新卒採用において、期待通りの応募者が集まらなかったり、内定辞退者が予想より多かったりするケースがあります。もし追加で募集をかける場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。
追加募集(二次募集)を実施する背景や選考スケジュール、成功させるコツや注意すべきポイントについて、株式会社船井総合研究所 ライン統括本部 HR支援部の宮花宙希さんと水本譲さんにお聞きしました。
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求人を作成する内定辞退が多い? 追加募集を実施する背景
――新卒採用において、追加募集(二次募集)を実施する企業は増えているのでしょうか? 最近の概況について教えてください。
宮花:正確な数字は分かりませんが、感覚的には増えている印象です。一般的に、企業は「4~5月に内定者を〇名出す」と決め、春採用のスケジュールを組みます。しかし計画に誤差が生じると、夏や秋に追加で募集することになるのです。
誤差が生じる原因は、大半が内定辞退です。辞退理由は「他社から内定が出たので、そちらへ行く」というケースが最も多く、それ以外では「公務員になる」や「大学院へ進学する」、「就職浪人でもう1年就活する」などが挙げられます。
また最近では、大手企業が採用者数を増やしていることも影響しています。たとえば大手の航空会社では、コロナ禍によって新卒採用を一時ストップしていましたが、現在は再開しているようです。そういった動きによって学生が大手企業を選び、中小企業の内定を辞退するケースが増えていると考えられます。
――内定を辞退されてしまう割合は、どれくらいなのでしょうか?
宮花:企業によって変わりますが、中小企業の内定辞退率の平均はおおむね50%くらいです。丁寧に面談を重ねてから内定を出している企業は、もう少し低いかもしれません。
新卒採用に慣れている会社では、内定辞退率を採用計画の段階で見込んでいます。しかし、想定以上に辞退者が発生すると、追加で募集する必要が生じるのです。
――「内定辞退者が多い」以外の理由で追加募集するケースもあるのでしょうか?
水本:「そもそも応募者数が少なかった」「選考で不採用にし過ぎた」といった理由で追加募集することもあります。企業側のアピールが足りなかったり、選考基準を厳しくしすぎたりすると、想定した採用人数に達せず、追加で募集する可能性が出てきます。
春採用の分析と、選考スケジュールの見直しを
――追加募集は、どのように進めればよいのでしょうか?
宮花:まずは春採用の成果について、定量および定性的な分析を行ってください。定量分析では、「応募者数は昨年と比べて増えているのか?」「一次選考から内定までのフローで、各過程に進んだ人数はどれくらいなのか?」等をチェックします。
定性分析では、「会社の魅力が伝わっていたか?」「会社説明会で学生に仕事のやりがいを訴求できていたか?」「リクルーター面談で、学生が持っている不安や疑問を解消できていたか?」などを振り返りましょう。もちろん、内定を辞退された理由について分析することも重要です。
――内定辞退の理由は、どう集計・分析すればいいのでしょうか?
宮花:内定辞退の連絡をもらった際、「分かりました」と伝えるだけで終わってしまっているケースが少なくありません。「なぜ断られたのか?」というデータを残して分析するためにも、なるべく辞退理由を聞いてください。
もちろん、中には本音を言ってくれない学生もいます。したがって、リクルーター面談で「他にどういう会社を受けているか?」といった話を聞いて情報をストックしたり、辞退した学生の傾向を掴んだりしながら、仮説を立てて検証する必要があります。
水本:そもそも選考の段階で、辞退理由を聞けるような関係性を作っておくことが重要です。
――応募者との関係性が構築できていれば、辞退理由も本音で話してくれる可能性が高まる、と。
宮花:そうですね。リクルーター面談では、「他にどういう業界を受けていますか?」「うちの会社に入るとして、何かネックになっていることはありますか?」といった質問をしてください。本音で話せる関係性ができているかどうかは、大きなポイントだと思います。
――新卒の追加募集において、注力すべき採用施策は?
