2022年10月、米国のニューヨークで開催されたIndeed FutureWorks 2022には、Indeed のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるMaggie Hulceも登壇しました。Maggieは、候補者体験の改善を支援するためにIndeed が行っている取り組みや、2023年の戦略などを発表しました。Maggie のスピーチ内容をお届けします。
15年以上前、採用企業へ連絡もせず、飛び込みで求人に応募したことがあります。そんな時代から、採用市場の常識は、大きく変化しました。特に過去2年間は変化が大きく、私は、現在の求職者が仕事探しにおいて、どのうような状況に置かれているのかを知りたくなりました。
そこで、実際に求職者が体験していることを知るために、ある実験を試みました。私自身のIndeed プロフィールを作成して、履歴書に職歴を記載し、さまざまな業界や経験レベルの50件の求人に応募したのです。Indeed エントリーや企業独自の採用管理システム(ATS)など、さまざまな応募方法が提示されている場合は、同じ企業の複数の職務に応募することもしました。
応募してわかった結果は、残念であると同時に、驚くべきものでした。応募した採用企業の44%からは返事がなく、30%からは人間味のない自動返信と思われる文章で、不採用の連絡が届きました。返事がないよりかはましですが…。そして、26%の企業からは、うれしいことに面接の連絡がありました。
この体験を通して、私が残念に感じた3つの点を説明します。
まず1つ目は、ATSによる応募プロセスに時間がかかり過ぎることです。ひとつの応募に、平均して6分から10分かかりました。それぞれでログイン用の新しいアカウントを作成し、パスワードを設定しなければならないことに加えて、履歴書をアップロードしても、解析プログラムの性能が悪く、ほとんどの内容を入力し直す必要がありました。さらに、何ページもある米国の雇用機会均等(EEO)の質問に答える必要もあります。こうしたストレスのたまるプロセスを実感し、フォーチュン500の企業でも潜在的な応募者の90%を失っているというデータの理由がわかりました。
2つ目は、採用工程で提示された多くのリンクに不具合があったことです。たとえば、面接を予約する招待リンクを受け取ったところ、予約の空き枠がないページが繰り返し表示されることもありました。空き枠がないことをメッセージで返信すると、システムは「理解できない」と返します。このようなバグのせいで逃した応募者は、どれだけいるのでしょうか。
最後に、自信がある求人に応募したにもかかわらず、全く返事がないことには強くストレスを感じました。応募するために性格診断テストを受けたにも関わらず、返事のひとつもなく、本当にもどかしい思いをさせられました。
残念な候補者体験は、採用企業にとってもマイナスに
業界の動向を長年にわたり知る Indeed では、残念な候補者体験は応募者だけではなく、採用企業にも損失をもたらすことがわかっています。Indeed の調査によると、72%の求職者は応募した企業との残念な体験を周囲に話し、64%はその企業の製品をあまり購入しなくなったといいます。
このような見過ごせないデメリットがあるのなら、候補者体験は毎年改善されていて然りと考えるかもしれませんが、実際はその逆です。Talent Boardによると、北米では不満を持つ応募者が昨年75%も増加し、この10年で最大の増加率でした。
さらに、不景気だとしても、求職者には多くの選択肢があります。採用プロセスに時間がかかる企業は、条件に合う人材を逃してしまいます。多くの時間とコストが無駄になることは言うまでもありません。
Indeed の使命は、求職者と採用企業の双方にとって、採用プロセスをシンプル、スピーディーかつ、人間味のあるものにすることです。採用企業が求める人材を採用できるように、応募者の質を向上させ、採用を効率化し、全体的なコスト削減につなげる、次のようなイノベーションに注力しています。
企業が求職者について知り、幅広くリーチできるようにサポート
Indeed には、現在2億2500万人のプロフィールが登録されており、その数は増え続けています(Indeed 調べ、ワールドワイド)。さらに、(2022年12月現在日本では未導入の) Trusted Media Networkを通じて、 Indeed 外部の全世界にいる1億8500万人の求職者にもリーチできます(出典:SimilarWeb)。
Indeed では、求職者のことをより深く理解するため、Indeed およびグループ企業のGlassdoorにおける求職者の活動、例えば、採用企業のクチコミを読んだり、求人に応募したり、採用企業の面接を受けるなどといったアクションから得た学びを活かしています。
また、求職者が共有している希望条件も、採用工程の効率化に生かされています。求職者は、希望する勤務地や勤務スケジュール、職種、給与など、関心のある求人の条件が指定でき、これにより、採用企業と求職者の双方が、希望に合わない求人によるミスマッチで時間を無駄にすることを防いでいます。
求人の透明性を継続的に確保する
求職者への透明性を確保する取り組みの一環として、米国では Indeed の求人にシフト、スケジュール、給与などの情報が表示されるようになりました。特に、給与の透明性は一番要望が多く、Indeed の調査によると、65%の求職者が、仕事内容において給与は最も重要な情報であると回答しています。給与の透明性を確保することは採用企業にもメリットがあり、給与が記載された求人への応募開始数は、記載されていない求人と比較して30%多くなっています(Indeed 調べ、米国)。すでに、Indeed に掲載されている米国の求人の60%に給与情報が記載されており、ほとんどは採用企業が直接、提示したものです(Indeed 調べ)。
求人と求職者の情報で、応募者の質を高める
Indeed では、応募者の質を高めるために求人と求職者の情報を収集しています。
2023年、米国では、採用企業があらゆる採用サイトに掲載された求人情報を Indeed 上で直接編集し、必須要件や給与、勤務地などを追加できるようになります。
また、応募者の質を高めるために、求職者が求人に記載された応募要件を満たしていない場合、求職者にその旨を伝えるといった機能も備わっています。私が前述の実験で応募した企業の一社では、Indeed のシステムから、私には製造および運用管理の経験が不足していることを指摘され、応募を考え直すきっかけになりました。
また、Indeed における仕事探しは、自分で求める仕事を検索する検索主導型から、自分のフィードにおすすめの求人が表示される提案主導型に移行しつつあります。
求職者は Indeed のウェブサイトにアクセスして求人検索をする必要がなくなり、代わりに、カスタマイズされたおすすめの求人が自身のフィードが表示されるようになるのです。米国などの採用企業には、Indeed での求人広告と、条件の合う候補者のフィードに自社の求人を表示する履歴書ソーシングツールの両方で、自社の条件に合った候補者にリーチするよう提案しています。
最後に、Indeed はより目標設定型でスキル重視の採用活動のサポートに注力しており、200以上のスキルアセスメントのライブラリや、構造化された審査用の質問などを提供しています。調査によると、これらは非常に効果的で、スキルアセスメントを追加した求人は面接合格率が高く、米国では採用の確率が77%増加しています。
自動化により、質を維持しつつ採用までの時間を短縮
2021年より導入された Indeed Hiring Platform(日本未導入)では、ソーシング、スクリーニング、スケジュール管理、連絡など、最初の面接までのステップの70%を自動化しています(出典:Indeed 調べ、米国)。
採用企業が求人への必要条件と自社で対応可能な面接の時間帯を事前に指定すると、面接の時間帯が候補者に表示されます。これにより日程調整の手間が省け、従来型の採用プロセスでは面接までに数週間かかっていたのが、数日間に短縮されました。
さらに、米国での調査によると、Indeed Hiring Platformの機能である Indeed Web面接を利用した採用企業では、自動面接リマインダーにより、応募者の面接キャンセル率が対面面接の企業と比較して40%減少しました。
また、Indeed の調査によると、全世界において過去1年間で面接を受けた420万人以上の候補者の75%が、採用企業により職務に適していると判断されたことがわかりました。また、米国の採用企業の84%が、Web面接によって応募者の多様性が向上したと回答しています。
採用プロセスにおける無駄の削減に注力
Jobviteによると平均的な採用単価は$4,500を超えていながら、40日間で採用につながるのは関心を持った候補者の1%未満です。これを鑑みると、一般的な採用プロセスには多くの無駄があると言わざるを得ません。
目標設定型キャンペーンでは、採用目標までの支出を調整することにより、無駄な宣伝費用を削減できます。目標応募数、目標応募単価に加え、目標面接数も設定できます。
私自身、前述の実験でも実感したように、求職者に応募してもらう過程で最大の無駄となっているのは、長い応募プロセスと、採用企業とのコミュニケーション不足です。対照的に、Indeed エントリーを利用している企業はコンバージョンが4倍に増えています(Indeed 調べ、ワールドワイド)。
コストを浪費し、候補者を逃す大きな要因として、面接日程の調整が自動化されていないことも上げられます。自動化されていないと、面接設定までに数日から数週間かかることもめずらしくありません。米国では、採用企業が Indeed Hiring Platformの面接日程の自動調整を使用した場合、従来のATSプロセスと比較して、クリックから面接までのコンバージョンが3倍高くなることがわかりました。
Indeed はこのような新機能により変化を生み出しながら、企業にとって重要な採用活動を成功させるために、Indeed 自体のビジネスモデルをどのように改善できるかも問い続けてきました。
そこで、FutureWorks 2022のイベントの基調講演では、2023年に主要な市場の大半において、Indeed のクリック課金型(PPC)モデルを、応募開始ごとの課金(PPSA)または応募に対する成果報酬型課金(PPA)に移行する計画を発表しました(日本導入未定)。
2022年には、これらの新しい課金モデルのテストが開始されいます。たとえば、米国の中小企業のお客様を対象に実施した成果報酬型課金のテストでは、採用企業に求人応募への必須要件を設定してもらい、応募資格を満たさない応募者を72時間以内に不採用にし、代わりの応募者を要求する仕組みも試しています。
2023年に向けた大胆な計画
私は、大胆な戦略こそ、成功につながると信じています。ご紹介したように、Indeed も来年に向けて抜本的な計画を持っています。これらは、候補者体験を改善し、採用活動をシンプルかつスピーディーに、そして、人間味のあるものにしたいという私たちの取り組みが反映された計画なのです。
この記事は米国版 Indeed LEADから翻訳・編集しました。