採用メディアにはどのような種類があるのか?
せっかくコストを投じて人材募集を行うのであれば、できるだけ効果の高いメディアを選びたいのは採用担当者として当然のことです。しかし昨今では、昔ながらの紙の冊子やウェブサイトの他に、SNSやアプリなど、様々な媒体が存在し、その選定が難しくなっているという側面があるでしょう。
内容面でも細分化は進み、特定の地方や地域に特化したメディアもあれば、特定の業界に特化したメディアや、Uターン・Iターン希望者向けメディアなどもあり、そのバリエーションは多岐にわたります。
また、最近では職種をしぼった専門性の高い求人メディアも少なくなく、たとえばエンジニア特化型のメディアのなかでも、建設業界やIT業界など、業界と職種を限定したメディアまで存在しています。こうした求人メディアを専門特化型、あるいはブティック型と呼び、逆になんでも包括的に扱うメディアを百貨店型と呼びます。
自社に適した採用メディアの選び方
ではそうしたなかで、自社にとって最も高い効果が得られる求人メディアは何なのでしょうか。その答えとしては、「自社の業種や求める職種、地域などにしぼられたメディアを選ぶ」一択であるのが実情です。ただしそこで大切なのは、自社がなぜいま人材採用を行うのか、そのポイントを正確に整理しておくことです。
特定の部門に欠員が出て、その人材補充にあてたいのか。新たに開設する新事業にあたる人員を集めたいのか。経験の有無を問うのか。所有していると望ましい資格はあるのか……。こうした細かな条件を洗い出していくことで、選ぶメディアは絞り込まれていくはずです。
たとえば、各地の医療機関で働く看護師を求めているのであれば、そもそも看護師資格を所有している人材にフォーカスしなければ意味がありません。その場合、看護職専門メディアのなかで、地方勤務OKの人材にしぼって採用活動を行うべきでしょう。
あるいは、ローカルで勤務する即戦力を求めている場合、首都圏向けのメディアに出稿するよりも、各地のローカルメディアで求人をかけるほうが実利的です。もしくは、首都圏向けのメディアでIターンやUターン希望者を呼び込む手法を考える必要があるでしょう。
採用メディアを選ぶ際には、対象となる層を絞り込むのか、それとも大きく広げてアピールするのかを含めて考えるべきなのです。
採用メディアをうまく使うための注意点
採用メディアを効果的に使うためには、そのメディアをどのような人たちが見ているのか、どのくらいの人数が見ているのかを、できるだけ正確に把握することが必要です。詳細な数字を公開していないメディアでも、法人営業の担当者にある程度のイメージをヒアリングすることは可能でしょう。
そして、たとえ数十万人の目に触れているメディアであっても、そこで他の企業との競争に勝てなければ意味がありません。自社のニーズや強みに合ったメディアを慎重に取捨選択すべきでしょう。
その上で、将来のためのマーケティングと割り切って、どのようなメディアを使ったらどのような人材がどのくらい集まったのか、しっかりとデータを取りながら試行錯誤することをおすすめします。そのうち、自社にとって最も有利な採用メディアが何か、少しずつ明らかになっていくでしょう。理想の採用メディアを選ぶ方法は、会社によって異なるのが実情なのです。
<取材先>
人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
TEXT:友清哲
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト