生に出会うことができます。こういった学生にアプローチができるのは、秋採用の大きなメリットと言えます。
・内定辞退率が低い
春の採用では、多くの企業が精力的に採用活動をしているので、内定をとった学生が辞退をしやすい状況にあります。一方、秋採用では、採用活動をする企業も少なくなり、学生は内定を辞退すると後がない状況のため、辞退率も低くなる傾向があります。
・競争率が低い
採用活動は短期で行う方が企業側の負担も少ないので、夏までで終了する企業も多いのが現状です。秋採用を行う企業だけが学生に対してアプローチするので、競争率が低くなり、学生に認知されやすいという点もメリットの1つです。
◆秋採用のデメリット
・コストや作業の負担が大きくなる
春の採用活動を行って、秋採用も行うという場合は、採用活動に費やす期間が長くなります。その分コストも膨らみ、担当者の負担も大きくなりがちです。
・春と秋の採用枠の配分が難しい
こちらも春の採用も行っている場合のデメリットですが、春と秋との採用枠の配分が難しいという点が挙げられます。春採用で多くの学生を確保すると秋採用の枠が少なくなり、秋に優秀な学生がいても採用できないといった事態が想定されます。
・母集団形成が難しい
秋には就職活動を終了している学生が多いので、母集団形成が難しいという点も覚えておきましょう。春には簡単に集まるような人数でも、秋採用では難しくなってきます。一人ひとりの学生とのご縁を大切に、素早く判断していくことが秋採用では必要です。
秋採用のスケジュール
一般的に秋採用では、10月から12月の年末にかけて内定を出していくようなスケジュールを目指します。
大まかなスケジュールとしては、8月末くらいまでに採用のための媒体や手段を検討し、9月から広報を始めます。その後、9月下旬に採用説明会を実施して集めた学生に面接を行い、秋から冬にかけて内定を出していくようなイメージです。
取材時の資料をもとに表を作成
一般的なスケジュールは上記のような流れですが、先述のように秋採用では母集団形成が難しく、春からの採用と同様のアプローチをしても、人が集まらない可能性があります。
そこで、学生との接点となる合同説明会への参加や、スカウトメールなどを用いたダイレクトリクルーティングを行うことも有効です。秋採用のスケジュールを立てるうえで、どのような方法でどのくらいの期間をかけて行うか、考える際の参考にしてください。
<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
現在は、中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト