採用通知書とは? 内定通知書との違い、作成時の注意点

採用通知書を見る女性のイメージ


面接を受けた候補者に対して、選考の結果を連絡する手段は、最近では電話やメールが一般的です。これを書面で本人に通達する際には、「採用通知書」や「内定通知書」と呼ばれる文書を発行することになります。
 
では、採用通知書にはどのような内容を盛り込むべきなのか。また、内定通知書との違いは何か。大手企業の採用・人事責任者を経験してきた、株式会社人材研究所・代表の曽和利光さんに解説していただきました。

 
 

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「採用通知書」と「内定通知書」の違いは?


結論から先に述べると、いずれも選考を通過した事実を表明するという点で、「採用通知書」と「内定通知書」に大きな違いはありません。ただし、「内定」という用語を用いていることで、法的な意味合いが変わってくるので注意が必要です。
 
採用通知書とは、あくまで選考の結果として、その相手が自社の採用基準に達している事実を伝えるもの。これに対して内定通知書は、相手の入社を認めるニュアンスを含みます。つまり内定通知書のほうがやや法的拘束力が高いと言えるのです。
 
そもそも内定とは、正式には「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれ、就労のタイミング(始期)と解約する権利(解約権留保)の2つの条件を前提に盛り込んだ労働契約のことです。つまり採用、そして入社を認めるものの、正当な理由があればこれを解約できる契約形態です。たとえば内定者に違法行為や経歴詐称が認められた場合などは、企業側は内定を取り消すことができるわけです。
 
しかし、そうした明確な理由なしに、いずれかが内定という労働契約を破棄した場合、双方の言い分が食い違い、裁判沙汰に持ち込まれることも考えられます。その際、採用が通知されているのか、それとも内定が通知されているのかが論点のひとつになることがあるのです。

 
 

採用通知書に書くべき内容


そうしたトラブルを未然に回避する、あるいは採用プロセスを簡略化する目的から、省略されることも多い採用通知書ですが、そのフォーマットにルールはありません。採用基準に達し、選考に合格したことを明記し、日付や宛名、差出人(社名、会社の所在地、担当部署など)を添え、もし返送を要する同梱の書類などがあればその期限などを漏らさず伝えることで、役割は果たします。
 
ただし、場合によっては、これはまだ企業側が採用の意思表示をした段階に過ぎず、この後に労働条件のすり合わせや、労働契約書を交わすステップに進むことになります。状況や事情に応じて、そうした説明も盛り込んでおくべきでしょう。

 
 

採用通知書を送る際の注意点


採用通知書を巡るトラブルの原因としてよくあるのが、どちらかの事情によって一方的に労働契約が破棄されるといったケースです。その場合、どの段階で労働契約が結ばれたのかが争点になることが多いと言えます。一般的には「内定」という言葉を労働契約の成立を意味するものと見なすことも多く、相手が「採用」にも「内定」と同様のニュアンスがあると解釈していれば、問題はこじれることになります。
 
それでもあえて採用通知書を送付する理由には、企業側がその相手を獲得する強い意思を持っていることを表現する、パフォーマンス的な意味もあるでしょう。だからこそ、書面を作成する際に誤解が生じる余地を残してはならず、「採用」とはあくまでも採用基準に達している事実を伝えるものであり、ひいては内定へ進む条件のひとつであることを求職者に共有しておく必要があります。
 
そのための施策としては、採用通知書ではなく、最終面接の「合格通知書」として、労働契約を結んだ状態ではなく、あくまで「採用基準に達した」ことだけを伝えるのも一案ではないでしょうか。書面に残す形で通知する場合は、トラブルの可能性を踏まえて慎重に行うべきなのです。

 
 
 

<取材先>
人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
 
TEXT:友清哲
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト

 
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