採用戦略のフレームワークとは? 3つの手法と活用するメリット

採用戦略のフレームワークのイメージ


マーケティングや企業の戦略立案に用いられるフレームワークは、採用戦略にも役立ちます。代表的なフレームワークや、採用戦略で活用するメリットなどを人事・採用情報に詳しい、組織人事コンサルティングを手がける株式会社新経営サービスの大園羅文さんに伺いました。

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採用戦略のフレームワークとは?


フレームワークとは「枠組み」や「骨組み」という意味を持ち、マーケティング戦略や企業の戦略を考えるうえで有効な手法として知られています。
 
引きだしにモノを整理して入れていくようなイメージで、フレームという枠組みに課題や自分たちの考えなどを整理して入れていくことで無駄や漏れを防ぎ、戦略を効率的に検討することが可能です。
 
昨今、採用市場は、売り手市場の進行に加え、コロナ禍によるオンライン化により激化しました。改めて自社の採用活動が正しいやり方なのかどうかを見直すために、様々な要因を分析して判断する採用戦略が求められています。
 
中長期的な視点に立って、自社の将来を担う人材とはどういう人か、それをどうやって獲得していくかといった戦略を効率的に立案するために用いられるのが、採用戦略のフレームワークです。

代表的なフレームワーク3選


代表的なフレームワークを3つ紹介します。 自社にとって取り組みやすいフレームワークを選んで活用してみましょう。

 

◆3C分析


「顧客(求める人材):Customer」、「競合:Competitor」、「自社:Company」という3つの「C」で始まる要素について分析を行い、自社の優位性を構築するために必要な市場環境を把握する際に用いるフレームワークです。
 
採用戦略では、自社が訴求すべき魅力や強みを考えるにあたって、まずは、顧客=求職者のニーズや採用市場の動向を把握する必要があります。たとえば、昔は昇進や給与などが重視されていたかもしれませんが、今はワークライフバランスや女性活躍が求められているかもしれません。自社がターゲットとする求職者や採用市場の動向を把握しておくことが大切です。
 
そして、競合他社の分析も重要です。競合他社については、面接で候補者に他にどんな企業を志望しているかを差し支えない範囲で聞き、挙がった企業をベンチマークにするのも良いでしょう。その会社の説明会やインターンシップ、打ち出している魅力などを確認しておきます。
 
競合他社の強みや魅力、自社がターゲットとする求職者や採用市場の動向が見えてくれば、自社のポジションやとるべき戦略が見えやすくなります。顧客と競合の両面から、自社が訴えるべき強みや魅力を考え、訴求力の高い戦略を立てることに役立ちます。

 

【競合】 競合他社の採用活動(ターゲット) 訴求している魅力・強み 【自社】 顧客/市場・競合を踏まえた、求職者に訴求すべき魅力・強み 【顧客・市場】 求める人材が就職先に求める条件(待遇・働き方等) 求職者の動向3C分析の要素(株式会社新経営サービス 大園羅文さん作成)

 

◆4C分析


「Customer Value(顧客にとっての価値)」、「Cost(顧客の負担)」、「Convenience(顧客にとっての利便性)」、「Communication(顧客とのコミュニケーション)」の4つのCで分析する、顧客視点での戦略を考える際に用いられるフレームワークです。採用戦略では、求職者視点で考えることで、自社が打ち出すべき強みや魅力を分析することができます。
 
Customer Valueでは自社に入社するメリット、たとえば、やりがいや待遇、福利厚生などを考えていきます。
 
Costはメリットの逆です。たとえば、休日が多いというメリットがある一方で、給与がそれほど多くないなどの懸念点が、ここに当てはまります。
 
Convenienceでは、「会社が駅から近い」などのほか、採用の過程で担当者のレスポンスが早い、やり取りや日程調整がしやすい点なども挙げられます。
 
Communicationでは、たとえば、オンライン面接に対応していたり、気軽に相談できる雰囲気づくり(心理的安全性の確保)なども強みになります。

 

【Customer Value(価値)】 求職者が入社することで得られるメリット(仕事のやりがい・待遇・福利厚生など) 【Cost(負担)】 求職者から見た入社した場合のリスク・懸念点(給与・仕事・働き方・通勤時間等) 【Convenience(利便性)】 自社への応募・日程調整・連絡のしやすさ(レスポンス・柔軟な対応・アクセス良好) 【Communication(コミュニケーション)】 コミュニケーションの取りやすさ(オンライン対応・心理的安全性)4C分析の要素(株式会社新経営サービス 大園羅文さん作成)

 

◆SWOT分析


自社の「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、外部の「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」の情報を整理し、自社と外部の項目を組み合わせることで、自社の特徴や立ち位置を分析するフレームワークです。
 
Strengthは、競合他社と比較したときに訴求できる自社の強みです。一方、Weaknessは競合他社に負けている部分、求職者から敬遠されていそうな部分です。
 
Opportunityは、プラスに働く可能性がある環境変化です。たとえば、オンライン面接やリモートワークの普及により、場所にとらわれず働くことができ、応募が増加するなどの変化が挙げられます。一方、Threatは、市場の変動です。たとえば、生産年齢人口の減少、採用選考の早期化、地方の企業の場合であれば過疎化の進行などが挙げられます。
 
4つの項目を洗い出すことで、次のステップに向けた課題とゴールの設定を行え、課題を解決しながらゴールに向けて採用力を強化していくことが可能です。

 

【Strength(強み)】 求職者にアピールできる会社の強みや魅力(理念・仕事・人・特権) 【Weakness(弱み)】 求職者に敬遠されそうな会社の弱みや企業風土 【Opportunity(機会)】 プランに働く可能性がある環境要因・環境変化(採用のオンライン化・テレワークの推奨) 【Threat(脅威)】 マイナスに働く可能性がある競合企業の動向や環境変化(採用活動の多様化・早期化)SWOT分析の要素(株式会社新経営サービス 大園羅文さん作成)

採用戦略でフレームワークを用いるメリット


上で紹介した以外にも様々なフレームワークがあります。採用戦略において、そういったフレームワークに当てはめて考えていくことで、大きく以下の3つのメリットがあります。

 

◆効率的・効果的な採用活動が推進できる


自社が求める人材を採用するための勝ちパターンを確立することで、無駄のない採用活動の実現につながります。また、採用活動における様々なタスクがあるなかで「求める人材の採用」という目標を見失うことなく遂行できます。

 

◆自社の強み・弱みを客観的に把握できる


採用担当者の私見では、どうしても偏った見方になりがちです。特に、長年採用を担当していたり、1つの会社でしか経験がなかったりすると偏りも大きくなります。フレームワークを使うことで、自社の強みや弱み、市場の動向や顧客(求職者)のニーズを客観的に捉えることができ、求める人材にアピールできる採用施策を打ちやすくなります。

 

◆採用力の強化につながる


様々な分析を行ったうえで採用活動の方針を立案し(Plan)、それに沿った採用活動を推進し(Do)、またその効果検証を行い(Check)、改善策を立案・実行する(Action)というPDCAを回していくことで、採用力の一層の強化につなげることができます。
 
コロナ禍での採用市場の変化、早期選考などをはじめとする採用選考の多様化、さらに生産年齢人口の減少など、変わりゆく時代に対応できる採用力をつけるためには、客観的な視点が大切になります。フレームワークを活用して自社の強みや魅力を客観的に見つめ、中長期的な視点に立ってPDCAを回していくことで、どんな時代でも人材を確保できる底力をつけてください。

 

<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
 
中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。「人材採用力の強化」を得意テーマとし、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。採用情報サイト『ヒトノトリカタ』を運営。
 
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト


 
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