第9回 株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション 柴田翔平さん
【プロフィール】
採用人事の業務歴:6年目
担当業務:アルバイト採用、教育
株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは「遊べる本屋」をキーワードに、書籍や雑貨、ニューメディア(CD・DVD類)を融合的に陳列・販売する店を構えている。
柴田さんは2016年4月に中途入社。現在は店舗アルバイトスタッフの採用計画や店長昇格者への教育を担う。担当業務での一番の楽しみは、研修した店長やアルバイトスタッフの活躍を聞くこと。
採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?
◆『アルバイト・パート 採用・育成入門』
(中原淳、パーソルグループ著/ダイヤモンド社)
この本は、担当業務が決まり、自分なりにできることを一生懸命に模索していた時期に購入しました。
同書は人手不足に悩む店長やマネジャー向けに書かれた本で、大手企業7社のスタッフ2.5万人に調査したデータをもとに語られています。「いい人材に来てもらう 採用ステージ」「すぐ辞めるはこうして起こる 新人ステージ」という風に、中堅、ベテラン、シニア活用までトピックごとに解説されているため、業務で必要が生じた際に手引き書のように読むことができます。
個人的には「人手が足りない店長ほど、『出口対策』が足りない」という言葉が響きました。採用・教育における出口対策とは、離職のことです。辞めさせない仕組み作りがいかに大切か。人事として「どうやって人をたくさん集めるか」ばかりを考えていた当時、盲点を突かれました。
本書に登場したトピックについて自社の状況はどうなっているか考えてみたところ、「人が来ないのではなく、定着率が悪いのでは」と気付きました。定着率が低い原因は、入社前と後での仕事へのギャップであると仮定し、入社したスタッフ向けのマニュアル整備や店長昇格者研修で面接の心構えを共有するようになりました。このような工夫を通して、少しずつ改善につなげています。
◆『時代を勝ち抜く人材採用』
(武井繁、米田光宏著/ダイヤモンド社)
前任の担当者が読んでいたのをきっかけに手に取りました。1冊目に紹介した本と同様、自分なりにできることを模索していた時期です。
本書ではセブン-イレブンや塚田農場など「勝ち組企業」の採用戦略が紹介されています。特にセブン-イレブンは、ヴィレッジヴァンガードコーポレーションと同様に、本部でアルバイトの採用計画を担当していて、かなり親近感を持って読みました。他企業での取り組みについて情報収集するのに役立ちます。
この本を読んだことで、業務のどこを改善できるだろうと具体的に考え始めました。その結果、他店の求人ポスターや求人サイトを見ては、チームで話し合いをする場を設けるようになったのです。求人ポスターのデザイン変更や求人マニュアルの漫画化、配布など細やかな業務の見直しができました。
◆『短期間で社員が育つ「行動の教科書」 』
(石田淳著/ダイヤモンド社)
著者は行動科学マネジメントの第一人者である石田淳さんです。石田さんの本は以前も読んだことがあり、面白そうだと手に取りました。研修で伝えたことを社員にいかに行動してもらうか悩んでいた頃で、「行動」というタイトルにも惹かれました。
この本では、「できない人・普通の人」を育成するための「行動の教科書」の作り方が学べます。人材育成システムと教育研修、評価の仕組み・考え方などについて、他社事例やハウツーから、自分の会社の状況に当てはめつつ読むことができます。
特に「仕事のやり方がわからないのは教えてもらっていないから」という視点が印象的でした。当たり前ではあるけれど、仕事に集中していると忘れがちですよね。「業務の標準化・見える化」を心がけ、より良い職場にしていきたいです。
【自社での取り組み紹介】「攻めの人事」で様々なチャレンジを
採用人事は、やりがいを感じる場面がたくさんあります。例えば、応募がなかった人手不足の店舗に赴き、店頭求人ポスターの掲示方法を見直したときのことです。まずは、ポスターの掲示位置を、店外に向けるだけではなく、店舗内でお客様の目に留まるように変えてみました。また、店内で配布するヴィレッジヴァンガード公式フリーペーパー「VVmagazine」にビラを挟んでお客様にお渡ししました。結果として、0件だった応募が数週間で3件に増え、うち2名が採用に繋がりました。
その後は現場マネジャーと連携を図り、他の店舗でも同様の改善を行いました。マネジャーから「柴田さん、違う店舗でも応募がありました!」と言われた時はとてもうれしかったですね。
採用人事の担当者は、求人媒体や採用手法が多様化に伴い、頭を悩ませる機会も多くあります。視点を変えると、YouTubeやTikTokなど、自社のことを知ってもらえるツールが増えたとも言えるでしょう。まだ実施には至っていませんが、個人的にはこのようなツールを活用して、通常の求人とは異なる角度からファンを増やし、採用につなげていければと考えています。
ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは創業35年になります。これからも時代の変化を恐れず、「遊べる本屋」という独自のキーワードを軸に、様々なことにチャレンジしていく「攻めの人事」でありたいです。
TEXT:ゆきどっぐ
EDITING:Indeed Japan +ノオト