テレワーク中の「中抜け」は労務上どのように扱う?

机の上にpcやコップ、メモ、電卓、メガネ、書類が置かれている写真

テレワーク中の社員が就業時間中、休憩時間以外で子育てや介護などの私用で中抜けした場合、労務上はこの時間をどのように処理すればいいのでしょうか。労働時間の管理について、うたしろFP社労士事務所の社会保険労務士、歌代将也さんにお聞きしました。

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「中抜け」とは

「中抜け」とは、就業時間のうち会社が休憩として認めている時間以外に、社員が通院や所用などの私用のため、一定時間職場を抜けることを指します。
 
通常のオフィス勤務の場合は、中抜けで不在の社員が明確であるため、事前に申請をしておけば、勤怠管理は比較的容易といえるでしょう。

 
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テレワーク下では「中抜け」の判断が難しい

一方で、テレワーク下では、業務中に席を離れる「中抜け」が発生しやすい傾向にあります。
 
原則的に自宅で業務を行うため、仕事とプライベートとの境目が曖昧になりやすく、子どもが休園中で在宅しているために世話をしたり、家族の介護を行ったりと、どうしても中抜けが発生するケースが多くなりがちです。
 
よって、テレワーク下では、会社は勤怠管理において、中抜け時間の判断など、取り扱いが難しいとされています。

労務上どう処理するべきか

◆始業時刻の繰り上げ、就業時間の繰り下げをする

休憩時間外の中抜け時間を労務上で処理するためには、事前に社員に中抜け時間の開始と終了の時間を報告してもらい、始業時刻を繰り上げる、または終業時刻を繰り下げることで、労働時間を調整することが可能です。
 
たとえば、通常の始業時刻が9時、終業時刻が17時で、休憩時間以外に1時間の中抜けがあった場合は、そのぶん始業時刻を8時にする、もしくは終業時刻を18時にすることで全体の労働時間を調整し、通常と同じ1日8時間働くことができます。
 
ただし、始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げを行うためには、あらかじめ変更を可能とする旨を就業規則に記載し、従業員に周知しておく必要があります。
 
会社側が所定労働時間を一方的に変更することは認められていないので注意しましょう。

◆フレックスタイム制度の場合

フレックスタイム制度を設けている場合は、中抜けした時間を労働時間に算入せず、他の労働日において労働時間を調整することが可能です。

◆時間単位の年次有給休暇として扱う

中抜けした時間を休憩時間ではなく「時間単位の年次有給休暇」として処理するのも方法の一つです。
 
労働基準法では、年5日の範囲内で1時間単位での年次有給休暇の取得が認められています。この場合、始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げの必要がなく、中抜け時間をそのまま年次有給休暇として取り扱うことができます。
 
ただし、時間単位の年次有給休暇はあらかじめ社員との労使協定を締結しておく必要があるので、事前の準備と周知が必要です。

 
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テレワークをより建設的に進めるために

テレワークは、働いている社員の姿が見えないことから、本当に業務をしているのかが確認しづらいため、勤務状況を可視化するために、個々のPCが動いているかを確認するアプリケーションを導入するなど「監視」に近い状況になっている会社もあります。
 
また、チェックがそれほど厳しくない会社においても「すぐに電話に応対しないとサボっていると思われるのではないか」と、プレッシャーに感じている社員も多いようです。
 
勤怠管理は重要ではありますが、仕事をしているか見張るよりも、チームや部署で1日単位、1週間単位で業務の目標を立てて成果を報告すると決めるなど、「生産性を重視する」という意識も大切です。
 
また、「15分以上席を離れる時はメールやチャットで申告する」など、ルールを決めておくなどすると、お互いが信頼し合い、よりテレワークがはかどるといえそうです。

 

※記事内で取り上げた法令は2021年2月時点のものです。
 
<取材先>
監修:うたしろFP社労士事務所 社会保険労務士 歌代将也さん
 
TEXT:宮永加奈子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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