ベースアップと定期昇給はどう違う? 知っておくべき昇給の基礎知識


経団連が発表した2021年春闘の最終集計によると、ベースアップと定期昇給を含む大手企業130社の月給引上げ率は平均1.84%と、8年ぶりに2%を下回る低水準でした。
 
そもそもベースアップや定期昇給とは何なのでしょうか。違いやメリット・デメリット、導入の際の注意点などについて、社会保険労務士法人・堀下&パートナーズ代表社員の堀下和紀さんに伺いました。

 
 

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ベースアップとは


「ベースアップ(通称:ベア)」とは、会社の業績が向上した場合やインフレが起こった場合に、それに応じて賃金水準を底上げする昇給制度です。給与内訳のうち基本給(ベース)に対する昇給であるため、ベースアップ、略してベアと呼ばれています。
 
不定期で実施され、労働者全員がもれなく同額・同率で基本給がアップするのがベースアップの特徴です。

 
 

定期昇給とは


「定期昇給」とは、毎年決まった時期に行われる昇給のことです。昇給する回数や時期は企業によって異なります。
 
定期昇給には、年齢や勤続年数などによって自動的に昇給額・昇給率が決定する「一律型」と、個人の成績に応じて昇給額・昇給率が決定する「成果型」があります。
 
一律型と成果型で昇給条件は異なりますが、労働者によって昇給額・昇給率が変化するのが定期昇給の特徴といえます。

 
 

それぞれのメリット・デメリット


ベースアップと定期昇給には、それぞれメリットとデメリットがあります。しっかり把握してから、導入を検討しましょう。

 
 

◆ベースアップのメリット

 

  • 企業の収益を労働者に還元することで、労働者のモチベーション維持が期待でき、生産性アップにつながる。
  • インフレによる給与の目減りを調整することで、労働者に安心・安定を与えることができる。

 
 

◆ベースアップのデメリット

 

  • 一度実施すると、全労働者の給与水準が高いまま維持されるので、業績によっては企業の負担が重くなる。
  • 一律アップであるため、成果を上げている労働者からは不満が出やすい。

 
 

◆定期昇給のメリット

 

  • 決まったタイミングで昇給が実施されるため、労働者に安心・安定を与えることができる。
  • 成果型の場合は、頑張った分が給与に反映されるので労働者のやる気につながり、業績アップが望める。

 
 

◆定期昇給のデメリット

 

  • 一律型の場合、成果を上げなくても自動的に給与が上がるので、安心感が逆に労働者のモチベーション低下につながり、業績が下がる可能性がある。
  • 成果型の場合、評価基準が曖昧だったり成果が見えにくかったりする業種だと、労働者から不満が出る可能性がある。

 
 

ベースアップと定期昇給のルール


ベースアップや定期昇給に関する法的規定はないため、必ずしも実施する必要はありません。昇給制度を導入しないのであれば「昇給なし」で問題はありませんが、昇給に関する要件は就業規則の絶対的記載事項です(労働基準法第89条第2項)。
 
昇給制度を導入する場合は、必要事項を就業規則に定め、それに沿って実施します。「昇給は毎年1回行う」のみの規定ならば、毎年必ず、ベースアップまたは定期昇給を実施しなければなりません。昇給がないケースもある場合は、「昇給は毎年1回行う。ただし、会社の業績によっては昇給を行わない」など、その旨を定めておく必要があります。

 
 

昇給制度を導入する際の注意点


一律で賃金を底上げするベースアップには慎重になる必要があります。基本給は一度上げてしまうと業績が悪化したからといって簡単に下げることはできないからです。また、ベースアップにはインフレ時の調整という役割もありますが、昨今の経済状況ではその必要性は消えつつあります。
 
一律型の定期昇給の場合、企業への貢献がなくても年齢や勤続年数だけで毎年自動的に給与は上がっていきます。人員の入れ替えがなければ、年々人件費は増加します。導入する際には総人件費の推移をしっかりと見定める必要があるでしょう。
 
成果型を導入する場合は、評価基準の明確さが何よりも重要です。そこが整備されていないとトラブルのもとになってしまいます。
 
近年、成果主義に基づいた賃金設定を重視する傾向が強く、ベースアップや一律型の定期昇給を見直す企業も出てきています。しかし、成果主義が行き過ぎてしまうと、労働者の定着率の低下につながるなど、マイナス面もあります。企業のリスクや労働者のモチベーション維持など、バランスを考えて導入を決定しましょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年9月時点のものです。
 
<取材先>
社会保険労務士法人 堀下&パートナーズ 代表社員 堀下和紀さん
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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