福利厚生の充実で働きやすさを提供
まず、福利厚生には2種類あります。1つは、法定福利厚生といって、法律で義務付けられているものです。社会保険料の一部(または全部)負担などがこれに当たります。これに関しては最低限、募集時の情報や契約書などに明記しておくのがよいでしょう。
もう1つ、法定外のところで、企業のカラーによって通勤手当や住宅手当など、独自で設定できる様々な福利厚生があります。
福利厚生を充実させることが当然のような世の中の流れになってきており、制度が整っていない企業は求職者から検討すらされなくなる可能性があります。働きやすい環境かどうかは、求職者が就職先を見極める上で重要なポイントになっています。企業は、自社の福利厚生があまり充実していないなら、整備を検討したほうがいいでしょう。時代に応じて求められている「働きやすさ」を提供していくことが大切です。
採用で福利厚生をアピールすることのメリット・デメリット
◆メリット
いくつかの企業を並行して受けている求職者にとって、給与などの条件面が同等であれば、福利厚生の充実がプラスに働くことは多いにあり得るので、福利厚生はアピールしておくに越したことはないでしょう。
◆デメリット
アピールすることのデメリットはほとんどありません。しかし、福利厚生が整っていることを売りにし過ぎると、福利厚生だけが目当ての求職者が来てしまうかもしれません。企業理念への共感や、仕事内容に感じる魅力などではなく、「福利厚生が充実したホワイト企業だから受ける」という少々受け身な思考の求職者が増える恐れはあるでしょう。
学生に対してアピールするメリットのある福利厚生は?
今の若い方、特に女性は、出産や育児に関する福利厚生をかなり重視している印象です。育休はとりやすいか、育休の間のケアはどうか、育休をとったあとに復職しやすいか、などです。これらが整っているのであれば、アピールするメリットは大きいでしょう。
また、リモート勤務ができるかどうかも重要です。ただ、大学の授業がリモートになり人間関係が希薄になってしまったことをマイナスと捉えている学生も一定数いるので、リモート環境は整っていながらきちんとしたケアや横のつながりなども充実させていると、よりプラスになります。
また、学生はキャリアがない分、スキルを身につけられる研修など、学びたい意欲を満たせるような制度の需要が高いです。そういった福利厚生があるならアピールしたほうがプラスになるでしょう。
転職者に対してアピールするメリットのある福利厚生は?
社会人の場合は労働条件が悪くて前職を辞めているケースもあるので、リモート勤務ができるか、休暇がきちんととれるかなど、よりワークライフバランスが整った環境を目指せるような制度を重要視する方も多いです。
フレックスタイム制を導入しているとか、在宅勤務OKであるとか、有給がとりやすいといった働きやすさに関する福利厚生があるなら、好ましく思われるでしょう。
管理コストは増えるが充実させて損はなし
制度を作れば利用するのに申請が必要なため、社内の管理コストは増えます。そして特定の性別、あるいは職種だけ優遇されているのではないか、といった不満の声があがることがないよう、制度の公平性に関して、経営者が説明しなければならない場面も出てくるでしょう。
ただ、福利厚生を充実させることで求職者へ好印象を与え、独自で先進的な福利厚生を取り入れていれば企業のPRになることもあります。制度を整えるのに多額の費用がかかるということもないので、社内の公平性や、制度として運営する人的コストを許容できるのであれば、ぜひ充実させてアピールしていったほうがよいのではないでしょうか。
<取材先>
core words株式会社 佐藤タカトシさん
TEXT:小林麻美
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト