採用人事が知っておくべき「オンライン上で伝える」技術


新型コロナウイルス感染症の影響で、オンラインでの採用活動が活発になっている昨今。採用人事の担当者は、従来のような対面でのコミュニケーションを十分に取れない状況下で、自社に新しいメンバーを迎え入れなければいけません。
 
特に、ある程度の人数の採用候補者や内定者を前にオンライン上でコミュニケーションを取る際、どんなことに気をつけるべきでしょうか。円滑なコミュニケーションのために身につけたい伝え方について、スピーチトレーニングを中心に、広く「話すこと」に関わる事業を展開する株式会社カエカの千葉佳織さんに伺いました。

 
 

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オンライン上のコミュニケーションは、なぜ難しいのか


採用活動の特性上、従来は採用担当者と候補者が直接顔を合わせてコミュニケーションを取ることが当たり前とされてきましたが、2020年度以降は母集団形成の段階から対面形式をとるケースは減ってきています。サマーインターンや合同説明会、企業によっては最終面接に至るまでの面接をすべてオンライン上で行なっている、という話も聞くほどです。そのような状況下において、採用担当者にとって重要な「伝え方」も、変化を余儀なくされています。
 
オンラインでの採用活動が多くなることで、地方在住の候補者や、働きながら転職活動を行う候補者と以前よりアプローチしやすくなったというメリットが挙げられます。一方で、企業理念や業務の魅力といった企業側からのメッセージを深い部分まで十分に伝えきるという側面においては、以前より難易度が上がっています。実際に、「採用候補者に伝えたいことがきちんと届いているか不安をおぼえる」という採用担当者の声も少なくありません。
 
また、会社説明会などある程度の人数を相手にオンライン上で伝える際の課題として、「コミュニケーションが一方通行になりやすい」という課題が挙げられます。気づくと話し手の一人語りに陥っているというケースも。画面越しでは、雰囲気や空気感、表情といった非言語の分野が伝わりにくいため、話者が一方的に長時間話してしまうと、聞き手は積極的にその場に参加しようとする意識を保ちにくくなってしまうのです。

 
 

参加者の緊張感をキープさせ、主体的に参加してもらう


では、どのようなことを心がければ、オンライン上でも聞き手の関心を保ち、メッセージを伝えきることができるのでしょうか。大人数を相手にファシリテーションを行うケースを例に、具体的なコツを挙げていきましょう。

 
 

◆質問しやすい空気を定期的につくる


まず大事なのは、聞き手に対し「(採用担当者は)あなたと積極的にコミュニケーションを取る意思がある」としっかり伝えることです。企業説明会なら、持ち時間を全て使って一方的に話すのではなく、「質問が出てきたらコメント欄に書き込んでください」「最後の30分間で答えたいと思います」と20分ごとに伝えることで、参加者に主体的に話を聞いてもらうための意識づけをすることができます。

 
 

◆参加者も登壇させるようなイベント設計にする


一方通行のコミュニケーションを防ぐ意味でも、オフラインイベントのように参加者を指名して「登壇」してもらう方法も有効です。「私の話を踏まえ、後ほど2名の方に感想を発表していただこうと思います」というように参加者を巻き込んでいくことで、緊張感を保ってもらいつつ、参加意識を途切れさせずに進行できます。

 
 

◆適度なアイスブレイクや話し方の緩急で隙をつくる


同じようなテンポで単調に話し続けるのではなく、緩急をつけてみましょう。本題とはやや逸れたとしても、話し手の人柄が見えるようなエピソードを途中に盛り込むと、聞き手が親近感を持ちやすくなります。また、重要なメッセージの前には一瞬の間をつくり、ゆっくりと話すことで、伝えたい言語情報を際立たせ、より相手に深く届けることができます。

 
 

◆オンラインツールの使い方を研究・工夫する


話し手の顔が見えず、延々とスライド画面が流れ続けている状況では、聞き手も徐々に飽きてきます。例えばZoomなどのWeb会議システムの機能には、スライドをバーチャル背景にしてファシリテーターの姿を前面に映し続けるような設定がありますので、使ってみてもいいでしょう。また、リモートで自宅から参加する場合は、聞き手がプライベートな視覚情報に惑わさないよう、できる限り背景情報を整えておく工夫も必要です。社名が入ったバーチャル背景などを準備してもいいでしょう。

 

web会議システムのスライドをバーチャル背景に設定しているイメージ図Web会議システムではスライドをバーチャル背景に設定する機能がある(写真提供=カエカ)

 
 

オンラインに必要なスキルは、練習で磨くことができる


上達のヒントをいくつか挙げてみましたが、重要なのは、一方通行なコミュニケーションにならないよう、「忍耐力と質問力」を養うこと。端的に言えば、「自分は短く話し、相手に長く話させる」といった意識です。これを実践するだけでも、「双方向でコミュニケーションが取りたい」という姿勢が相手に伝わることでしょう。
 
オンラインコミュニケーションのスキルを磨くためのツールとして、音声会話のできるSNSを利用してもいいかもしれません。もしファシリテーションができるようであれば、登壇者それぞれが話す総量を計算しながら進めてみると、場づくりにおけるバランス感覚を養う練習になります。また、登壇者から聞き慣れない言葉が出てきたときに、ファシリテーターが解説を挟むように心がけるなど、聞き手の集中力を維持させる工夫を実践するのもいいでしょう。
 
もうひとつ、話す練習としておすすめしたいのが「1分間スピーチ」です。時計を見ず体内時計で1分間を計りながら、即興で伝えたい情報を組み立てて人に話すというもの。これを続けると、情報過多や、逆に情報不足といった伝え方における課題を克服できるようになっていきます。1分間スピーチが上手にできるようになれば、採用イベントのようなもっと長い時間の登壇でも応用が効くようになります。

 
 

対面以上に、発言や振る舞いに気を配ることが重要


オンラインでのコミュニケーションは、画面越しとは言え姿が見えている分、「この程度の伝え方でも対面時と同じくらい伝わるだろう」と気を抜いてしまいがちです。しかし、非言語の情報が伝わる度合いは、対面とは比べ物にならないほど低いと思ったほうがいいでしょう。「言葉ばかりがダイレクトに相手に伝わってしまう」という点で、オンラインのコミュニケーションはよりデリケートなものだと言えます。
 
普段以上に発する言葉一つ一つに気を配り、熱意と覚悟を持って相手に向き合う姿勢が問われます。「目の前にあるのは“画面”ではなく、採用候補者という“一人の人間”である」という意識を常に忘れずに、みずからの振る舞いや伝え方を改めて客観視するようにしてみましょう。

 
 
 

<取材先>
株式会社カエカ代表取締役/スピーチライター・トレーナー
千葉佳織さん
 
15歳から日本語のスピーチ競技、弁論をはじめる。2011年安達峰一郎世界平和弁論大会にて優勝、2012年内閣総理大臣賞椎尾弁匡記念杯全国高等学校弁論大会にて優勝、2014年文部科学大臣杯全国青年弁論大会一般の部にて優勝をし、全国弁論大会3度優勝経験を持つ。慶應義塾大学卒業後、大手インターネット関連企業に入社。小説投稿サイトの企画を経て、人事部で新卒採用を行いながら、同社初のスピーチライターの業務を立ち上げ、イベントや採用の登壇社員育成、代表取締役社長のスピーチ執筆など、部署横断的に課題解決に取り組む。2019年、株式会社カエカを設立。経営者や政治家などを対象とするスピーチライティングやトレーニング、スピーチスクール「GOOD SPEAK」の運営を行う。
 
TEXT:波多野友子
EDITING:Indeed Japan + ノオト

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