パートナーシップ制度は社内に導入できる?

談笑する社員

近年、パートナーシップ制度を導入する自治体が増えています。社内制度としてパートナーシップを認める場合、労務上どのような対応が可能なのでしょうか。法律婚の社員と同じにできることやできないこと、またできないことはどのような制度設計でカバーできるのか、うたしろFP社労士事務所の社会保険労務士、歌代将也さんに聞きました。

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パートナーシップ制度とは

「パートナーシップ制度」とは、戸籍上は同性であるカップルに対して、地方自治体が婚姻と同等のパートナーシップであることを承認する制度です。法的には婚姻と同等ではありませんが、パートナーとして公営住宅への入居が認められるなど、LGBTのカップルへの理解が広まっています。パートナーシップ制度を導入されていることで、法律上で婚姻している従業員と同じ福利厚生を受けられる例もあります。

 
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社内に導入する場合の設計

◆社内規定で「配偶者」を定義する

パートナーシップ制度を社内で導入する際は、社内規定に項目を加えます。特に法的な形式などは決められていませんが、社内において従業員の同性パートナーを法律婚の配偶者と同様に扱うことを明確化する文章を記載することで、社内の「配偶者」の定義に同性パートナーも含めることができます。

◆パートナーシップ制度の要件

何をもってパートナーシップ制度の要件を満たすかは決まりがないため、同性のパートナーをもつ従業員に、婚姻している従業員と同等の福利厚生制度を適用する際は、その従業員からどのような確認書類を提出してもらうかを自社で決定します。
 
たとえば、パートナーシップ制度を導入している企業では次の書類を確認書類として使用しているケースが多いです。

  • 公正証書
  • パートナーシップ証明書・宣誓書・受領書
  • 同一世帯であることがわかる住民票
  • パートナーの両者及び第三者の証人による署名が記載された会社指定の書類

法律上の扶養と福利厚生について

税法上の扶養は戸籍上の配偶者のみに認められており、社会保険(健康保険)では法律婚でない内縁関係の配偶者も被扶養者となれますが、同性の配偶者が被扶養者となることはできません。会社がパートナーシップ制度の導入によって同性カップルを法律婚の夫婦と同等とみなしたとしても、現時点では法的な効力はなく、税法上も社会保険でも扶養に入ることはできません。
 
しかし、先述した社内規定の改定によって、会社の福利厚生の適用対象にすることはできます。多くの会社では家族手当や配偶者手当の要件として、「法律婚」や「扶養家族として認められていること」を定めています。つまり、この要件を変更してパートナーシップ制度上の配偶者を認めれば、該当する従業員に対して家族手当や配偶者手当を支給することができます。
 
ほかにも、会社によって異なりますが、さまざまな福利厚生を利用できるようにすることが可能です。

◆パートナーシップ制度で利用できる福利厚生の一例

  • 従業員に家賃補助や社宅を貸し出す社宅制度
  • 親族の結婚や葬式に際して休暇が取れる慶弔休暇
  • 家族に不幸があったときの見舞金
  • 婚姻した際の結婚祝い金

 
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制度運用のポイント

パートナーシップ制度を運用していく上で重要なのは、まず社内での理解を高めることです。会社がどのような目的や理念を持ってパートナーシップ制度を導入するのか、制度の内容はどのようなものかを明らかにし、全社で共有しましょう。利用する人はもちろん、それ以外の従業員の理解を得られるような風土づくりが大切です。
 
また、パートナーシップ制度を利用することを、ほかの従業員に知られたくない従業員もいる可能性があります。担当者は厳重に情報を取り扱い、個人情報の管理を意識することが重要です。


※記事内で取り上げた法令は2021年6月時点のものです。
 
<取材先>
うたしろFP社労士事務所 社会保険労務士 歌代将也さん
 
TEXT:宮永加奈子
EDITING:I Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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