「人材」を「人財」と書く理由とは?
「人財」は比較的経営者が使うことが多いと感じる言葉です。要は「この会社の人材は宝であり財産だ」という表現として使います。
ただ、「人材」の「材」も経営や事業の材料という意味ではなく、「持って生まれた能力、役に立つ才能」といった意味で使用されています。元々間違いでも悪い意味でもないのですが、「人財」という言葉はよりわかりやすく「大切にしている」という意味合いを込めて使っていることが多いと考えられます。
「人財」と書くことで与えられるイメージとは
今は人材そのものを資本として考える「人的資本」や従業員が持つ能力を資本として考える「無形資本」を大切にしようという流れがあります。採用の場面でも、企業の財務指標や株価ではなく、「本当の価値は何か」ということを大切にしていると感じさせてくれる会社に応募が集まっている傾向があるのです。
採用に限らず、社員を使い捨ての労働力としてではなく、価値を生む人として捉え、育てている企業という印象を持ってもらえた方が、様々な面で企業にとってプラスに働きます。そのため、あえて「人財」と書くことで「人を大切にする企業姿勢である」ことをわかりやすくアピールできる面もあるかもしれません。
ただ、「財」と書くことで「財宝」「財貨」といったイメージから金銭的なことを連想して敬遠する人もいます。
「人財」という言葉を採用に使うときの注意点
「人財」と書くことで「社員を大切にします」というイメージをアピールしたいのなら、そこに込める想いを採用担当者がしっかり理解しておく、実際に従業員が働きやすい環境を作るなどの体制を整えておくことが大前提になります。
社員からすると、「人材」を「人財」と書いているからといって、それだけで大切にされていると思えるわけではありません。「人財」という言葉の裏にある思いを反映させた施策があってこそ「大切にされている」と感じるのです。
ですので、「人財」という言葉を使っただけで採用が有利になることはありません。あくまでも、企業の理念や制度を伝えるために「人財」という言葉を使うなど、表現手段のひとつとして捉えましょう。
「人財」を使うなら事実に裏打ちされた説得力が必要
言葉としては、「人材」と「人財」のどちらも間違いではありません。一般的な「人材」ではなくあえて「人財」という言葉を使うのなら、その言葉に込めた思いや、実際にその言葉を信用するに足る施策、制度をきちんと社内外に打ち出し、説得力を持たせる必要があるでしょう。
<取材先>
core words 株式会社 佐藤タカトシさん
TEXT:小林麻美
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト




