スキルの見極めに使える? ワークサンプルテストとは

PC画面を見ながら話す2人の男性のイメージ


ジョブ型採用が主流の欧米で広がり、有名IT系企業が導入したことでも注目を集めているワークサンプルテストとは、どのような手法なのでしょうか? 企業や求職者にとってのメリット・デメリットや実施方法、注意点など、組織人事コンサルティングを手がける株式会社新経営サービスの大園羅文さんに伺いました。

 
 

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ワークサンプルテストとは


ワークサンプルテストとは、採用の選考を受けている求職者に、入社後に就く業務を疑似体験してもらう面接手法の一つです。選考中に行うインターンシップと言えば、イメージしやすいかもしれません。
質疑応答型の面接では見極められないスキルや適性を知ることが出来るため、ワークサンプルテストが注目を集めているのです。
 
特に入社後の業務が明確な企業や、ITエンジニア、技術開発など専門的な知識が求められる職種では効果的な手法だと言われています。新卒採用・中途採用のどちらでも活用できますが、明確に希望する職種が定まっている中途採用においてより効果的です。

 
 

ワークサンプルテストのメリット・デメリット

 
 

◆ワークサンプルテストのメリット

 

・企業側のメリット


求職者のスキルや業務への適性を見極めることで、採用のミスマッチ防止につながる点が大きなメリットです。
ワークサンプルテストで実際の業務を体験してもらうことで、「この人なら、こういう業務をお願いできそう」といった入社後のイメージをよりクリアに持つことが可能です。
 
また、ワークサンプルテストは、優秀な求職者にアピールする機会にもなります。業務体験のなかで仕事をおもしろいと思ってもらったり、コミュニケーションを通じて入社の動機付けを行ったりすることで、他社との差別化を図ることが可能です。

 

・求職者のメリット


求職者は、実際の業務を体験して自分に合うかどうか、おもしろいかどうかなどをチェックできる点が大きなメリットです。結果「入社してみたら、想像していた仕事と違っていた」といった、採用のミスマッチやギャップを防ぐことにつながります。

 
 

◆ワークサンプルテストのデメリット


デメリットをあえて挙げるなら、どのような疑似体験をさせるかといった事前の企画・検討が重要になる点です。例えば、入社後に就く業務とは関係のない体験を与えても、必要な適性やスキルを見極めることは難しく、求職者への動機づけにもなりません。担当者は、自社が求める人材を正しく設定したうえで、それを見極める手段としてワークサンプルテストが本当に適切なのかを検討することが重要です。

 
 

ワークサンプルテストの実施方法


ワークサンプルテストを実施する時期や内容は、採用戦略によって異なります。ここでは一般的な実施方法を紹介します。

 
 

◆実施のタイミング


一次面接が終わった後、最終面接に進む前の段階で実施するケースが多くあります。

 
 

◆実施パターン


「半日〜1日の体験入社」「リモートでの業務体験」「面接後の業務体験」の3つが主な実施パターンです。実施する内容や大まかな流れはどのパターンでも概ね同じです。

 
 

◆課題のテーマ


実施する目的に合わせて選定します。会社や部署が抱えている問題に対してその人なりの解決方法を描いてもらう、職務適性を見極めるために実際の業務を体験してもらうなど様々です。

 
 

◆実施例:1日入社の場合

 

・社内アナウンス・自己紹介


始業時間に会社に来てもらい、全体朝礼などで周りの社員にアナウンスするとともに、求職者に自己紹介してもらいます。

 

・課題・テーマへの取り組み


オフィス見学や会社説明などを行った後、課題やテーマを発表して取り組んでもらいます。

 

・プレゼンテーション・フィードバック


最後に課題への解決策を作業担当者や責任者にプレゼンテーションしてもらいます。それに対するフィードバックをして終了です。

 
 

ワークサンプルテスト導入の注意点


ワークサンプルテストを実施する際には、以下の3つのことに注意しておきましょう。

 
 

◆何を見極めるかを明確にしておく


ワークサンプルテストの目的は、その求職者に業務を遂行するための必要なスキルや適性が備わっているかどうかを見極めることです。どういう人材がほしいか、そしてどうすればそれを見極めることができるかを事前に固めておくことが重要です。
求職する部署の社員に「普段の仕事で意識していること」「仕事で差がつくこと」などをヒアリングし、どのようなスキルやマインドを見極めるべきかを導き出しておくと良いでしょう。

 
 

◆実際に就く業務に近い内容で実施する


メインではない業務内容を体験してもらっても、スキルや適正の見極めにつながりません。入社前後のギャップを埋めるために、実際に就く業務に近い内容で実施するようにしましょう。

 
 

◆フィードバックは必ず行う


求職者に対して、入社への動機づけをするためにも、最後にフィードバックを必ず行いましょう。入社後に貴重な戦力として迎え入れる求職者の学びや気づきになり、事前のレベルアップを促すことができます。また、採用されなかった場合も、こうした積み重ねがゆくゆくは会社のイメージアップにつながるはずです。
 
採用のミスマッチ防止につながるワークサンプルテストは、新たに期待されている選考手法の1つです。ただし、実施する際は、社員の理解と協力を得ながら進めていく必要があります。自社にふさわしい採用手法かどうかを慎重に吟味したうえで、社内の協力を得ながら進めていきましょう。

 
 
 

<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
現在は、中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
 
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト

 
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