エンジニア採用が難しいとされる主な理由
自社が求めるようなエンジニアをなかなか採用できない場合、その理由は主に以下の3つが考えられます。
◆エンジニア市場の人手不足
第一に、企業の需要に対して純粋にエンジニアとしての働き手が不足している点が挙げられます。2019年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると、2025年のIT人材の不足数は36万人、2030年は45万人になると予測されています。
人手不足の理由の一つは、IT業界に加え、非IT企業もエンジニアを求めている状況にあります。小売業やコンサル、メーカーなど、これまでITとは直接関わりのなかった業界でも高度なIT技術が積極的に活用されるようになり、エンジニアを採用したいと考える企業が増えています。
◆トレンドの変化が激しく、特定スキルを持つ人材が限られる
プログラミング言語を用いて様々なサービスやシステムを構築できますが、目的によって幾多のプログラミング言語が存在し、時代とともにトレンドが移り変わっていきます。その時々の業務課題により設計されるアーキテクチャが異なるため、採用条件に当てはまるスキルを身につけたエンジニアの数は、自ずと限られてくるのです。
◆企業側が正社員雇用を前提としている場合が多い
規模や知名度を問わず、エンジニア採用に苦戦する企業は、正社員雇用を前提としているのではないでしょうか。正社員の採用は、アルバイトや業務委託に比べてハードルが高いもの。自社の業務を見直し、場合によっては業務委託先の企業や副業で手伝ってくれる人材を探してみるべきです。
もちろん「社内のシステムに精通した人材を育てたい」「将来的にマネジメント業務を任せたい」など、正社員としてフルタイムでコミットしてくれる人材を採用したい企業もあるでしょう。そういった目標がいずれ達成できるよう、まずは人材確保の選択肢を広げてみることをおすすめします。
人事担当者はIT知識をつけることも重要
IT企業ではない場合、人事担当者がエンジニアの技術面に詳しいケースは少ないかもしれません。しかし、人事が技術的な背景を理解していないためにエンジニア採用がうまくいっていない可能性もあります。
採用したいエンジニアと同レベルの知識をつける必要はありませんが、人事が基本的なIT知識やシステム開発の基礎知識を持っておくことは大切です。基礎的な情報がまとめられた人事向けの書籍に目を通したり、エンジニア採用に関するウェビナーに参加したりすると、必要な情報が効率よく得られます。
また、SNSでエンジニアの方をフォローして、活動を日々チェックするのも良いでしょう。現場の視点を吸収しやすく、最新のエンジニア事情が把握できるようになります。
採用活動の前に、エンジニア事情を把握しよう
スキルや実績が豊富なエンジニアは、様々な企業から引く手数多です。採用したいエンジニアに実際に入社してもらうには、他社から一歩リードするような工夫が必要です。
まずはエンジニアをとりまく採用市場の動向を理解し、基本的なIT知識をつけるようにしましょう。その上で、自社にとって必要なエンジニアの要件を整理し、ターゲットにアピールすることが大切です。エンジニア採用が難しい状況下だからこそ、採用活動の手法や募集要項を改めて見直してみてください。
参考:
経済産業省『IT人材需給に関する調査』
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
<取材先>
ワミィ株式会社 代表取締役 伊藤 和歌子さん
新卒では電気通信企業にてシステムエンジニアとして勤務。2009年よりセキュリティソフトメーカーに転職し、人事部門責任者として採用・育成・制度設計・全社プロジェクト統括など、幅広い分野を担当。2016年にワミィ株式会社を設立したのち、デジタル人材やエンジニア専門の人事・採用コンサルティングや採用支援(RPO)のほか、従業員のITリテラシー向上施策の実行、女性活用支援などを行う。
TEXT: 成瀬瑛理子
EDITING:Indeed Japan +ノオト