採用計画書は、採用活動の方向性を共有できるツール
採用計画書を作成する大きなメリットは、採用活動の方向性を社内ですり合わせられることです。
採用計画書を作る過程で、「そもそも何のために採用をするのか」といった採用活動全体の目的を整理できるほか、説明会で伝えたいポイントや選考の基準も明確になります。候補者への評価のズレが起きにくくなり、選考中の無駄な工程も見直しやすくなるのです。
中小規模の事業者においては、採用計画書を作らずに採用活動を行う場合が大半でしょう。社内で方向性をすり合わせられれば、基本的に採用計画書は必要ありません。ただし、採用活動の反省点を今後改善したければ、採用計画書の作成をおすすめします。
採用計画書を作る際に参考にしたい書籍5選
採用計画書を作成するには、入社時期や配属先、採用人数などはもちろん、採用したい人物像、採用の手法などを洗い出さなくてはいけません。まずは採用活動の基礎知識や考え方を知り、自社の課題に合った手法を検討する必要があります。
そこで、採用活動の情報を整理するうえで役立つ書籍5選をご紹介します。
◆『「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール』釘崎清秀,伊達洋駆著(ナツメ社)
採用の基礎から応用まで、担当者が確実に理解しておきたい知識がまとめられています。採用活動の基本的な流れから、担当者の心構え、候補者の募集・選抜・フォローで押さえておくべきポイントまで網羅されているため、「採用活動の教科書」と呼んでも良いでしょう。
異動したばかりの採用担当者や、やみくもに進めていた採用活動をイチから立て直したい場合におすすめです。
◆『日本一学生が集まる中小企業の秘密:社員20人なのに新卒採用に1万人が殺到』近藤悦康著(徳間書店)
現状、人材不足に悩む中小企業は少なくありません。本書では「日本一学生が集まる中小企業」の異名をもつLegaseed(レガシード)社の取り組みをもとに、自社に生かせる採用活動の基礎が学べます。
「なかなか応募者が集まらない」といった課題を抱えている企業は必読でしょう。
◆『採用基準』伊賀泰代著(ダイヤモンド社)
マッキンゼーの元採用マネージャーである著者が語る、ハイスペックな人材を採用するための極意がまとめられています。同社は就職の「超難関企業」としても知られ、採用試験では独自の厳しい基準のもと採用を行なっていると思われがちですが、実は日本企業が必要としている人材像と全く同じであると語られています。
規模にかかわらず、多くの企業で応用できるポイントが詰まっています。自社の採用基準を見直したい場合はもちろん、採用活動の目的や考え方を整理したい方にもおすすめです。
◆『そんな採用でよろしおすか? 心づくしの採用が起こした京都小川珈琲の奇跡』原田英美子著(マイナビ出版)
内定辞退を考慮して、内定を出す人数を決めている企業もあることでしょう。本書では「20年間内定辞退ゼロ」という京都の珈琲メーカー・小川珈琲の採用活動が紹介されています。内定者から断られない秘訣から行列のできる会社説明会の開き方、絶対に入社させたい学生の射止め方などが学べます。
珈琲メーカーという狭い業界でありながら、求職者からの人気が絶えない理由がわかるはずです。
◆『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』山本昌作著(ダイヤモンド社)
1961年創業の小さな町工場が“利益率20%を超えるIT鉄工所”として世界中に名を馳せるまでのサクセスストーリーとノウハウがまとめられています。
序盤は会社のヒストリーが中心ですが、後半では、社員のモチベーションの上げ方や新卒採用で押さえるべきポイントなど、役立つ事例が紹介されています。
社内の人事に課題がある場合、多くのヒントが詰まった一冊といえるでしょう。
採用の基礎や事例を学び、自社の採用計画書を作成しよう
採用計画書には、自社が求める人物像や雇用条件のほか、説明会・選考の目的など、採用活動の方向性がまとめられています。したがって、採用計画書を作るには、採用にまつわる知識やノウハウが必要となります。
今回ご紹介した書籍は、採用計画書の作成方法に直接触れてはいませんが、採用活動の基礎や事例を知るうえで参考になるものばかりです。採用に関する基本的な考え方を身につけることが、採用計画書の作成に役立つでしょう。
<取材先>
採用コンサルタント/アナリスト
谷出 正直さん
新卒で大手紹介会社に入社。子会社への出向を含め、新卒採用支援事業に約11年間携わる。独立後、フリーランスとして企業の採用コンサルティングや採用アナリストとして活動。新卒採用に関する情報、ノウハウの収集や発信、共有の仕組み、人のつながり作りに強みを持つ。メディアへの情報提供やコラム連載、記事の寄稿、企業や大学でのセミナーの講師、人事・経営者向けの勉強会・交流会の主催、オリジナルのメルマガの配信などを行う。
TEXT: 佐々木ののか
EDITING:Indeed Japan + 成瀬瑛理子 + ノオト