通年採用の企業は増えている? 採用市場はどう変化しているのか

By Indeed

「通年採用」は、企業が年間を通じて自由に採用活動を行う方法です。実際に導入する企業は増えているのか、検討する際のポイントなどを、企業で採用や人事の責任者の経験のある人材研究所代表の曽和利光さんに聞きました。

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通年採用とは

「通年採用」は、新卒採用について使われる言葉です。年間を通じて採用が行われる中途採用には該当しません。通年採用の定義は非常にあいまいですが、概ね次の2つのどちらかを指します。

  1. 年間を通じて採用活動が行われる
  2. 企業の判断で入社時期を決められる(4月以外にも入社できる)

4月の入社にあわせて学生をまとめて採用する「新卒一括採用」と比較すると、採用のスケジュールや入社時期を企業が決められる点が異なります。

通年採用を取り入れる企業は増えているのか

◆通年採用が注目される背景

通年採用が注目される背景に、2018年10月に日本経済団体連合会(経団連)が「2021年3月以降に卒業する学生の採用活動において『選考採用に関する指針』を策定しない」と発表したことが挙げられます。

一方で政府は、採用期間の早期化に伴い学生の就職活動期間が長期化し、学業へ及ぼす影響を懸念した結果、下記の指針を経団連を通じて日系企業に要請しました。

  • 広報活動は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降に行う
  • 選考活動は卒業・修了年度の6月1日以降に行う
  • 採用内定日は卒業・修了年度の10月1日以降とする

◆新卒採用を行う企業の動き

前述した政府からの要請に伴い、採用をめぐる動きは2分化しました。

1.大学3年生の夏ごろ〜12月末ごろ
経団連に加盟せず、採用活動に関する指針の影響を受けない大手ベンチャー企業、外資系企業などの採用が活発になる時期です。大学3年生の夏に実施するインターンシップから採用するケースもあります。

2.大学3年生の3月ごろ〜大学4年生の6月ごろ
新卒採用のナビサイトが3月にオープンします。政府からの指針を受けて広報活動をしていなかった日系大手企業などの採用が活発になる時期です。

現在の新卒採用市場は、採用したい企業に対して学生の数が少ない「売り手市場」です。中には通年採用を導入していないにもかかわらず、「新入社員を採用できないから、年間を通じて採用活動を続けている」企業もあり、結果として通年採用になっているケースもあります。

「いい人がいたらいつでも採用します」と公言している場合も、採用にかかるコストや人材の確保などの面から、年間を通じて同じ熱量で採用活動をしている企業はほとんどないのが現状です。

これらのことから、実際に通年採用を取り入れている企業は、ベンチャー企業や外資系企業など独自のスケジュールを組み、早期から採用活動を始められる企業や、学生を採用できず「いたしかたなく」活動を続ける企業など、ごく一部であることがわかります。

通年採用を取り入れる際の注意点

通年採用は、すべての企業に適しているとは限りません。導入する前に、次のポイントを押さえておく必要があります。

◆自社にとって導入するメリットが大きいのかを考える

・通年採用のメリット

通年採用のメリットは、下記の2つです。

  • 留学生を採用できる
  • 既卒者や公務員試験、司法試験などの試験に不合格した学生を採用できる

いずれの場合も3月卒業、4月入社のスケジュールから外れるため、採用時期を広げると採用できる可能性があります。

しかし、どちらも人数が少ない上に必ず採用できるとは限りません。このメリットのためだけに通年採用を導入するより「いい人がいたら採用する」くらいの方針を取る方が得策といえます。

◆学生の動きと採用方法が見合っているかを考える

次の例をもとに解説します。
例)新卒社員を100人採用したい企業

  • 通年採用を導入して、1年かけて数名ずつ採用しながら100人を目指す
  • 就活ナビサイトが立ち上がる3月など学生の動きが活発になる時期に100人採用する

前者の場合「どのタイミングでどのくらいの学生が集まるかわからない」「年間を通じてコストや人的負担が生じる」などのデメリットがあります。学生の動きに合わせて活動時期を設定する後者の方が、コストや人的負担がかかりにくいといえます。

◆中小企業の場合は「スカウト型」を検討

通年採用を見越した中小企業がインターンシップを導入するケースがあります。しかし、インターンを経験した学生の多くが別の企業を志望するなど、採用につながらない課題を抱えているのが現状です。

コストや人材リソースが限られている中小企業の場合、ナビサイトや説明会などで学生が集まるのを待つより、自ら学生にアプローチする「スカウト型」が適しています。

・スカウト型の方法

  • メディアの活用
    ナビサイトのスカウト機能やスカウトメディアから学生にアプローチする方法です。
  • リファラル採用」の導入
    自社の社員が知人や友人を紹介する方法です。

・ターゲティングのポイント

学生をスカウトする際、下記のポイントを押さえてターゲティングをします。

  • 大手企業が説明会などを行なっていない時期に活動する
  • 都心にアクセスしづらい郊外の大学の学生にアプローチする など

「通年採用が注目されているから」と闇雲に導入すると、コストや人材のリソースなど負担ばかりが大きくなってしまいかねません。まずは、自社にとって合理的な採用方法は何かを考えることが重要です。


<取材先>
株式会社人材研究所 取締役社長 曽和利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。

TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

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