ストレス耐性を見極めるための手法が圧迫面接や説教のトリガーに
面接時のトラブルとしてよく話題になるのが圧迫面接です。日本では悪い面接の一例として取り上げられがちですが、本来は面接者のストレス耐性を見極めるためのれっきとした面接手法のひとつです。アメリカで誕生したこの手法は「ストレスインタビュー」と呼ばれ、専門的なトレーニングを行った面接官がロジックに基づき行います。
ストレスインタビューには、下記の4つの方法があります。
- 求職者の発言を否定する
- 無関心な態度を取る
- 威圧的な態度を取る
- 求職者の発言を追求する
上記4つのパターンが、面接官の態度や表情、言葉使いで意図的に相手にストレスを与える行為として用いられます。しかし過去には精神的な苦痛を味わったとして裁判になり、損害賠償や慰謝料が発生したケースもあります。そのため近年では、あえて面接時にストレスをかけることなく、適性検査の中にストレス耐性を測る項目を用意することが一般的になっています。
面接時に求職者に説教をしないために気を付けるべきこととは
スキルがなく、ロジックを理解していない面接官が上記の手法を行うと、説教や人格否定に繋がるケースも多く、求職者に対してマイナスの印象を与えてしまいます。この場合、面接官本人には説教をしている自覚がないことが多いため注意が必要です。たとえば、求職者が面接に遅刻してしまったり、面接時のマナーが悪かったりと相手に明らかな非があり注意した場合でも、ときとして説教と捉えられる可能性があります。
また、面接官個人の価値観を押し付けるような言動にも注意しましょう。採用のステップが進んでいくと、面接官の年齢層が上がっていく場合が増えます。自分の立場を利用して相手を見下したり、仕事に関係ない話をして自己顕示欲を示したりすることがないように気をつけましょう。
近年は面接官の態度や言動が理由で、選考を辞退したという求職者の声もよく耳にします。面接時の対応でマイナスの印象を与えてしまったことで、SNSに書き込みをされたり、風評被害を受けたりと、会社として大きなリスクを背負う可能性もあります。2名以上で面接を行ったり、面接を録画して後から振り返りを行ったりするなど、説教をしていないかを確認するためのチェック体制を整えることをおすすめします。
面接官として備えておくべきマインドセット
面接官だけを専門でやっているという方は少ないでしょう。普段の業務の合間に面接を担当しているケースが多いと思いますが、面接官は会社の代表として求職者と関わっているということを忘れてはいけません。
また、採用活動は企業が求職者を選ぶ立場だと思いがちですが、求職者も会社を選ぶ立場にあります。そのため、求職者と信頼関係を築くことが何よりも大切です。まずは「自分が求職者だったらどう思うか」という視点を持ちましょう。
面接で威圧的な態度を取ったり、説教をしたりしないためには心構えが必要です。面接の前に4つのマインドセットをチェックしてみてください。
- 求職者と面接官は対等な立場であると意識する
- 面接官ばかりが喋りすぎずお互いにコミュニケーションを取る
- 選ばれる立場として求職者を惹きつけるように心がける
- 会社の情報を正しく把握し、嘘のない情報提供を行う
上記のマインドセットからもわかるように、面接官にもスキルと事前の準備が必要です。限られた時間の中で求職者のことを知り、会社のことを伝えるには、説教をしている時間はありません。お互いにとってよい採用活動になるよう、しっかりと心構えをして面接に向き合うようにしましょう。
<取材先>
クレド・ライフクリエイション株式会社
代表取締役社長 深堀一雄さん
TEXT:ユウミ ハイフィールド
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