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『人を選ぶ会社』から『人に選ばれる会社』へ–[第8回]中小企業経営者が知っておきたい「いまどき採用事情」黒田真行さんに聞く


過去30年以上にわたり中途採用市場に携わってきた黒田真行氏に、今、中小企業の経営者が実践するべき人材戦略について伺うインタビュー企画。連載第8回のテーマは「『人を選ぶ会社』から『人に選ばれる会社』へ」です。求人数がコロナ禍以前の水準に戻りつつあるということは、再び採用難の時代に戻ることを意味します。そのため、企業は求職者に選ばれるために「企業体質の改善」をしなければならないと黒田氏は話します。

 
 

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第8回「『人を選ぶ会社』から『人に選ばれる会社』へ」


2021年7月現在、求人数はコロナ禍以前の水準に戻りつつあります。企業経営者の景況感も改善しており、求職者にとっては「仕事を見つけやすい」状況。しかし採用側にしてみれば、これはコロナ禍以前の「採用難の時代」に戻りつつあると、ということを意味しています。
 
今あらためて考えなければならないのは、「仕事探しのリテラシー」が高度化している昨今の求職者に「選んでもらえる」企業になるには、どうしたらいいかということです。「きれいごとばかりを並べた採用広告を打ったところで、見向きもされません」と黒田氏は言います。今こそ企業体質そのものを改善すべき好機、なのかもしれません。

 
 
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コロナ禍以前の「採用難の時代」に逆戻りか?


――現在の人材マーケットをどのように分析されていますか。
 
2021年6月29日付の日本経済新聞の1面に「景気、半年後『拡大』9割超 社長100人アンケート」という記事が出ていました。
 
「新型コロナワクチンの普及が進み、企業経営者の景況感が改善している。社長100人アンケートで、半年後に景気拡大を見込む経営者が9割超に達した。新型コロナによる経済活動への悪影響を来年までに払拭できるとの回答は7割を超えている。個人消費や物流停滞など不安を抱えつつも、経営者が企業活動の正常化を急ぐ姿が明らかになった」と。
 
ご存知のように、人材マーケットは景気に連動して動きます。景気が良ければ求人数は増え、景気が冷えれば求人数は減る。実際、本連載でも以前に触れましたが、緊急事態宣言が出て経済がストップした2020年4月以降、求人数は急減し、5月~7月と前年同月比で5割以上ダウンしました。それが現在は回復基調にあり、特に正社員領域の求人数はほぼコロナ禍前の水準に戻っています。
 
とはいえ、正社員に比べると、アルバイト・パート領域はまだ厳しい状況が続いています。もちろん、業種による違いはあります。例えば、もともとアルバイト・パートが占める割合が多かった観光関連および飲食関連業界は、今も苦境に立たされている。そう考えると、アルバイト・パート領域の求人数がコロナ禍前の水準に戻るには、まだ時間がかかりそうです。
 
――回復傾向にあるのは事実なのですね。
 
そうですね。ただ、採用側にとって歓迎すべきことかというと、どうでしょうか。コロナ禍前の状況を思い出してみると、「採用難」でした。リーマンショックの後、10年に渡り景気拡大が続き、求人数も右肩上がり。その結果、企業は人手不足の問題に苦しみました。同じことが、また起こる可能性があります。求人数に比して優秀な人が足りないため、企業間の争奪戦が起きています。
 
コロナ禍前、私は「リーマンショック以後の長い景気回復の時代がそろそろ終わる。景気は後退局面に入り、その結果、採用難の時代も終わる」と予想していました。しかし、新型コロナによる急激な景気悪化と景気回復を挟んだことで、リーマンショック以降の長い景気回復の時代が延長された感じがありますね。もっとも、この景気回復がいつまで続くかは、わかりません。以前から不安視されている「オリンピック以後の景気問題」も未知数です。

 
 

現代の求職者に「きれいごと」は通用しない


――採用難の時代がまたやってくる。企業側は、何に取り組むべきでしょうか。
 
端的にいえば、企業体質の改善です。
 
これも以前お話したことですが、若い世代の求職者は、「仕事探しのリテラシー」が高度化しています。インターネットを通じた情報検索力が向上した結果、採用側と求職者側との間に「情報の非対称性」がなくなっている。クチコミやSNSを通じて、採用側の内実をつかんでいますから、きれいごとばかりを並べた採用広告などは見向きもされません。いくら「うちの会社はこんなに素晴らしいですよ」と謳ったところで、口コミサイトで「パワハラ気質のマネジャーがいる」といった情報に触れたら、そちらのほうがよほど信用されるわけです。
 
これは、採用者と求職者のパワーバランスが対等に近づいていることを意味します。これまで採用側は、いわば勝手に集まってくる人材のなかから「選ぶ」ことを考えていればよかったのですが、今はいい人材に「選ばれる」ことを考えないといけません。
 
特に、いい人材ほど仕事探しのリテラシーは高い。つまり、優秀な人材に選んでもらうためには、根本的な体質改善をして、選ばれるに足る企業にならないといけない。表面だけ取り繕っても現在の求職者には通用しない。中身がブラック企業のままホワイト企業を装ってもバレてしまう、ということですね。
 
このような環境下では、採用難の企業はいつまでも採用難のまま。しかし本当に体質改善ができれば、優秀な人材が集まり、またその優秀な人材が、さらにまた優秀な人材を連れてくるという好循環が期待できます。いわゆる「リファラル採用」です。逆に、リファラル採用ができない企業イコール、従業員に「大事な友達には紹介したくない」と思われている企業かもしれません。その場合、採用難の企業はますます採用難になっていく負の循環から抜け出せません。

 
 
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ブラックな会社からは人材紹介会社も去っていく


――企業体質を改善する具体的な方法とは?
 
主には労働環境、給与面、福利厚生面などですが、ブラック企業にそうアドバイスをしても、なかなか聞き入れてはもらえないものです。人材紹介のエージェントも、そんな企業に人を積極的に紹介しようとはしません。そもそも応募したいと思ってくれる求職者が少ないですし、「入社後すぐに辞めてしまったので紹介料を返金」といったトラブルも起こりやすい。これではエージェントも敬遠したくなります。
 
さらにひどい企業だと、従業員の給与を上げないどころか、人材紹介会社への報酬を値切ろうとするケースもあります。これでは、ますますいい人材は紹介してもらえない。普通、人材紹介への報酬は、紹介した人材の年収の30%ほどに設定されています。しかし、優秀な人材の争奪戦が展開される業界では報酬を値上げすることで、採用競合に対して優位に立とうとする企業が現れるほどです。実際、約10年前にソーシャルゲームがブームになった時には「ソーシャルゲーム開発の経験が豊富なエンジニアを紹介してくれるなら年収の100%相当を報酬として支払う」企業も続出しました。
 
本気で優秀な人材を採用したいなら、人材サービスへの予算や、リファラル採用、オウンドメディア構築の手間などを避けては通れないのが現実です。優秀な人材は希少。優秀な人材を欲しがる企業は多い。となると、費用がかかるのは当然のことといえます。給与だって低いままでは、優秀な人材がくるはずがありません。
 
業種や職種によって差が大きいのですが、いまだに、「雇う側のほうが強い」と思い込んでいる会社が見受けられるのは残念なことです。確かに、業界や職種によっては買い手市場の場合もあるかもしれません。しかし現在は、買い手市場に見える業界でも、クチコミサイトやSNSの登場で、人材の側が企業をしっかりと選ぶようになっています。さらに、数が少ない優秀な人材を、競合他社との奪い合わないといけない。それなのに「給料はこんなものでいいだろう」という姿勢では、人材が採用できなくても仕方ありません。
 
企業体質の改善にあたっては最低限、2つのことを心がけていただきたいと思います。
1つは、「人材獲得のうえで競合となる企業はどこか、その企業はいくら給与を払っているか」。もう1つは、「自社が欲しいと思っている人材が『行きたい』と思える会社になっているかどうか」。
 
この2つを考え抜くこと。これができない会社は、いつまでも「選ばれる」会社にはなれないでしょう。

 
 
 
黒田 真行(くろだ まさゆき)
Profile
黒田 真行(くろだ まさゆき)
 
1989年、株式会社リクルート入社。「リクナビNEXT」編集長、「リクルートエージェント」ネットマーケティング企画部長、株式会社リクルートドクターズキャリア(現:リクルートメディカルキャリア)取締役などを歴任。現在は「ミドル世代の適正なマッチング」を目指す、ルーセントドアーズ株式会社の代表取締役を務める。人材マーケット分析ならびに人材戦略構築の専門家。

 

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