有給休暇の取得条件とパートの有給
一定期間を勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇が「年次有給休暇」です。パートやアルバイトの従業員といった所定の労働日数が少ない労働者に対しても、条件が揃えば有給休暇を付与する義務があります。
◆すべての労働者における、年次有給休暇の取得条件
- 雇い入れの日から6カ月継続して雇われている
- 全労働日の8割以上出勤している
雇う側は、労働者が請求するタイミングで年次有給休暇を付与しなければなりません。ただし、複数の従業員の希望日が重なるなど年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、年次有給休暇を付与するタイミングを変更することができます。
パート従業員の有給休暇制度
パート従業員の有給休暇日数は、所定労働日数に応じて付与されます。そのため、フルタイムで働く正社員に比べると、付与する日数は少なくなります。労働基準法では、「週所定労働時間が30時間未満」かつ「週所定労働日数が4日以下、または1年間の所定労働日数が48日から216日まで」の労働者をパートタイム労働者として、年次有給休暇の取得日数を定めています。付与された年次有給休暇の時効は2年間です。
◆パート従業員に付与する年次有給休暇の日数
▼「1週間の所定労働日数が4日」かつ「1年間の所定労働日数が169日~216日」のパート従業員

▼「1週間の所定労働日数が3日」かつ「1年間の所定労働日数が121日~168日」のパート従業員

▼「1週間の所定労働日数が2日」かつ「1年間の所定労働日数が73日~120日」のパート従業員

▼「1週間の所定労働日数が1日」かつ「1年間の所定労働日数が48日~72日」のパート従業員

パート従業員への確実な有給休暇の付与
これまでの年次有給休暇制度は、職場に遠慮したり申し出をためらったりする労働者がいるため、取得率が低いという課題がありました。そこで、2019年4月に施行された改正後の労働基準法では、全ての事業者は労働者に対して、付与する有給休暇のうち5日分を時期指定の上で確実に取得させることが義務づけられました。
この改正法の対象となるのは、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者です。パートやアルバイトの従業員も、勤続年数や所定労働日数の条件を満たすと対象になります。
◆年5日の確実な取得が求められるパート従業員の条件
「1週間の所定労働日数が4日」かつ「1年間の所定労働日数が169日~216日」のパート従業員
→勤続3年6カ月以上で対象
「1週間の所定労働日数が3日」かつ「1年間の所定労働日数が121日~168日」のパート従業員
→勤続5年6カ月以上で対象
パート従業員の有給休暇の管理は経営者の義務
パート従業員の有給休暇は、条件に合致していれば取得させる必要があります。さらに、一定の条件を満たすパート従業員には、指定日に確実に有給休暇を取得させることが義務付けられています。最新情報を確認し、パート従業員の適切な労務管理を行うことで、パート従業員が健やかに働ける職場環境を整えましょう。
※記事内で取り上げた法令は2019年12月時点のものです。