採用サイトを用意すべき理由
採用サイトとは、企業が求職者に向けて採用に関する情報を掲載するサイトのことです。多くの場合、コーポレートサイトと違い、人材募集の有無や求めている条件、採用の基準などが詳細に公開されています。
採用広告からこの採用サイトへ誘導するケースも多く、求職者の立場に立ってみれば、就職先として関心を持つ企業であれば必ずチェックするサイトであり、採用戦略上、非常に重要な役割を担っています。
自社メディアである分、採用広告よりも自由度が高く、フォーマットに捉われることなく情報を発信することが可能で、人材を求める企業であれば必ず用意すべきものと言えるでしょう。また、採用サイトから人材を獲得することができれば、採用コストを最小限に抑えることができるのも大きなメリットです。
採用サイトにはどのような情報を掲載するべきか
採用サイトが伝えるべき情報としては、自社の社風や待遇などがまず挙げられますが、だからといってコーポレートサイトと同じ内容を掲載するのでは意味がありません。重要なのは、そこで働きたいと思わせることができるかどうかであり、働く側にとってどのような環境が用意されているのかを伝える必要があります。
そこで求職者により効果的に訴求するために、近年よく用いられるのは動画コンテンツです。文章や写真と比較しても、5分程度の映像で伝えられる情報量は多く、動画ならではの臨場感で自社の様子をリアルに知ってもらうことができるでしょう。
かつてはOB・OG訪問に頼っていた情報も、動画で社員が働く様子を伝えられれば、お互いに効率的です。特に若い人材の獲得を目指している場合、対象者がテキストよりも動画に慣れ親しんだ世代であることは意識しておかなければならないでしょう。
また、募集要項を明記することも必要ですが、だからといって自社が求めるものばかりを伝えるのではなく、相手側のメリットを明記することも大切です。たとえば、どのような魅力を備えた組織であるのか、事業にはどのようなやり甲斐があるのか、そして業務を通してどのような自己実現が期待できるのか。
とりわけ近年では、仕事を通した成長を目的に転職活動に取り組む人材も多く、キャリアアップに関する情報が重視される傾向があります。自社の一員となることで得られる可能性について、具体的かつわかりやすく発信することは、採用サイトの効果を向上させる秘訣のひとつでしょう。
採用サイトを制作する際の注意点
逆に、採用サイトに掲載すべきではない情報、使うべきではない表現もあるので注意が必要です。これは採用広告のルールにほぼ準じたもので、たとえば年齢や性別に関する制限や、国籍や宗教を問うフレーズ、さらには差別に通じる表現はすべてNGです。
いずれも採用担当者であれば常識と言うべきことばかりですが、それでも採用メディアに出稿する求人広告と異なり、自社メディアは専門の校閲・校正を通さず、直接公開できてしまうことにリスクがあります。もし、採用サイトに前述のような表現が含まれ、それが口コミで拡散してしまった場合、採用活動が不利になることは言うまでもありません。
採用サイトに掲載する内容は、事前に社内でのチェックを徹底する必要があり、人手に余裕があるのであれば、複数人でクロスチェックを行うことをおすすめします。
<取材先>
人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん 京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
TEXT:友清 哲
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト