中小企業でも整えておきたい「内部通報制度」とは

焦った表情でPCを見る男性のイメージ


製品検査データの改ざんや不正会計など、企業の不祥事が組織内部からの通報をきっかけとして明らかになるケースが後を絶ちません。このため2020年6月「公益通報者保護法」が一部改正され、従業員数が300人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられることとなりました。ほとんどの大企業ではすでに社内に設けられている「内部通報制度」ですが、中小企業ではまだこの法律の内容自体が知られていない状況です。社内の不正や問題を早期に発見し、解決するために欠かせない制度である「内部通報制度」について、社会保険労務士法人出口事務所代表の出口裕美さんにお聞きしました。

 
 

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社内の問題を早期に発見・解決するために


「内部通報制度」とは、社内で法令違反や規則違反の疑いのある行為があった場合に、匿名または実名で報告・相談できる仕組みを作るものです。
 
消費者庁のガイドライン(消費者庁『公益通報ハンドブック』より)によれば、事業者には1.通報対応の仕組みの整備 2.通報に関する秘密保持・個人情報保護の徹底 3.通報者への対応状況の通知 が求められています。
 
社員が会社に対して疑問や不満を感じたことを相談できる窓口と、相談を受けて調査や検証を行い、不正があれば改善できる仕組みをつくること、また、通報した人が守られるよう、通報者の秘密保持や個人情報保護の徹底、通報を理由にした解雇の無効といった、不利益な扱いの禁止も定められています。そして、通報者には、調査を行うか否かに加え、調査結果、是正結果などをできるだけ速やかに通知することとされています。
 
「内部通報」というとお互いに監視し合うようなイメージや、経営者にとっては耳の痛い現実を見せられることに抵抗を感じられるかもしれません。
しかし、社員が社内で疑問や不満を感じたとき、どこにも相談できない、相談しても真剣に取り合ってもらえないと感じると、社外で話す以外に方法がなくなってしまいます。弁護士や労働基準監督署などに駆け込んだり、SNSに社内の問題を投稿したりするといったことの背景には、内部通報制度の不備があることが多いのではないでしょうか。
 
特に近年では誰でも気軽に投稿でき、あっという間に情報が拡散されてしまうSNSの影響力を軽視することはできません。すぐに社名が特定され、ネット上に長く会社の悪評や間違った情報が残り続けることは、採用をはじめ企業活動に大きなダメージを与えます。
 
「内部通報」の制度を適切に取り入れることで、こうした事態を避け、かつ社内の問題を早期に解決することができ、会社を守ることにもつながるのです。

 
 

相談しやすく、信頼される窓口を


何でも相談できる「相談窓口」を設置したり、「ご意見箱」を置いたりといったことでも、十分に内部通報の機能を果たすことができますし、社員も声を上げやすくなります。
 
窓口を設けると同時に、寄せられた相談の全てに真摯に応える仕組みを作っておきましょう。誰がどのように調査し、どのタイミングで、どう通報者などに経過報告を行うかも、あらかじめ決めておく必要があります。
 
また、経営陣にとっては取るに足らないと感じさせる出来事や、通報者の明らかな勘違いであると思われるような相談が寄せられても、真摯に対応することが重要です。「相談しても、何もしてもらえない」という評判が立っては相談窓口の信頼を損ないます。どんな相談に対しても調査結果をフィードバックし、仮に相談内容が通報者の思い込みによるものであっても、きちんと話して誤解を解くことが大切です。

 
 
 

<取材先>
特定社会労務士 代表 出口裕美さん
社会保険労務士法人出口事務所の代表社員。企業のパートナーとして、人事労務のあらゆる業務をサポートしている。全国社会保険労務士会連合会の代議員や東京都社会保険労務士会の常任理事も務める。
 
TEXT:石黒好美
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

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