仕事の未来での成功に欠かせない、適応力の高い候補者を見極める方法をご紹介します。

キーポイント 

  • AIが基礎的なタスクを自動化し、人間の役割が戦略策定やクリエイティビティの発揮へと移行するのに伴い、適応力は採用活動での最優先事項となっています。
  • 学位や業界での経験などよりも、問題解決能力のような能力を考慮しましょう。
  • 転職者や多くのスキルを持つ労働者、多才なリーダーなど、適応力のある候補者は、劇的な変革や変化が進む中でも活躍できます。

2025年世界経済フォーラムで Indeed CEOのChris Hyamsは、「今後数十年にわたって仕事を得られるようにするために、何よりも必要とされるスキルは適応力です」と話しました。「個人が持つ知識は、あまり重視されなくなっていくでしょう。なぜなら現在、知識や情報には誰でもすぐにアクセスできるからです」

Indeed でTalent Strategy Advisorを務めるKyle M.K.もまた、適応力を重視して採用することが、AIの活用が進む職場では極めて重要だと考えています。

「反復的な作業の多くはAIが自動化し、人間の役割は戦略的思考や発想力、エモーショナルインテリジェンス(心の知能指数)を発揮する業務に移行していきますが、このいずれにも適応力が必要となります」とM.K.は話します。「また、適応力は柔軟性とイノベーションにも結び付くため、景気後退やテクノロジーの変化をうまく切り抜ける上で役立つスキルだと言えます」

企業は、適応力を重視することで、柔軟性が高く、将来を見据えたチームを構築できるでしょう。それでは、採用担当者が候補者の適応力を見極めるにはどうすれば良いのでしょうか。

資格よりも能力を考慮する

スキルファースト(職歴や学歴よりもスキルや能力を重視する)採用のアプローチであっても、技術的なスキルが重視される傾向にあります。たとえば、候補者の学習能力と適応力の高さのような、あまり具体的でないスキルよりも、コーディング能力やソフトウェアの専門知識、業界での経験などが優先されがちです。ただ、AIを活用する職場では、こうした考え方がすでに古いとみなされつつあります。

「最大の変化として考えられるのは、人材採用のリーダーが資格よりも能力を評価するようになることでしょう」とM.K.は言います。「候補者はどのように学習するか?学習スタイルは視覚型か、聴覚型か、運動感覚型か?候補者が学習する速度とその正確性はどの程度か?このように、候補者の適応力と問題解決能力が極めて重要になります」

このような変化を受けて、採用担当者は候補者の評価方法を考え直す必要があります。成功を左右するのは、学位や経験だけではありません。学習して進化する能力が重要だと言えるでしょう。

先日、CNBCによる「Make It」のインタビュー(英語)でHyamsもこの変化に同意し、「面接を行えば行うほど、特定の知識や経験を求めなくなります」と述べました。その代わりにHyamsは適応力を重視して、候補者に「あなたが正しいと信じていたことが、完全に間違っていたと気付いたときのことを聞かせてください」と質問するそうです。

ハードスキル(専門性の高いスキル)よりも、ラーニングアジリティ(学習機敏性)や不快耐性(discomfort tolerance)などの特性を優先することで、急激な変化に対応できる従業員を確保できるでしょう。

適応力のある人材を見つける方法

それでは実際、候補者の適応力の高さはどのような形で表れるのでしょうか。採用プロセスで評価すべき、3つの主な特性を見ていきましょう。

1. STARs(Skilled Through Alternative Routes:他のルートでスキルを身に付けた労働者)に注目する

異なる業界や職種への転職に成功したことがある、または従来の教育課程以外で(場合によっては無関係な業界で)トランスファラブルスキルを身に付けた経験のある候補者は、適応力を持っていることが特に明確な場合があります。後者の人材はSTARsと呼ばれ、学位を取得する以外の方法でスキルを身に付けてきた労働者として、さまざまな環境でスキルを応用する能力をすでに実証しています。

