インターンシップ導入のメリットとデメリット
学生が入社する前に実際の仕事やワークショップを体験することができるインターンシップですが、企業側はメリットとデメリットがあることを把握しておく必要があります。
◆インターンシップのメリット
・学生の能力をより正確に判断できる
インターンシップで、学生に一部の業務を担当してもらうことで、面接の受け答えだけではわからない学生の能力や適性を、より正確に、そしてより深く判断することができます。
・会社への志望度を高めさせる
実際の業務を通して満足感のあるインターンシップを経験を提供できれば、参加者は入社した際の自身の姿をより具体的にイメージすることができます。その結果、「この会社に絶対に入りたい」と志望度が高まり、企業にとってもメリットとなるはずです。
・入社後のミスマッチを防ぐ
会社への理解や仕事の具体的なイメージを持ってもらうことができるので、入社した後のミスマッチが少なくなります。
・既存社員の自己啓発
インターンシップの運営に携わった社員は、自分の仕事を説明したり、仕事について質問され回答を求められたりする機会が増えます。そのため、改めて自身の仕事を振り返るきっかけになります。学生と接点を持つことをきっかけに、初心に帰ることもあるでしょう。
◆インターンシップのデメリット
・内容によっては会社へのマイナスイメージを与える
インターンシップの内容が充実したものでなければ、逆に学生の志望度を下げてしまうこともあります。企画の内容が未熟であることによって、会社の印象を悪い方向に変えてしまっては問題です。インターンシップ開催には、しっかりとした戦略と準備が必要となります。
・社員の負担になる可能性がある
インターンシップの実施によって社員のモチベーションがアップする可能性がある反面、通常業務以外の仕事が増えてしまうのも事実です。これを社員が負担だと感じてしまうこともあります。
インターンシップの参加者を募集する方法
◆自社の媒体で告知をする
ウェブサイトやSNSなどの自社媒体を使えば無料で募集し、自由度の高い情報を載せることができます。ただし、定期的にサイトを訪れてくれるような、最初から自社に興味を持ってくれている学生にしかほとんどアプローチできません。そもそも興味を持ってくれていない学生には届きづらい面があります。
◆大学のキャリアセンターで募集する
様々な会社の情報を得ることができるキャリアセンターでの掲載は、多くの学生に認知してもらえるきっかけになります。ただし、多くの大学にアプローチして、そのすべての大学の担当者と交渉することは、物理的には難しいため、絞り込む必要があるでしょう。
◆求人サイトに掲載する
多くの求人サイトでも、インターンの募集ができます。ただし、費用が発生することや、求人サイト側の仕様の制約があることを認識しておきましょう。
インターンシップを採用につなげるためには
2025年卒の就職活動に臨む学生を対象に、一定の条件を満たすことでインターンシップ参加者を直接採用に活用することが正式に認められました。入社してほしい学生には以下の方法などで、積極的にアプローチをしていきましょう。
◆優秀なインターンシップ参加者に評価を伝える
インターンシップを通し、会社として欲しい人材であると判断した場合は、そのことを本人に伝えて損はありません。学生にとって、会社から評価を得られたことは自信にもつながりますし、自分を高く評価してくれた会社に対しては好印象を持つはずです。
◆採用での優遇
ぜひ入社してほしいと感じた学生に対して、採用活動をする際にアドバンテージを与えることも有効です。選考時期を一般の学生より早めたり、通常ならば面接を3回予定しているところを2回に省略するといった方法があります。こうしたメリットを与えられた学生は、少なからずインターンシップで評価をされたと認識するため、志望度が上がる可能性があります。
以上のポイントを踏まえ、インターンシップを効果的な採用活動につなげていくことをお勧めします。
<取材先>
アルドーニ株式会社・代表取締役 永見昌彦さん
外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年携わった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務に携わっている。
TEXT:大久保太郎
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト