顛末書と始末書はどう違う? ミスの再発を防ぐ顛末書の書き方

ミスや不祥事が発生した際に、企業は当事者である従業員に「顛末書(てんまつしょ)」や「始末書」を提出させることがあります。どちらも問題を起こしたときに書く文書であることは知っていても、違いを認識している人は少ないかもしれません。
 
2つの文書には、どのような違いがあるのでしょうか? 顛末書には決まったフォーマットがあるのか、また正しい顛末書の書き方などについて、社会保険労務士法人グランディス代表の内田直樹さんに伺いました。

 

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顛末書とは?

「顛末書」とは、従業員が犯したミスや不祥事の一部始終(顛末)を記した報告書のことです。
 
事柄の重大さにかかわらず、どうしてそのような事態が発生したのか、どこに問題があったのかなどを当事者が客観的に報告することで、企業は再発防止策を講じることができます。

 
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顛末書と始末書の違い

顛末書と混同しやすい文書に「始末書」があります。どちらも不祥事の状況や経緯を会社に報告するためものではありますが、次の2点において相違があります。

 

1. 重要な目的(主眼)

事の詳細のみを記す顛末書に対して、始末書は反省や謝罪に主眼が置かれています。そのため、事の顛末はあまり重要視されず、簡略化される傾向にあります。
 
顛末書……ミスに関する一部始終を明らかにする「報告書」
始末書……ミスに関する一部始終を明らかにするとともに、反省や謝罪をする「反省文」「謝罪文」

 

2. 提出の強制力

企業が従業員に対して、発生した事案の顛末を報告させるのは当然のことなので、顛末書は業務命令として書かせることができます。
 
一方、始末書については違法となる可能性があるので注意が必要です。始末書の提出を従業員に求めること自体は違法ではありませんが、強制的に書かせることはできません。なぜなら、憲法第19条において「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と定められているからです。
 
つまり、始末書の提出を強制することは、反省の気持ちや謝罪の気持ちを強要することになり、「心の中で何を考え、何を思うかは、他人に一切干渉されない自由」に反する恐れがあるのです。
 
とはいえ、かならずしも違法になるわけではありません。ケースによって異なるため、始末書の提出が必要な問題が生じた際には専門家に相談することをおすすめします。

 

顛末書の提出を社員が拒否した場合の措置

顛末書の提出は、業務命令によって強制することが可能です。ただし、提出拒否が業務命令違反であることや、違反した場合の処分内容について、就業規則などに明記しておく必要があります。
 
従業員が顛末書の提出を拒否したことで、再発防止策を講じられず同様のミスや不祥事が再発するなど、さらに大きなトラブルを招くことも考えられます。
 
そういったリスクを回避するためにも、顛末書の提出を拒否した従業員に対しては、不祥事の重大さにかかわらず、就業規則に則った処分をくだすことが重要です。

 
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顛末書に必要な5つの事項

顛末書に決まった形式はありませんが、個々の従業員に一任せず、企業でフォーマットを決めておくことが望ましいでしょう。必要事項が明確になっていれば、内容の不足による再提出を防ぐことができるほか、書き慣れていない従業員も作成にかかる時間を短縮することができます。
 
顛末書は、現状における最善の手段の検討、かつ今後の対応策を練るために重要なものです。報告書を作成する従業員には、誰が読んでもわかるように、客観的な視点で書いてもらう必要があります。
 
そこで、以下の5点を順序立てて記載できるフォーマットを準備しましょう。提出日と氏名は自筆でサインさせます。
 
1.日時・場所……いつどんなところで発生したのか
2.状況・内容……どのような状況で、どのような事案が発生したのか、そして現状どのようになっているのか
3.原因……何が原因で発生したのか、または発生したと考えられるのか
4.対応……どのような対応を行ったのか
5.対策……1〜4を踏まえ、同じミスを繰り返さないためにはどうするべきか

 

顛末書を書かせるメリット

顛末書は再発防止策を練るだけにとどまらず、「有効な対策が立てられる/立てられない」「報告の仕方が上手/下手」「物事を順序立てて考えられる/考えられない」「職務の習熟度が高い/低い」など、従業員の性格的傾向や現状の能力の把握、適材適所を確認する材料にもなります。
 
また、ミスを犯した従業員にとっても、自分の対応の「何が悪かったのか」「どうすれば良かったのか」などを考え直したり、自らに欠けている部分を認識するきっかけにもなります。
 
謝罪や反省に重きを置いた始末書を書かせるよりも、客観的な視点が不可欠な顛末書を提出させたほうが、企業にとっても従業員にとってもメリットは大きいといえるでしょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年5月時点のものです。
 
<取材先>
社会保険労務士法人グランディス 代表 内田直樹さん
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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