M.K.は、学位や業界固有の経験に関する要件のような障壁を取り除くよう企業に促します。

「高い適応力を持つ人材の巨大な宝庫が、未開拓のまま眠っています」とM.K.は話します。「たとえば、バーテンダーは、顧客体験を担当するチームのマネジャー職の優れた候補者とは思えないかもしれません。しかし、じっくり検討してみると、バーテンダーは関係構築やマルチタスク、問題解決など、他の仕事にすぐに応用できるスキルに長けています」

評価方法:さまざまな分野でスキルをうまく活用してきた転職者やギグワーカー、独学の専門家(学位の有無を問わない)を探しましょう。

2. 「テッド・ラッソ」を見つける

適応力のある人材は、変化に対処するだけでなく、変化を通じてリーダーシップを発揮できます。優れた候補者は、多様性のあるチームのやる気を引き出し、変化する優先事項を調整しながら、長期的なミッションに焦点を当て続けます。M.K.はそうしたリーダーを、テレビドラマの登場人物になぞらえて職場の「テッド・ラッソ」と呼びます。

「「テッド・ラッソ」とは、さまざまなスキルを持つ人々がいるグループの意欲を高め、エネルギーの焦点を緊張感から高揚へと変化させられる人であり、周囲の雑音をはねのけ、チームを目標に集中させることのできる人です」とM.K.は説明します。

M.K.は、Indeed が掲げる「We help people get jobs.」というミッションを引用して、さらにこう話しました。「どのような組織再編が行われ、新しいテクノロジーが現れても、ミッション重視の姿勢は変わりません。適応力のあるリーダーは不確かな状況下でもチームのモチベーションを高め、長期的なミッションが変わらないことを認識しています」

評価方法:協調性があり、コミュニケーション能力が高く、エモーショナルインテリジェンス(心の知能指数)に優れた候補者を探しましょう。チームを率いて変化を乗り切った、または共通の目標達成に向けて多様性のあるチームを団結させた経験について尋ねると良いかもしれません。

3. 十徳ナイフのように万能な人材を見つける

適応力が非常に高い従業員の中には、さまざまな業務やツールの間、または必要に応じて異なる部署の間をシームレスに行き来できる人がいます。そうした十徳ナイフのように万能な人材は、幅広い才能と臨機応変に対応する能力、飲み込みの早さを兼ね備えており、AIを活用する職場には不可欠だと言えます。

「従業員が職務や部署を切り替えながら働く、部門を超えたハイブリッドな職種が増えてきています。たとえば、カスタマーサポートの担当者が、別の日にはデータ分析や製品へのフィードバックを担当する、といった具合です」とM.K.は説明します。「そうした従業員は、ただ仕事に順応しているのではありません。マインドセットや戦略的思考も切り替えているのです」

M.K.はこのような従業員を、単独の用途しかない金づちとの対比で、マルチツールに例えます。「マルチツールは値段が高いですが、多用途であるためもたらす価値も高くなります。同様に、企業は適応力のある従業員がもたらす価値を、給与や昇進に反映させる必要があります」

適正な報酬なしに従業員の職務を拡大する「Quiet Hiring(静かな採用)」に対し、M.K.は次のように警告します。「AIが生産性を高めているため、同じ仕事量をこなすために必要な人員は減っています。しかし、企業が従業員に複数の役割をこなすことを期待するならば、仕事量を増やすだけでなく、その価値を認めなければなりません。そうしないと、バーンアウト(燃え尽き症候群)が増加したり、エンゲージメントが低下したり、離職率が高まるリスクがあります」

評価方法:特に、さまざまなスキルや分野を切り替える必要のある環境で、複数の職務や業務をうまくこなした経験のある候補者を探しましょう。自分の主な職務とは別のスキルをすばやく習得して応用した経験や、異なる分野間での優先事項をどのように調整したかについて尋ねると良いかもしれません。

適応力を重視して採用することで、将来を見据えた人材を確保する

適応力は単なるスキルではなく、個人を超えてチームや組織全体に影響を与えるマインドセットです。適応力を重視した採用では、現在の変化に対処できるだけでなく、将来の需要に応えるため、自社の進化を促してくれるような人材を確保することが大切です。

M.K.はこう表現します。「AIは、私たちが完全には予測できないようなやり方で、仕事のあり方を作り変えていくでしょう。それに備える最善の方法は、AIとともに進化する準備ができている人材を採用することです」

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