従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントとは、従業員が企業理念やビジョン、仕事、一緒に働く仲間など、企業にまつわる事象に包括的に共感し、組織に対する愛着心や貢献意欲などを示す指標を意味します。また、企業との相互理解や相思相愛の度合いを示すものでもあります。
従業員エンゲージメントは、主に次の要素を指標とします。
A. 目標
理念、ビジョン、戦略、成長性、ブランド
B. 活動
事業内容、仕事内容、商品サービス
C. 組織
組織風土、人材、経営陣
D. 待遇
給与、福利厚生、就労実態
企業と従業員が以下の内容を同時に実現できていると、従業員エンゲージメントは高い状態といえます。
- 企業はA〜Dの要素を魅力あるものとして従業員に提供する
- 従業員は「事業内容を魅力的なものにするために自分に何ができるか」を考えるなど、事業と組織と自分自身を地続きで考えられる。熱意を持って仕事に取り組み、職場の課題や問題を自ら見つけて解決に向けた積極的な提案ができる
◆ワークエンゲージメントとの違い
従業員エンゲージメントと間違われやすい言葉に「ワークエンゲージメント」があります。ワークエンゲージメントとは、オランダのユトレヒト大学の教授が提唱した概念です。以下の3つの要素がそろった状態として定義され、従業員が仕事に対して肯定的にとらえている心理状態を指します。
- 活力
- 熱意
- 没頭
一方、従業員エンゲージメントは仕事に限らず、企業理念や仲間との信頼関係などの多様な要素を含み、より高次的な意味合いで使われます。
なぜ従業員エンゲージメントを高めることが求められているのか
従業員エンゲージメントの向上が求められる背景には、以下の要因があります。
◆企業と従業員の関係性の変化
終身雇用が当たり前でなくなり、企業と従業員の関係性が「相互拘束関係」から「双方選択関係」へと変化しました。従業員が企業に求める価値観が多様化するなかで、企業と従業員のエンゲージメントを高める必要性が生じています。
◆リモートワークの増加
新型コロナウイルスの影響下でリモートワークが増えたことで、従業員同士の物理的・心理的な距離が生じており、コミュニケーション不足やマネジメントの機能不全などの課題が生じています。リモートワークの長期化に備え、従業員エンゲージメントの向上が必要とされています。
従業員エンゲージメリットを高めるメリット
従業員エンゲージメントを高めることは、企業に次のメリットがあります。
◆従業員のモチベーション向上
従業員が自身の仕事と企業の業績、顧客満足度などの成果を地続きで考えられるようになるため、自分が企業に貢献できていると実感できます。このため、従業員の意欲向上につながります。
◆組織の活性化
従業員が自ら組織の問題や課題を見つけて改善に向けた提案を行うようになるため、組織の活性化につながります。
◆離職率の低下
従業員エンゲージメントが高い状態は、従業員が仕事や組織への共感、仲間との信頼関係など、その企業で働くことに対して複数の価値を見出すことができます。そのため、離職しづらい傾向にあります。
企業と従業員が相思相愛状態にある従業員エンゲージメントが高まると、双方にとってさまざまなメリットがあります。自社が従業員にとって魅了的かどうかを定期的に見直すなど、向上に取り組みましょう。
<取材先>
株式企業リンクイベントプロデュース ファシリテーター 広江朋紀さん
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト