内定を電話で通知しても良いのか
必要な書類や今後の流れなどの説明があるので、記録に残らない電話だけで伝えることは不親切かもしれませんが、電話すること自体は特に悪いことではありません。採用する求職者の人数にもよりますが、できるなら電話での通知を行うほうが丁寧です。
ただし、当然デメリットもあります。電話でのコミュニケーションだけに頼ることは難しいでしょう。
電話で内定通知をするメリット、デメリット
◆メリット
大きなところでは、やはり候補者と直接話せるということです。メールだと送って終わりということが多いですが、電話なら内定の理由や背景、テキストにできないような気持ちの部分を伝えることができるので、採用する求職者の意欲の向上、会社への気持ちの引きつけにもつながります。
また、その場でやりとりが発生するので、他社の選考状況や自社への志望度など、微妙なニュアンスも含めて確認できます。相手の本音の部分を探り、自社への意向を見極められるチャンスになるのではないでしょうか。迷いがありそうな求職者の不安を払拭できる可能性はメールより電話のほうが高いです。
◆デメリット
電話では細かい事務連絡の部分を記録に残すことができず、きちんと伝わっているのか、理解されているのか、言った言わないにならないかなどの不安が残るので、できる限りメールと併用するのがベストです。また、電話嫌いな人は一定数いるので、相手がそうだった場合、電話というだけでネガティブな印象を持ってしまうかもしれません。
そして、単純に電話が繋がらないというリスクもあります。相手の都合もあるので、留守電にメッセージを入れても折り返しがないケースなど、連絡が後ろ倒しになってしまう可能性もあるため、メールを一通送るだけに比べたら工数がかかることは覚悟しましょう。
また、相手と直接やりとりができることで入社への意向をあげられる可能性があることはメリットですが、逆を言えばこちらの態度次第では意向が下がることもあります。
候補者の情報を振り返り、きちんと準備してから電話をかけるなど、候補者へのリスペクトを持って臨みましょう。
電話で伝える際の例文
情報提供は先にメールで行っておくのがスマートです。内定通知メールを送った上で、電話でその後押しをするようなイメージですが、電話での内定の伝え方の例文は以下です。
「○○株式会社の人事課採用担当の××です。こちら、△△さんの連絡先で間違いないでしょうか? (肯定の返事があって)先日は弊社の最終面接に来ていただき、ありがとうございました。
いま、5分10分お時間いただいてもよろしいでしょうか?(A)」
(A:いまは難しいと言われた場合)
では、また後ほど折り返します。△△さんのご都合のよい時間帯をお伺いしてもよろしいですか? (聞いて)かしこまりました。では、本日の○時~○時あたりに再度ご連絡します。
(A:大丈夫ですと言われた場合)
弊社の最終面接を受けていただき、検討した結果、△△さんにぜひうちの会社に来ていただきたいということになりました。(B)
(B:考えたいと言われた場合)
かしこまりました。差し支えなければ、ほかにどういった会社を受けておられるのかお伺いしてもよろしいですか? どういう点でうちと迷ってらっしゃるんでしょうか。(聞いて)そうなのですね、わかりました。
(不安の払拭のために役員と話す機会を設ける提案をしたり、条件面での迷いなら改めて条件面の確認やすり合わせをしたり、相手の意向を聞き出せるようにフランクに話す)
ではお待ちしていますので、○月○日までに△△さまの意思を電話かメールにてお知らせください。よろしくお願いいたします。
(B:ありがとうございますと言われた場合)
今後の手続きに関しましては、先にお送りしているメールの通りです。○月○日までに、書類を出してくださいね(など、メールの内容を復唱)。ほかに、困ったことや聞きたいことがあればいつでも遠慮なくメールしてください。もちろん、電話でも構いません。
本日はお時間をいただきありがとうございました。△△様と一緒に働けることを楽しみにしております。では、失礼いたします。
内定通知の電話は感謝と歓迎の気持ちを込めて
内定通知の電話で候補者が承諾をした瞬間は、選ぶ側と選ばれる側から、同じ会社の仲間になる瞬間でもあります。なれなれしすぎず適度に配慮しながら、同僚に接するように親しみを込めて、堅苦しくなく歓迎の意を表すのがよいのではないでしょうか。
<取材先>
core words株式会社 佐藤タカトシさん
TEXT:小林麻美
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト
