その前に!年齢・性別にかかる差別を禁止する法律とは
年齢に関する差別を禁止している法律は「労働施策総合推進法」(旧:雇用対策法)です。義務化されたのは平成19年度と、歴史としてはそれほど古くはありません。詳細は厚労省のこちらのページをご参照ください (※1)。
一方、性別に基づく差別は「男女雇用機会均等法」によって禁止されています。詳細は厚労省のこちらのページをご参照ください(※2)。
求人で年齢差別を未然に防ぐためのポイント
では、求人において年齢差別を未然に防ぐためには、どんな点に配慮すればよいかをご紹介します。
◆何がNGに該当するのか?
求人は、年齢不問であることが原則です。
従って、「20代を積極採用中」「応募資格は40歳未満」等、具体的な年齢上の制限や具体的な年齢に言及することはもちろん、「若者歓迎」といった表記も、法令違反に該当します。
◆配慮のポイントは?
条件面で上述のような表記をするのではなく、その職場の実態に基づく情報を提供しましょう。
飲食店のホールスタッフを例にしてみます。重い鉄板などを持つため、体力的にハードな仕事なので、若手のアルバイトが活躍している職場で、今後も積極的に募集したいと採用担当者が考えているとします。この場合、以下のように職場の実情を記載することは、純然たる事実に基づく情報提供といえます。
(例)
・高校・大学生が多く活躍中
・学生も活躍できる職場です
・スタッフの半数以上が10〜20代の方々です
◆年齢制限についての例外は?
実際に年齢に関する制限を設けている求人も存在します。
(例)
・定年年齢を設けている企業がそれを上限に労働者を募集採用する場合
・長期勤続によるキャリア形成のための若年者を募集・採用する場合
以上のようにいくつかの例外があります。詳しくは法律の詳細(※1)をご確認ください。
求人で性差別を未然に防ぐためのポイント
次に、求人における性差別を未然に防ぐためには、どんな点に配慮すればよいのかをご紹介します。
◆何がNGに該当するのか?
例えば、「女性歓迎」「男性限定」「主婦の方積極採用中」など、明らかに性別を限定していると受け取られる表現は法令違反にあたります。
また、募集職種に関しても、「カメラマン(→フォトグラファーならOK)」「保母(→保育士ならOK)」など、性別を区別する名称を使用することも、性差別と受け取られます。
◆配慮のポイントは?
男性・女性いずれかに限定したり、優先・優遇したりする募集は基本的にできません。書き方に注意をしましょう。
募集職種については、例えば飲食店での人員募集なら「ウエイター」「ウエイトレス」とは書かずに、「ホールスタッフ」と記載する。営業職の増員なら、日常的に使われがちな「営業マン」を避け、単に「営業職」「営業スタッフ」「営業担当者」といった言葉を使いましょう。
また、年齢と同様、その職場の実態に基づく情報の記載は、性差別にはあたりません。例えば、「女性歓迎」といった書き方は性差別に該当しますが、「女性スタッフが多数活躍中」「スタッフの7割が女性です」といった表現であれば、現状に基づく情報を提供していることになります。
◆性別に基づく制限の例外は?
例えば、守衛や警備員等のうち防犯上の要請から男性の従事が必要である職務、保健師助産師看護師法により男性の就業ができないケースなど、いくつかの例外が存在します。詳しくは法律の内容(※2)をご確認ください。
年齢や性別ではなく、人物や本人のスキル・能力をみて採用を
ここまで求人情報に関する、年齢・性別記載の注意ポイントを紹介してきましたが、いかがでしたか。
年齢や性別にウェイトをおいた採用は原則法令違反になることを再認識し、社員やスタッフと自社に適した人材について話し合ってみるとよいかもしれません。そして求人情報に掲載する内容を見直してみましょう。
年齢や性別にとらわれず求人情報を掲載することで、より多くの人から応募が集まったり、優秀な人材を確保できたりする可能性があります。
(※1) 厚生労働省 「募集・採用における年齢制限禁止について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/topics/tp070831-1.html
(※2) 厚生労働省 「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html