新卒を採用する方法として、いわゆる「新卒一括採用」を見直す企業があります。新卒一括採用のメリットや採用方法を見直す際のポイントを、企業で採用や人事の責任者の経験のある人材研究所代表の曽和利光さんに聞きました。
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求人を作成する新卒一括採用とは
「新卒一括採用」の定義は非常にあいまいです。あえて挙げると次の3つのいずれかに該当する採用方法です。
- 特定の時期に学生をまとめて採用する
- 新卒中心主義
- 入社時期を特定している
新卒一括採用のメリット
新卒一括採用のメリットは下記の5つです。
◆育成の効率化
同時期に入社した新卒社員をまとめて育成できます。
◆同期意識が芽生える
同時期に入社した社員が研修などを経験することで、組織開発において重要だといわれる同期意識が形成されます。
◆「インフォーマルネットワーク」が生まれる
「インフォーマルネットワーク」とは、会社のような公式の組織でなく、人と人とのゆるやかなつながりを意味します。企業におけるインフォーマルネットワークの根幹となっているのは、新卒同期と考えられています。
◆離職者の減少
前述したインフォーマルネットワークの影響で組織に一体感が生まれ、互いに助け合うようになることから、離職者の減少につながります。
◆イノベーションが起こりやすくなる
組織内に情報が流通しやすくなった結果、イノベーションが起こりやすくなります。
ただし、これら5つの項目がメリットになるかどうかは企業によって異なります。
新卒一括採用を見直す必要性
◆新卒一括採用が見直される背景
・「ギャップイヤー」の関心の高まり
新卒一括採用を見直す背景の一つに、イギリスで誕生した「ギャップイヤー」への注目が挙げられます。学生が入学前や卒業、就職など節目のタイミングを迎える前に一度立ち止まり、留学やボランティアなどさまざまな経験を積むことを指します。
日本でもギャップイヤープログラムを取り入れている大学はあるものの、浸透しているとは言い難い状況です。そのため、ギャップイヤーを取得する一部の学生のために入社時期をあえてずらすことは、企業にとって必ずしも得策とはいえません。
・「通年採用」の導入検討
採用方法の一つとして「通年採用」と呼ばれる方法があります。通年採用の定義は非常にあいまいですが、概ね次の2つのどちらかを指します。
- 年間を通じて採用活動が行われる
- 企業の判断で入社時期を決められる(4月以外にも入社できる)
この場合、採用スケジュールは学生の卒業時期などに左右されず、企業が自由に決めます。
しかし、実際は経団連に加盟しない企業や、採用がうまくいかずに仕方なく通年採用になっている企業もあるなど、一部の企業に限られているのが現状です。
◆採用方法を見直す必要があるのか
下記の項目から採用方法を見直すかどうかを検討するといいでしょう。
・入社時期の特定
国内の大学生は3月に卒業するので、4月入社の採用スケジュールが自社に適している場合、あえて入社時期をずらす必要はありません。たとえば、既卒者が6月入社を希望するなどイレギュラーな対応が発生する場合は、中途採用の流れに沿って進めるといいでしょう。
・採用時期の特定
4月入社の採用スケジュールでは、国内の大学生の卒業スケジュールと異なる日本人留学生を採用することはできません。しかし、留学生の割合は国内の大学生と比べてごく少数です。新卒一括採用がうまくいっている場合、別の方法に切り替える必要はなく「いい人がいたら採用する」くらいのスタンスでいる方が得策といえます。
・新卒社員、中途社員の比率
自社が組織や事業面からどのようなフェーズにあるのかを考えた上で、新卒社員と中途社員のどちらを採用した方が自社にとっていいのかを見極める必要があります。
現在は「新卒一括採用」「通年採用」などの言葉ばかりが一人歩きをしてしまっていますが、肝心なのは、自社に適した方法で採用できているかどうかです。言葉に振り回されず、採用スケジュールや新卒・中途の比率など実務上の観点から判断することが望ましいです。
<取材先>
株式会社人材研究所 取締役社長 曽和利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

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