宮花:合同企業説明会とダイレクトリクルーティング、人材紹介会社の3つです。
合同企業説明会は、就職活動を継続している学生が来るため、ターゲットとマッチしやすいでしょう。ただし地方では、時期が遅れるほど合同企業説明会が少なくなるので、注意が必要です。
ダイレクトリクルーティングでは、まだ就活を続けている学生にメッセージを送り、「追加募集をしているので、会社説明会に参加しませんか?」と案内します。もし人材紹介会社を利用しているのであれば、担当者を通じて会社説明会に誘導しましょう。成果報酬なので費用はかかりますが、採用に繋がる確率は上がります。
水本:追加で募集していることを発信しないと、学生が集まりません。選考に繋がる入り口として会社説明会を設定し、早めに情報を出すことが必要です。自社の採用ページやSNSを利用するのも一つの手ですが、まずは登録している求人媒体で発信するのがいいでしょう。
あと、意外と有効なのが学校訪問です。就活を続けている学生の多くは、学校のキャリアセンターに相談します。そこで、企業からキャリアセンターの担当者に「追加募集をしています」「何か困っていることはありますか?」と声をかけると、就活に戸惑っていたり地元で就職したいと考えていたりする学生を紹介してもらえるかもしれません。工数はかかりますが、成果が出る施策の一つだと思います。
――追加募集のスケジュールは、どのように進めればいいのでしょうか?
宮花:募集が遅れるほど就活している学生がどんどん減っていくので、追加募集をするのであれば、なるべく早めに動いた方がいいでしょう。
選考フローも短くする必要があります。春採用の選考では、学生と接触する頻度を増やして、仕事の魅力や雰囲気について知ってもらうことを重視する企業が多いでしょう。しかし、追加募集で時間をかけていると、その間に他社から内定が出てしまう可能性があります。会社説明会の後すぐに1次選考をしたり、4回選考のところを3回に減らしたりするなど、フローの見直しをしてください。
期限を決め、うまくいかなければ別の手法に目を向ける
――追加募集の選考プロセスで気をつけるべき点はありますか?
宮花:会社の事情によって変わりますが、中長期的に見ると合格基準のハードルは下げないほうがいいと思います。それよりも、選考にかける期間を短くまとめることに重点を置くべきです。
水本:面接では、他社のスケジュールを細かく聞いてください。他社よりも先に結果を出したい旨を伝えつつ、「ほかに内定を待っている企業はありますか?」「結果はいつごろ?」と確認し、それに合わせて内定までのスケジュールを組みましょう。
宮花:学生側としても、時期が遅くなるほど「早く就活を終わらせたい」と思うはずです。したがって、内定を早く出せるかどうか、スピードが重要になります。
――最後に改めて、追加募集を検討している企業の担当者に向けて、アドバイスがあればお願いします。
宮花:趣旨とズレてしまうかもしれませんが、時には追加募集を諦めることも大事です。なぜかというと、追加募集をしている間に次年度の採用活動が始まってしまうからです。
追加募集をしても、希望通りの人が採用できるとは限りません。さらに、スケジュールが後ろにズレるほど次年度の動きも遅れ、「また春採用で計画どおりにいかなかったから、追加募集を」と悪循環に陥る可能性もあります。であれば「追加募集は9月で終わり」と決めて、次年度の採用に向けて動くほうがいいかもしれません。
水本:あとは、第二新卒や中途採用など、新卒の追加募集以外の手法に目を向けるのも一つの手です。
宮花:中小企業の場合は、そもそも人事部が無かったり、採用にかけられる社内リソースが限られていたりするケースが多いのではないでしょうか。もし追加募集がうまくいかないようなら、諦めて次年度の新卒採用や中途採用に切り替えることも検討してみましょう。
<取材先>
株式会社船井総合研究所 ライン統括本部
価値向上支援本部 HR支援部
マネージング・ディレクター
宮花宙希さん
株式会社船井総合研究所 ライン統括本部
価値向上支援本部 HR支援部
人財開発グループ 人財開発チーム_1
コンサルタント
水本譲さん
TEXT:村中貴士
EDITING:Indeed Japan + ノオト
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