米国では2022年4月に440万人が離職し、米国内の求人件数は1140万件を記録しました。その後も求人数は増え続け、5月には40万件以上の新たな求人が追加されています。これは、仕事探しや仕事の再開にあたり、求職者の潜在的な希望が変化していることを示しています。変化する状況の中、求職者は今仕事に何を求めているのでしょうか。


Indeed のEnvironmental, Social and Governance(ESG)部門のSenior Vice President(SVP)であるLaFawn Davisは、「現在の労働市場は、求職者がより条件にこだわり、希望条件に見合う仕事を選べる状況になっています」と話します。 

企業がESGへの取り組む姿勢も、求職者の仕事選びの条件に含まれています。ESGとは、地球環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、事業活動を通じて地球環境保全に取り組むことを意味します。

明確なESG戦略と取り組みがある企業は、求職者が求人を厳選する際に好まれる傾向にあります。一方、目に見える、測定可能な形でESGに取り組んでいない企業は、求職者から敬遠されてしまう可能性があります。

Davisは、「こうした状況から、採用企業はさまざまな側面から人材を惹き付け、定着させるための戦略を見直しています」と言います。 

炭素会計ソフトウェアプラットフォームのPersefoni AIでChief Sustainability Officer(CSO)を務めるTim Mohinさんは、「勤務先を選ぶ上で、年齢が若い従業員ほど企業の社会的責任や環境への配慮を重要な要因と考えています」と話します。

求職者は今、自身の価値観と一致する会社を見つけたいと考えており、それは現職の従業員も同じです。

社会に実質的な変化をもたらすESG戦略の策定を 

Indeed のミッションは「We help people get jobs.」です。Davisは、Indeed はこのミッションに沿ってESG戦略と目標を展開しており、「求職者を誰一人置き去りにしない」社会に向けて変革に取り組んでいると話します。 

Indeed が提供するテクノロジーと、全世界の求職者との関わりが、Indeed のESG戦略を差別化する要因だとDavisは言います。

たとえば、Indeed のESG目標の1つは、前科がある、または学位を持っていないなど、求職活動で障壁に直面する各国の3000万人の求職者が、希望する仕事を見つけられるよう手助けをすることです。

Indeed はこの目標達成のために、「テクノロジーを活用して、求職者や求職者が直面する障壁をより深く理解し、機能していない採用活動を止められるようにする」必要があるとDavisは話します。

Indeed はまた、ESGの取り組みの一環として、「Global Product Advisory Council(グローバルプロダクト諮問委員会)」と名付けたリソースグループも発足しました。

100人以上のメンバーで構成された委員会では、Indeed が新サービスの運用を始める前に、サービスやマーケティング、ブランドの各担当チームに意見を提供し、すべてのコミュニティに役立つサービスが展開されるよう努めています。

「委員会がまとめた意見が、実際にIndeed の事業活動へ影響し、社内の変化につながっているのは素晴らしいことです」とDavisは話します。 

米国のフォーチュン誌が毎年発表している、全米の企業の総収入上位500をランキングしたリスト、「フォーチュン500」の企業の中には、自社のミッションと一致する、意義のあるESG目標を策定している会社も見られます。

たとえば、パーソナルケア事業を展開する多国籍企業のKimberly-Clarkでは、生理をめぐる羞恥心や罪悪感の解消などの意識改革に取り組み、低所得層の女性160万人に生理用品を無償で提供しています。さらに、世界各国のコミュニティに公衆衛生サービスやきれいな飲料水を提供しています。 

Kimberly-ClarkでGlobal Head of Talent Acquisitionを務めるCynthia Burkhardtさんは、「今日の労働市場の求職者は、社会に本当の意味で変化をもたらす企業への就職を希望しています」と語っています。

求職者にとって意味のあるESG戦略と目標の策定

オムニチャネル展開で業界の先頭に立つ小売業大手、Kohl'sでChief People Officer(CPO)を務めるMarc Chiniさんは、「社会を変えたい」という求職者の意志が、仕事を決める際の判断材料のひとつとなっていると考えています。 

「当社の新卒社員やまだ経験の浅い候補者から、面接で最もよく聞かれた質問は、サステナビリティや、ダイバーシティとインクルージョンへの取り組みについてです」とChiniさんは言います。 

さらに、Indeed のGlobal Talent AttractionのVice President(VP)であるScott Bonneauは、「ESGを重視する傾向がある求職者は、企業のESGへの取り組みに深いこだわりがあります」と話します。

ビジネスに成果をもたらし、人材の獲得や定着に役立つESG戦略を設定するには、次のような点に留意することをお勧めします。

  • ESGをボランティア活動や慈善事業と捉えるのはやめましょう。「ESGは事業戦略であり、目標は企業の目的と利益が交差する点であるべきです」とDavisは言います。 
  • ESG戦略が、道徳的な善良さをアピールするためだけの、いわゆる「美徳シグナリング」にならないようにしましょう。ESG目標と企業のストーリーを紐づけ、共感を得られるようにします。たとえば、Indeed のミッション、「We help people get jobs.」は、求職活動にかかる時間を50%短縮し、求職者の仕事探しを支援することで、失業状態から早く抜け出せるようにするというESG目標と紐づいています。 
  • 目標は公開しましょう。「SNSに投稿することで、採用候補者にKohl'sで働くとはどういう感じがイメージしてもらえますし、私たちの仕事が社会にどう貢献しているかを知ってもらえます」とChiniさんは話します。
  • 従業員主体で進めましょう。「従業員の全員に関わってもらいましょう」と話すのは、国際的な消費材企業のReckittで、Global HRのSVPを務めるChristine Geisslerさん。「ESGの取り組みにおいても、従業員が関心を持つテーマはそれぞれです。その熱意を活かし、彼らが望むやり方で組織の発展を支援するのがお勧めです。コアビジネスとの明確な関係を示し、ESGの取り組みは企業にとっても大切だと示します。有言実行は従業員のエンゲージメントにとって不可欠です」 
  • 従業員のイニシアチブとESG戦略が一致するようにしましょう。価値観を示し、関連ポリシーも導入するようMohinさんは勧めます。環境面や社会的な問題に対する企業の価値観と一致しない従業員グループやイニシアチブは、取り組みを進める上で望ましくありません。

企業にも社会にも良いこと

「私たちの誰もが、個人または採用企業や従業員として、将来、深刻な環境問題や社会問題に直面することになります。ESGのイニシアチブはそうした課題に向き合い、克服するために役立ちます」とDavisは言います。 

企業からすると、期限がある達成度の測定が可能なESG目標や戦略を持つことは、良い行いのひとつかもしれません。しかし、社会や個人の観点からは、ESGは今や、職場という社会組織にも組み込まれたものであり、求職者が企業を選び、働き続けるかどうかを決める重要な要素となり得るのです。

この記事は米国版 Indeed LEADから翻訳・編集しました。

翻訳・編集:Indeed Japan 編集部

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