新卒者の地方採用を成功させるためには?

新卒の女性のイメージ


地方学生の採用を成功させるためには、どのようなことを心がけるとよいのでしょうか。地方学生の就職における現状や傾向、アプローチのしかたや注意すべき点について、人材マネジメントを実務面からサポートしている株式会社人材研究所・代表の曽和利光さんに伺いました。

 
 

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新卒地方採用市場の現状


新型コロナウイルス感染拡大の影響で、採用活動の現場でもオンライン化が進みました。学生は全国の企業の採用試験を受けやすくなり、地方と大都市圏の学生の間に条件的な差はなくなりつつあります。
 
この状況を企業の視点から見た場合、優秀な学生を採用するチャンスが増えたと捉えることができるでしょう。一方で、首都圏の企業が採用の手を地方へ十分に伸ばすことができていない現状もあります。リクルートが運営する「就職みらい研究所」の「大学生の地域間移動に関するレポート2021」によると、首都圏の大学出身者が首都圏の企業に就職した割合は90.2%ですが、東海地方の大学出身者が首都圏の企業に就職した割合は8.5%、中国地方の大学出身者が首都圏の企業に就職した割合は10.0%などと、地方大学出身者が首都圏に就職する割合が大変少ないことがわかります。
 
この状況は、首都圏の新卒採用市場がレッドオーシャンであることに対し、地方にはまだまだ大きな可能性があることを表しています。「首都圏近郊の大学にしかアプローチしたことがないから」「地方の学生は地元で就職したいのでは」といった慣習や先入観を手放し、これまで目を向けたことがなかった地域へと範囲を広げることが、採用活動の活性化や成功のきっかけとなるかもしれません。

 
 

地方学生へのアプローチ方法


では、首都圏の企業が地方在住の学生にアプローチするにはどうしたらよいのでしょうか。実は、特別な施策を打つ必要はありません。これまで近県の学生中心に送っていたスカウトメールを地方の学生にも送るようにするだけでも、十分な効果が期待できます。
 
募集要項に「〇〇県の学生を積極採用」「地方の学生歓迎」と記載することは原則としてタブーとされますが、「東京の企業ですが地方出身者が◯割です」「〇〇地方出身者の採用実績あり」など、ファクトを伝えることはできます。このようにアプローチを少し工夫することで、地方学生へ安心感や親近感を与えつつ採用活動を行うことができるでしょう。
 
また、企業説明会や面接はオンラインで行うとしても、少なくとも最終面接だけは会社が交通費を負担して、地方学生に来社してもらうといった配慮も大切です。学生にとって遠方の企業に就職するということは、当然新しい土地で生活を始めることでもあります。一度でもその土地を訪れて一定時間を過ごすことが、新生活への不安解消につながるでしょう。
 
実際に来社してもらう際には、面接だけで帰すのではなく、社内を案内したり、社員に会わせたりする時間をできるだけ多くとってください。新型コロナウイルス感染の懸念がない状況であれば、学生と社員を集めて懇親会を開くのも有効です。

 
 

地方採用で注意すべき点


地方採用を行うにあたって事前に視野に入れておきたいことの一つが、地方から首都圏に出てきて一人暮らしをする際の家賃の問題です。これが学生にとってのボトルネックになり内定に至らないケースも多いため、地方採用を行う企業はどのようにフォローするかを考えておくことが大事です。
 
例えば「会社から〇km以内に住むと〇万円の手当」「地方出身者には入社から◯年間住宅補助を支給」といった何らかの条件を付与することで、地方出身者とそれ以外の社員の補助・手当のバランスを保つようにするのがおすすめです。また、今後も継続的に地方出身者を採用していく予定がある場合は、社員寮を用意することも一つの方法です。

 
 
 

参考:
リクルート 就職みらい研究所「大学生の地域間移動に関するレポート2021」
https://shushokumirai.recruit.co.jp/study_report_article/20210331002/
 
<取材先>
人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
 
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト

 
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