採用見送りを通知する際に起こりがちなトラブル
採用見送りの通知は、応募者にとって決して気分の良い報せではありません。だからこそ採用担当者は、できるだけ相手に配慮した形でその旨を伝える必要があります。
その際に起こりがちなトラブルとしては、まずその「理由」に納得してもらえず、応募者が執拗に食い下がったり、その理由に対する異論や反論を申し出たりするケースが考えられます。あるいは、書面や文面の内容が事務的過ぎて、応募者の反感を買ってしまうケースも散見されます。
また、そもそも結果を伝える通知がなかなか届かないことから、相手に不信感を持たれてしまう場合もあるでしょう。こうしたトラブルを避けるために、採用担当者はあらかじめコミュニケーションのポイントを押さえておく必要があります。
不要なトラブルを防ぐためには
採用見送りを報せる場合は大前提として、文書であれメールであれ、簡潔に内容を伝えることが重要です。応募への謝意を交えた挨拶文からはじまり、選考の末に採用に至らなかったという結果を伝え、最後に応募者の今後の活躍を願う一文で締めるのが一般的でしょう。
この際、なぜ採用に至らなかったのか、その理由を記すのはセオリーに反します。いかに真摯に審議を行った結果だとしても、応募者の感情を逆なでしてしまうリスクは排除できず、あくまで「社内の基準に則って厳正な選考を行った」ことを伝えるのみにとどめましょう。
また、「不採用」ではなく、自社のニーズと応募者側の条件の相違であることから、「希望に添えない」結論になったことを表現するのも大切です。相手の人格や資質に不備があるのではなく、今回は条件が見合わなかったというニュアンスを強調することで、不要なトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
さらに付け加えるなら、採用見送りの通知はできるだけ迅速に送ることを心掛けるべきでしょう。複数の企業を同時に受けている人や、一刻も早い転職を望んでいる人からすれば、結果は早いに越したことはありません。
面接前後に押さえておくべきポイント
トラブルを避けるためには面接前、あるいは面接直後のコミュニケーションも重要です。たとえば面接の結果を、「いつ頃」、「どのような手段(メール、文書、電話)」で伝えるのか、あらかじめ明確にしておきましょう。
また、履歴書や職務経歴書などの返却の有無も、個人情報を預ける立場である応募者にとっては大切な問題です。書類の返却ができないのであれば、選考を終えたあと責任を持って速やかに処分する旨を、もし返却するのであればいつどのように返送するのかを、事前に伝えておくようにしましょう。
なお、採用見送りによってトラブルに発展するケースは、総じて面接の時点で応募者とのコミュニケーションがうまくとれていないケースが目立ちます。最低限の礼儀やビジネスマナーを守って対応し、応募者一人ひとりと真摯に向き合っていることが伝わってさえいれば、採用見送りの結果にも一定の理解が得られるはずです。
面接を終えれば、相手は将来的に自社の顧客になるかもしれません。あるいは、次の採用の際にまた顔を合わせる機会もあるかもしれません。採用見送りという残念な結果でも、極力、悪い印象を残さない努力が求められます。
<取材先> クレド・ライフクリエイション株式会社 深堀一雄さん
TEXT:友清哲
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト