
学位よりもスキルが重視される職場環境がどのようなものか、そしてリーダーたちがそのビジョンをどう実践に移しているかをご紹介します。
キーポイント
- 学歴よりもスキルが機会を広げます。採用企業が学歴にとらわれない採用を行うことで、見過ごされがちな人材を発掘し、イノベーションを推進できます。
- 考え方を変えていくことが不可欠です。スキルファースト(職歴や学歴よりもスキルや能力を重視する)採用は、採用責任者が人材の定義、評価、サポート方法を変革することで初めて成功します。
- システムが変化を定着させます。共通のスキル分類体系、見習い制度、チェンジマネジメント戦略を構築することで、組織はスキルファースト(職歴や学歴よりもスキルや能力を重視する)採用を拡大できます。
人が仕事を探すのではなく、仕事が人を見つける未来を想像してみてください。求職者たちは、世界共通のスキルパスポートを持っています。スキルを強調し、正確性が検証され、常に変化し続ける動的なポートフォリオです。採用担当者は、履歴書、職種名、学位に頼らなくなっています。代わりに、実際に人材がどんな能力を持つかを見ます。
こうした未来では、スキルベース採用により、これまで機会を得られなかった人々に新たな可能性が開かれるでしょう。精密さを重視する大工が航空宇宙エンジニアと連携したり、ミュージシャンがパターン認識スキルを活用し、AIモデルをトレーニングしたりする未来です。また、化学を直観的に理解するシェフが、環境に優しい食品パッケージの設計をサポートするかもしれません。
Indeed の戦略的思想的リーダーシップ担当ディレクターであるAidan McLaughlinによると、これらは現実味のないシナリオではありません。スキルファースト採用の世界では、従来のシステムが見落としていた人材を活用することで、機会が拡大し、イノベーションが加速し、組織が繁栄します。
「学位や経歴ではなく、スキルが採用の通貨となるとき、あらゆる組織の未来を描く地図を自分で描けるようになります」と、McLaughlinは最近ニューオーリンズで開催されたIndeed FutureWorks 2025で述べました。彼はスキルファースト採用の可能性と実践について詳しく説明しました。その後、パネリストのJustin Hutchinson氏(ThreeSixtyEight)、Ebony D. Thomas氏(Grads of Life)、Beca Driscoll氏(Accenture)を迎え、すでに進行中の変革の実例を紹介しました。
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求人を作成するスキルファースト採用の人間的側面
Hutchinson氏にとって、この変化は個人的なものです。移民一世のアメリカ人の彼は、かつてフットボール選手になることを夢見ていました。しかし父親が癌と診断されて、家族の世話をするため大学フットボール、そしてNFLの夢を諦めました。Smoothie Kingに就職し、すぐに3店舗の管理職に昇進しました。
「来店されるお客様の名前、注文、車、お子さんの名前まで全て覚えました。店に入られる頃には、もうスムージーが出来上がっているようにしていました」とHutchinson氏は振り返ります。この、人を第一に考えるアプローチが、常連客の目に留まりました。クリエイティブエージェンシーThreeSixtyEightのCEOである彼から、インターンシップのオファーを受けました。Hutchinson氏によると、1年以内に事業開発を主導し、同社の収益を80万ドルから600万ドル弱まで押し上げたということです。現在、同社の成長担当副社長を務めています。
「STAR、つまり教育機関とは異なるルートを通じてスキルを身につけた(skilled through alternative routes)7,000万人以上の労働者を代表できることを誇りに思っています」とHutchinson氏は述べています。「STARはいたるところにいます。」
彼の経験は、学歴を超えて可能性を見出すことの重要性と、そうした採用を行う企業が、人材の獲得競争で優位に立つことを物語っています。
採用慣行を変えるには、考え方を変える
Grads of LifeのマネージングパートナーであるThomas氏は、Indeed が実施した、スキルファースト(職歴や学歴よりもスキルや能力を重視する)採用の導入方法を模索する20社の企業グループからなるプログラムのリーダーを務めました。
彼女によると、非常に「なるほど」と感じた瞬間の1つは、「才能や素質はあらゆるところに存在するが、機会は等しく存在しない」という言葉について参加者同士で考えたシーンでした。プログラム開始時点では、その言葉に同意していたのは参加者の約半数でしたが、最終的には全員が同意しました。「これにより、スキルファースト採用を成功させる組織には、考え方の根本的な転換が不可欠であることが明らかになりました」とThomas氏は述べています。
また、スキルファースト採用アプローチは一面的ではなく、総合的なものであると強調しました。
4年制大学の学位要件を撤廃することに加え、「求人内容を見直し、その職務を適切に遂行するために本当に必要なスキルを特定することも重要です」と述べました。
次は面接プロセスです。標準化を図り、全員が同じ質問を受け、同じ基準で評価されるようにします。しかし、その後も個人のオンボーディングが重要です。従業員が居場所があると感じられるような組織づくりをしていますか。そして、昇進の機会はあるのでしょうか」
彼女の結論:成功は、ポリシーだけでなく、考え方を変えることから始まります。
スキルのためのシステムを構築し、変化を定着させる
Accentureでは、この考え方の変化が10年以上前から進んでいます。
「グローバルなコンサルティング会社として、人材こそが私たちの中核です」と、Accentureの米国などで実施されている見習い制度(Apprenticeship)ディレクター、未来の人材育成リーダーのDriscoll氏は述べています。「私たちの従業員がクライアントにもたらすアイデア、革新性、専門知識、それが私たちのすべてです。そして、それがスキルにつながることを認識しています」
スキルを身につける方法は数多くあることを認識し、Accentureは人々のスキルを必要な業務に結びつける方法の確立に着手しました。 現在だけでなく、将来の働き方においても対応できるよう取り組んでいます。そこで同社は、8,000のスキルの分類法を構築し、職種や地域を超えた共通言語を作成しました。
「これは世界中の当社のすべての従業員に当てはまります。キャリアレベルや入社経緯は関係ありません。そして私たちにとって、それが信頼できる唯一の情報源となっています」とDriscoll氏は説明しました。これにより同社では、人材をプロジェクトに配置し、関連スキルを特定し、キャリアパス設計が可能になっています。
Accentureは2016年にプロフェッショナル見習いプログラムも開始しました。これは4年制大学の学位を持たない候補者向けに設計されたものです。その後、2,500人以上の見習い生が参加しました。ソフトウェア開発、データ、AIなどの分野で高い修了率と定着率を達成しています。
「学歴だけが成功の指標ではないことを、私たちは真に理解するようになりました」とDriscoll氏は述べています。
スキルファースト採用の未来:ビジョンから現実へ
参加者は、スキルファースト採用の取り組みを始める、または推進している組織に向けて実践的なアドバイスを提供しました。
- スキルファースト採用は事業戦略です。 Thomas氏は、スキルファースト採用は単なる人事戦略ではないことをリーダーに伝えました。「採用までの時間を短縮し、定着率を向上させ、思考のダイバーシティを高めることができます」と彼女は述べました。「それは事業戦略です。」
- 小さなことから始めて、徐々に勢いをつけていきます。Driscoll氏は段階的なアプローチを推奨しました。「私たちは5人のグループから始めました。プログラムや新しい取り組みをビジネスの新しい部門に導入するたびに、今でも小さな規模から始めています。そうすることで成長でき、機敏性を保てます。」
- 意図を持って変化を管理しましょう。「スキルファースト採用への取り組みは、変革管理の過程として捉えてください」とThomas氏は述べています。「これは組織にとって大きな変化であり、特に文化の変化です」明確な計画を立て、頻繁にコミュニケーションを取り、リーダーシップに責任を持たせます。
- 採用において人の声を大切にします。「人とのつながりの力を過小評価してはいけません」とDriscoll 氏は述べました。「私たちは皆、[Hutchinson氏の]話を聞きましたよね」自分の会社やチームに、ぜひ[Hutchinson氏のような人が]いてほしいと誰もが思いますよね。人々が自分のストーリーを共有できる場を作りましょう」
- ドアを開けるだけでなく、席を用意しましょう。 「STARや学位のない候補者に機会を与えるだけでは十分ではありません。彼らに真の意味で投資し、意見を伝える場を用意しましょう。そして、彼らのやりたいことを取り組む機会を与えましょう」とHutchinson氏は述べました。「どんな状況でも、彼らはきっと輝きます」
McLaughlinが聴衆に指摘したように、いわゆる「ベストプラクティス」や従来のやり方にこだわることで、進歩が妨げられる可能性があります。「イノベーションの最大の敵は確実性です」と彼は言いました。採用を見直し、スキルに関する制度を作り、学歴以上の部分で人に投資をする意欲のある組織には、大きなメリットがあります。より強固な人材とのつながり、よりインクルーシブな職場、そして将来に備えた労働力の確保です。
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