「パパ休暇」の内容や取得条件とは。通常の育児休業との違いを解説


育児休業の特例として、2回育児休業を取得できる「パパ休暇」。この制度が設けられた目的や取得条件について、寺島戦略社会保険労務士事務所代表で社会保険労務士の寺島有紀さんに伺いました。

 
 

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パパ休暇の目的


パパ休暇とは、妻の産後8週間以内に夫が育児休業を取得した場合、特別な事情がなくても2回目の育児休業を取得できる制度です。
 
この制度が設けられた背景には、日本の出産・育児にまつわる様々な課題があります。
 
厚生労働省「令和元年度雇用機会均等基本調査」によると、女性の育児休業取得率は84.3%、男性は10.5%と男女で育児休業の取得率に差があります。
 
日本の育児休業制度そのものは整っており、ユニセフ が2019年に発表した子育て支援策に関する報告書でも、31の先進国のうち取得期間や条件面などで1位の評価を得ました。
 
しかし、育児休業取得率は20人に1人の割合で、韓国の6人に1人という割合を下回ります。報告書でも、日本における育児休業取得率の低さを指摘されており、制度が十分に生かされていないことがわかります。
 
また、日本の少子高齢化が進むなか、女性の就業率が低いことが課題の一つとされています。女性が産後も働き続けるために配偶者の支援は不可欠です。
 
産後8週間以内の育児休業では、出産直後のママと赤ちゃんを支え、夫婦で子育てできる体制を整えられるようにすること。そして、2回目の育児休業は、ママの職場復帰をサポートし、男女ともに仕事と子育てを両立できるようにする目的があります。

 
 

パパ休暇と通常の育休との違い


通常の育児休業とパパ休暇の違いは、その取得回数です。通常の育児休業は子の出生につき1回限りが原則ですが(※1)、パパ休暇は理由を問わず2回取得できます。
 
(※1)通常の育休でも、下記のような特別な事情がある場合は再取得が認められます。

 

  1. 育児休業の申し出にかかる子が、負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり世話を必要とするとき
  2. 保育所への入所を希望し申込みをしているが、当面その実施が行われないとき


休業制度そのものに違いはないため、社会保険料免除や育児休業中の収入についても同様に認められます。

 
 

◆社会保険料の免除


育児休業期間中は、本人負担分・会社負担分も含めた社会保険料が免除されます。条件は特にないものの、「育児休業等取得者申出書」を会社から年金事務所に提出する必要があります。

 
 

◆育児休業給付金について


雇用保険の被保険者がパパ休暇を取得した場合、一定条件を満たせば育児休業給付金を受給できます。非課税のため、所得税・住民税はかかりません。
 
給付額は下記の方法で計算できます。
 
休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から6カ月経過後は50%)
 
※休業開始時賃金月額には45万6,300円の上限があります。「作業開始時賃金日額×30」が45万6,300円を超える場合、育児休業給付金の30日分の支給額は「45万6,300円×67%=30万5,721円」となります。
※休業開始時賃金日額は、原則として育児休業開始前6カ月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除く)を180で除した額です。
 
申請の際は、自社を管轄するハローワークに必要書類を提出する必要があります。原則として2カ月に1回申請しますが、通常この手続きは事業主側が行います。

 
 

パパ休暇の取得条件


パパ休暇を取得するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

 

  • 父親が子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
  • 父親が子の出生後8週間以内に育児休業を終了していること


特例の対象となる1回目の育児休業は、原則として出生日から8週間後までの期間に取得することが定められているものの、以下のように幅をもって利用することもできます。

 

  • 出産予定日前に子が生まれた場合は、出生日から出産予定日までの期間から8週間後まで
  • 出産予定日後に子が生まれた場合は、出産予定日から出生日までの期間から8週間後まで


例えば、4月1日が出産予定日で3月25日に子が出生した場合は、パパ休暇の対象期間は3月25日〜5月27日までとなります。
 
2回目の育児休業は子の1歳の誕生日前日までとされていますが、夫婦がともに育児休業を取得すると期間が延長される「パパ・ママ育休プラス」との組み合わせも可能です。
 
併用した場合は、1歳2カ月まで育児休業を利用できます。

 
 

◆取得までの流れ


パパ休暇は、対象となる従業員が育児休業開始日の1カ月前までに会社の人事担当者に所定用紙を提出し、申し出る必要があります。「育児休業申出書」などの社内の所定用紙を使用します。会社からは、育児休業の申し出を受けたことを証明する「育児休業取扱通知書」を発行します。

 
 

◆取得が難しいケース


パパ休暇は通常の育児休業と同様の制度です。下記に該当する従業員は会社の労使協定で育児休業の対象から除外されるケースがあり、パパ休暇の取得も難しい可能性があります。

 

  1. 入社1年未満の従業員
  2. 育児休業申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
  3. 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 
 

パパ休暇を取得するメリット


育児休業を2回取得することにより、妻のフォローや夫婦で子育てをする体制を整えられます。家庭によって、2回の育児休業をどのタイミングで取得するかも異なります。以下の例を見てみましょう。

 
 

◆取得例


共働き家庭で、産後すぐに夫が育児休業を取得した後、職場復帰。妻の職場復帰の1カ月前から2回目の育児休業を取得する。
 
産後の大変な時期にママと赤ちゃんをフォローできるのはもちろん、2回目の育児休業で、ママが職場復帰に注力できるようサポートも可能です。柔軟性のある育児休業の使い方ができるのがパパ休暇のメリットです。
 
従業員に長く働き続けてもらうための取り組みとして、パパ休暇は会社にとっても有用な制度といえます。
 
参考:
厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r01/07.pdf
厚生労働省「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_11_02.pdf

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2020年10月時点のものです。
 
<取材先>
寺島戦略社会保険労務士事務所代表 社会保険労務士 寺島有紀さん
 
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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