新卒採用面接をオンラインで完結していい? メリットとデメリット

オンライン面接のイメージ


コロナ禍以降、オンライン面接は定番となりました。中途採用の場合、エントリーから入社までオンライン面接のみだったというケースもあるようですが、新卒採用の場合、すべてオンラインだけで完結しても問題はないのでしょうか。オンライン面接のメリットデメリットについて、人事・採用情報に詳しい、組織人事コンサルティングを手がける株式会社新経営サービスの大園羅文さんに伺いました。

 
 

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新卒採用面接におけるオンライン面接のメリット


オンライン面接はすでに主流の面接方法となっており、導入していない企業の方が珍しいというのが現状です。対面での面接にこだわりを持っている企業も少なくありませんが、そうした企業でさえも時流に合わせて、オンラインでの開催を取り入れているところが多い印象です。オンラインで面接を行う場合のメリットとしては、主に次の点が挙げられます。

 
 

◆学生側のメリット

 

・気軽に面接へチャレンジできる


自宅からでも受けられるため、企業に出向くより気軽に面接を受けられる点は学生にとってメリットです。これは企業側からすると、自社にエントリーしてくれる人数が増える=母集団形成がしやすくなると言えます。

 

・コスト(時間、費用)を削減できる


会社と居住地が遠い場合、面接に行くための費用や往復にかかる時間は、学生にとって負担になります。例え交通費を支給されたとしても、移動というハードルは否めません。しかし、オンラインでの面接が導入されたことで、相手企業にまだ深く興味が持てない段階でも、あるいはどんなに遠いエリアの会社でも、気軽に面接を受けられるようになった点はメリットだと考えられます。

 
 

◆企業側のメリット

 

・社外で面接対応ができる


電波が届く場所であれば、オフィスや自宅、出張先からでも面接を行うことが可能になります。

 

・面接から内定へのスピードを速めることができる


対面での面接の場合、仮に面接官に出張等の外せない予定があると、なかなかスピード感を持って選考を進められません。しかし、オンライン面接は場所を選ばないので、これまで以上に内定までスピーディに進められるようになります。

 
 

新卒採用面接におけるオンライン面接のデメリット

 
 

◆学生側のデメリット

 

・職場の雰囲気や社員の人柄がわかりにくい


新卒者にとって何が最終的な内定受諾の決め手になるかというと、「この人と一緒に働きたい」「この会社に入ったら成長できそう」といった、言語化するのが難しいです。しかしオンラインだけでは、そういったニュアンスを受け取ることがより難しくなります。

 

・熱意が伝わりにくい


画面越しだと、対面よりも情報量が減ってしまいます。それゆえ、学生の「この企業に入りたい」という強い気持ちがうまく伝わりきらないことが考えられます。

 
 

◆企業側のデメリット

 

・人材の見極め(スキル、マインドセット)が難しい


ニュアンスや雰囲気が伝わりづらいという点は、企業にとってもデメリットになります。新卒採用は、企業にとって「成長枠」としての採用です。だからこそ、ポテンシャルを見極めることが重要になりますが、熱量や気持ちが伝わりきらないため、面接官側も見極めづらくなります。
 
また学生側からすると、カメラから見えない場所にカンニングペーパーを用意して、表面的な受け答えをすることも可能になります。相当な準備をして臨んでいる学生との差を見極められないと、採用後のミスマッチを起こしやすくなるでしょう。

 

・通信トラブルのリスクがある


オフィスのようにネット環境が整っていない自宅や出張先から面接に臨むことで、通信トラブルが起こりやすくなります。音が聞こえづらい、画面が見づらいなど、面接中にストレスを与えてしまうことでいい人材に辞退されてしまう可能性もあります。

 
 

採用直前までオンライン面接を行っていいのか?


現状、すべての面接をオンラインで行っている企業もあるため、実施すること自体は問題ないと考えます。しかし、個人的には最低1回は対面での面接を実施した方がいいと考えます。なぜなら、早期退職の主な理由のひとつに「社員や社風とのミスマッチ」が挙げられるからです。
 
応募者がオフィスに足を運び、社員の人柄や社風に直接触れることができれば、互いにミスマッチが防げます。また、オンライン面接の導入で母集団形成がしやすくなった反面、内定受諾時点での「歩留まりが悪化した」という声を多く聞きます。対面の面接では、直接会って入社への熱意を伝えることになるので、学生にとっても入社への覚悟が固まりやすいというメリットがあると考えます。

 
 

オンライン面接中心で進める際の注意点

 
 

◆通信環境の確認は入念に行う


通信が途切れることなく最後まで面接を遂行できるか、事前に社員同士で確認しておきましょう。

 
 

◆当日の服装や入室時間などを、あらかじめ学生へ伝えておく


オンラインなら私服でもOKという企業もあります。学生が戸惑わないためにも服装や入室時間など、学生へのアナウンスを入念にしておきましょう。

 
 

◆アイスブレイクは長めに行う


面接での見極めでは、会話の中で省略されてしまった思いや経験をいかに引き出すかが重要になります。いきなり画面の中から担当者が出てきて面接となると、応募者は緊張して自己開示が難しくなるため、オンラインでは対面以上に丁寧にアイスブレイクをとることをおすすめします。

 
 

◆カメラ目線を意識し、メモの取りすぎに注意する


例えば画面下に相手の顔が出ているからとそこばかり見ていると、相手からすれば「ずっと下を向いている人」に感じられてしまいます。メモも必死に取り過ぎると、無言の空白時間を作ってしまいます。カメラ目線を意識し、リアクションを大きめに行うなど、アクティブリスニングを意識することで、相手の話を引き出しやすくなります。

 
 

◆求める人材要件やヒアリング事項など、当日の手順を事前に設定しておく


対面での面接よりも見極めが難しい分、入念な準備が重要です。欲しい人材を確保するためにどのような質問が必要なのか。一次、二次、と進むにつれて、どのように面接の役割分担をしていくか、など、選考フローとして設計し、面接官同士が連携を取れるようにしましょう。

 
 
 

<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
 
TEXT:ミノシマタカコ
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト


 
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