接遇研修とは? 自社に合った研修を行うための基礎知識

企業が商品(モノやサービス)の品質向上を目指すのは当然のことですが、同時にそれらを顧客に勧める社員の教育も必要不可欠です。
 
そのために行う「接遇研修」とはどのようなものなのでしょうか。接遇研修の基本的な知識や接客との違いなどについて、NPO法人日本サービスマナー協会マナー講師の石黒真実さんに伺いました。

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接遇研修とは

「接遇研修」とは、接遇スキルの向上を目的とした研修です。基本的なビジネスマナーや言葉遣いなどの習得・改善に加え、顧客満足(以下、CS/Customer Satisfaction)や顧客感動(以下、CD/Customer Delghit)について改めて考えることで、相手の期待に応える応対力を身につけます。
 
応対力の向上によって、お客さまの満足度を上げることができ、お客さまから選ばれる接遇が可能になります。相手の目線で考え、接することができるようになれば、社内におけるコミュニケーションも円滑になるほか、応対が原因となるクレーム予防にもつながります。

 
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接遇と接客の違い

接遇と混同してしまいがちな言葉に接客があります。それぞれの違いは、一般的に次のように考えられています。

  • 接客……お客さま(料金を払う人、招かれた人)に必要なサービスを提供すること
  • 接遇……接客にプラスして「おもてなし」や「思いやり」を込めて相手に接すること

お客さまに不快感を与えずにサービスを提供するのは接客の基本ですが、接遇にはさらにお客さまに満足感や感動を与えるサービスの提供が求められます。
 
また、接客が特定のお客さまに向けられているのに対し、接遇は相手や機会を限定していない部分にも違いがあるといえます。「遇」には、奇遇や遭遇といった思いがけない出会いや、千載一遇など良い巡り合わせといった意味があります。つまり、接遇にはその場に居合わせる第三者やそのときの社会の流れに合わせ、機会を大切にするという意味も含まれているのです。

接遇研修が求められる背景

接遇研修を取り入れる企業は増えていますが、その背景にはお客さま側の選択肢の多様化が挙げられます。数ある選択肢の中から自社の商品(モノやサービス)を選んでもらうためには、それらの品質のみならず社員の応対の品質を上げて、同業他社との差別化を図る必要があります。
 
商品を選び購入するのはお客さま、つまり「人」です。お客さまにモノやサービスの良さを適切に伝え、関係性を構築し、信頼を得るためには、応対品質に満足いただくことが何よりも重要なのです。
 
また、企業に「世間への配慮」や「社会貢献」が求められている昨今、より一層接遇が必要といえるでしょう。

接遇研修を導入するメリット・デメリット

企業が接遇研修を実施するメリット・デメリットには、以下が挙げられます。接客業に必要な研修と思われがちですが、業種を問わず、外部との関わりや社員同士のコミュニケーションをはかる機会に役立ちます。

 

◆接遇研修のメリット

  • 顧客満足、顧客感動を叶えるビジネススキルが身につく
  • 接客応対に必要な意識を持てるので、応対によるクレームが減る
  • コミュニケーションが改善されることで、社内の雰囲気が明るくなる

 

◆接遇研修のデメリット

  • 経費がかかる
  • 研修に時間をとられるため、業務に支障が出る可能性がある
  • 研修の効果の継続は社員個人の意識によることがある

接遇研修の内容と実施するまでの手順

接遇研修では、一般的に「ビジネスマナーの5原則(挨拶・表情・身だしなみ・態度・言葉遣い)の習得、CS・CD意識の見直しと応対練習を行います。ペアを組んでの挨拶・お辞儀・笑顔などのワークや応対者役・お客さま役に分かれてのロールプレイングなど、実践的に学んでいきます。
 
接遇研修を実施するためには、以下の手順を踏みましょう。

 

◆接遇研修の流れ

  1. 実施目的・背景・対象者の洗い出し
  2. 候補日と会場の設定
  3. 研修会社などに連絡(外部に依頼する場合)し、講師を決定
  4. 社員の応対の様子を録画・録音して講師と共有、もしくは講師による覆面調査を実施
  5. 内容調整
    ※4の普段の応対の様子をもとに行う
  6. 社内決裁
  7. 社内への発信や当日の備品・弁当・飲み物等の手配
  8. 当日の準備
  9. 接遇研修の実施
  10. 報告書の作成と講師とのフィードバックを実施
  11. 社内でのアフターフォローや継続度をチェック

 
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研修会社に依頼するのが効率的

費用はかかりますが、効率よく研修を実施するためには研修会社に依頼することも選択肢の一つです。接遇のプロである外部の講師を招くことで、よりよい研修が行えるのはもちろん、社員のリフレッシュや刺激にもつながります。
 
外部に依頼する場合、複数の研修会社にコンタクトを取り、費用や内容を比較検討しましょう。また、研修の目的や対象者によって内容を特化する必要があるのなら、その分野に強い研修会社に依頼します。たとえば、以下のような場合です。

  • コールセンター:言葉遣いや音声表現を重視
  • 医療関係:リスク管理や安全面に配慮しながら、痛みや苦しみに寄り添う表情や行動を重視
  • 葬儀関係:お客さまに緊張感や不安を与えない立ち居振る舞いを重視

費用やカリキュラムの提案がきたら、「当日までの連絡頻度や準備のスケジュール」「自社で用意するものは何か」「報告書はどのようなものがもらえるのか」などを確認し、研修の流れや効果をもっともイメージできた研修会社や講師を選びましょう。

自社に合った接遇研修の実施

自社に合った接遇研修を行うためには、研修を行う背景・理由・目的・対象者をはっきりさせておくことが重要です。講師や研修内容の選定を行いやすくなり、研修から得られる効果も高まります。

 

◆明確にしておくべき内容

  • なぜ研修を行うのか(どんなきっかけがあったのか)
  • 研修によって社員にどうなってもらいたいのか
  • 対象者はどのように決めたのか(業務、階層、入社年次のくくりなど)
  • 対象者の研修受講歴や、現在接遇面でできることとできないこと

研修内容を決める際は、企業の担当者と依頼した講師間で意見をすり合わせながら進めることも重要です。その上で、研修によって得たスキルを自分のものにし、かつ継続して発揮してもらうためには、社員個人の意識だけに頼らず、社員を管理する人事や管理職のマネジメントも重要になることを留意しましょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年10月時点のものです。
 
<取材先>
NPO法人日本サービスマナー協会 マナー講師 石黒真実さん
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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