「人事職」採用のポイントは? 入社意欲を高める募集要項の書き方

企業が人事職の募集を行う際には、どのような点に留意すればいいのでしょうか。「応募資格設定のポイント」「入社意欲を高める募集要項の書き方」「他社との差別化で取り組むべきこと」について人事コンサルティング会社の人材研究所代表、曽和利光さんに伺いました。

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応募資格をどう設定するか

企業が人事職を募集する際に、まず悩むのが「応募資格」をどう設定するかではないでしょうか。「人事は専門職だから経験者を採用したい」という経営者の声をよく耳にしますが、私は安易に経験者に限定した募集を行うことをおすすめしません。
 
そもそも人事部は、他部署と比べて少人数で運用していることがほとんどなので、人事の経験者自体そう多くはいません。加えて現役の人事担当者は会社や組織に愛着を持っている人が多く、転職市場に出てきにくい傾向があります。少ない人事経験者を他社と奪い合うため、経験者に限定した募集では十分な母集団を形成できない可能性があります。
 
また、人事経験者と一口にいっても、所属していた会社の規模によって経験する仕事の幅は異なります。大手企業では分業が進んでおり「給与計算しか経験したことがない」「新卒採用の知識しか持ち合わせていない」人もいます。人事経験者の中から自社の仕事を任せられる人材を探そうとすると、さらに採用難易度は上がるでしょう。
 
人事は未経験から活躍できない職種かというと決してそうではありません。私は、人事として活躍するうえで最も重要なスキルは「個人や組織の現状と本質を正しく見立てる力」だと考えています。このコアスキルは、たとえ人事経験がなくても養えるスキルです。
 
人事募集では経験者採用にこだわらず、募集要項に「未経験可」と記載し、人事としてのポテンシャルが高い人や、自社のカルチャー・仕事内容にフィットする人が面接に進めるよう間口を広げておくことをおすすめします。また、人事経験者のみを対象とする募集を行う際には、採用難易度を上げ過ぎないこと、自社の魅力をアピールして応募者の入社意欲を高めることなどを意識しましょう。

入社意欲を高めるために募集要項に書くべきこと

募集要項では、会社概要や給与・福利厚生など求人データだけでは伝わらない“会社の内情”を見せていくことが大切です。例えば、「経営者の人材観や組織観」「企業理念やミッション」「その会社ならではのカルチャー」などが挙げられます。
 
人事は、人や組織に興味を持っている人が多く、「この人たちのために働きたい」という貢献欲求が志望動機になり得ます。働く人や組織のあり方をしっかりと見せていくことが、入社意欲の醸成に繋がるでしょう。
 
また、「創業期」「成長・拡大期」「安定・変革期」など会社の成長ステージにより人事の仕事の面白さは変化します。創業期であれば経営に近い立場で幅広い仕事に携われますし、成長・拡大期であれば一つひとつの業務ボリュームが増え、人事としての経験値を高められるでしょう。安定・変革期であれば制度設計や組織開発に携われるチャンスが増えます。任せる仕事内容の詳細はもちろん、会社の成長ステージに合わせた人事の仕事のやり甲斐や醍醐味についてもぜひ記載してみてください。

他社との差別化で取り組むべきこと

事業内容や仕事内容、給与、福利厚生、職場のカルチャーなどすべての条件を魅力的に感じてもらうのは難しいでしょう。募集要項に書く条件の中で、候補者が魅力を感じてくれそうなのはどの部分かを明確に意識し、志望動機を形成できるよう詳細な情報を伝えるようにしましょう。
 
また、選考過程では他社への応募状況について確認しておくことも差別化には有効でしょう。もしも「経営者の人材観」を重視している候補者であれば、「応募企業の経営者の人材観についてどう思ったのか」を質問し、他社と比較して自社にはどんな特徴があるのかを伝えます。他社の状況をヒアリングしたあと自社の独自性を伝えることで、自然と他社との差別化が図れるようになるはずです。

入社前の詳細な情報開示が、自社が求める人事の採用に繋がる

人事担当者は、その会社の“理想”を体現する存在です。例えば採用を担当する人事はその企業で採用したい人材のひな形であるべきですし、その企業が目指す理念やミッションの伝道者であるべきだと私は考えます。より自社が求める人材を採用する必要がある人事職だからこそ、入社前の詳細な情報開示が重要です。
 
求める人物像や経営トップの考え方、独自のカルチャー、今入社することで味わえる仕事の醍醐味などをあらためて整理・言語化し、募集要項や面接で丁寧に伝えていくことが採用成功の鍵を握ります。


<取材先>
株式会社人材研究所 代表取締役社長 曽和利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後も一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『「できる人事」と「ダメ人事」の習慣』、『人事と採用のセオリー』、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』などがある。
 
TEXT:猪俣奈央子
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
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