社内で不祥事が発生したらどうする? 「社内調査」の基礎知識

書類をめくる手元のイメージ

企業で起きた不祥事が表面化し、多くの人が知ることとなった時、不祥事そのものはもちろん、その後の対応のまずさから社内外の信頼を失うことが少なくありません。不祥事が発覚した際、またはその疑いがある際に企業が行う「社内調査」について、プロアクト法律事務所の弁護士、渡邉宙志(たかし)先生に聞きました。

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速やかな「社内調査」が企業への信頼を守る

企業が直面する不祥事には様々なものがあります。たとえば社員による経理上の不正や横領は、企業の会計や税務に大きなダメージを与えます。また、コンプライアンス違反やそれに伴う業務上の事故、製品の不良、社内外のセクハラやパワハラなどは、顧客や消費者、取引先といったステークホルダーにも大きな不利益をもたらすことになります。
 
こうした不祥事は社員からの相談や内部通報、内部監査によって発覚することもあれば、顧客からの苦情や税務調査など行政当局からの指摘、時にはマスコミの報道が発端となって明るみに出ることもあります。いずれにせよ、企業がこうした不祥事の存在や可能性を把握した場合には「社内調査」が必要です。
 
今回お話しする「社内調査」とは、不祥事にまつわる「事実調査」を企業自身が主体となって行うものです。不祥事が発生した際に速やかに社内調査を行い、その結果に基づいて適切な対応や経営判断を行えば、不祥事に伴う悪影響を最小限にすることもできるでしょう。
 
一方で、社内調査を行わなかったり、いい加減な調査でやり過ごそうとしたりすると、その後の対応が大きく誤ったものとなり、企業価値を深刻に損ないかねません。
 
上場企業において不祥事が発生した場合には、徹底した社内調査が実施されることが通例です。また、上場企業ではなくとも、社内調査の必要性や目的に照らしてみれば、企業の規模を問わず、適切な社内調査を行える体制を整えておく必要があるでしょう。不祥事は「起こるはずがないもの」「自社には関係がないもの」と遠ざけるのではなく「必ず起きるもの」と捉え、起こってしまった時の対策を普段から考えておくことが大切です。

 
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社内調査の目的

社内調査を行う目的として、主に以下の3つが挙げられます。
 

◆1)不祥事の再発防止のため

社内調査で行うのは不祥事の「事実調査」です。まずは何が起こったのか、証憑類やメールなどの客観的なデータや資料を集めたり、社員や関係者からヒアリングを行ったりします。不祥事が本当にあったのか否か、いつ、どのような内容であったかを確認し、事実関係を明らかにしていきます。
 
事実関係が確認されて初めて、不祥事の原因と再発防止策を立てることが可能になります。適切な調査を怠ったまま立てた対策では、実際の効力は期待できず「絵に描いた餅」になってしまいます。

 

◆2)不正を行った人への処罰を行う根拠とするため

社内調査により明らかになった事実関係は、不正を行った社員などへの処罰を行う際の判断の拠りどころになります。損害賠償請求や刑事告発を行う場合は、証拠にもなり得ます。
 
逆に、社内調査を怠ると、客観的な根拠もなく社員を罰したり、異動させてしまったりすることになりかねません。不適切な処分で社員が企業に対する不信感を抱かないためにも、しっかりとした根拠を示すことが肝要です。

 

◆3)社外の関係者への説明のため

社外にも影響を及ぼす不祥事の際は特に、顧客や取引先、株主などへの説明責任が求められます。社内調査を行って明らかにした不祥事の全容や原因、再発防止策を真摯に説明することは、ステークホルダーからの信頼を回復することにもつながります。

顧問弁護士と連携し、体制を整える

社内調査は、自社の不祥事を自ら調べることになります。社員が少なく、人間関係が密な中小企業ではやりづらさを感じることも多いでしょう。
 
調査対象の社員とは別の部署が聞き取り調査を担当するなど、予めルールを決めておくといいでしょう。ただ、中小企業では社内調査が不十分ということが多いでしょう。調査の方法や体制づくりについては顧問弁護士と相談し、いざという時にさっと動けるよう備えておくのが現実的かと思います。

 
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調査を通じて不祥事を起こしにくい環境づくりを

社内調査では個別の事案の調査を進めるのはもちろん、まだ明るみに出ていない似た事案が社内に発生していないかを調べることも重要です。経理上の不正であれば他の部署でも発生していないか、過年度にも同じ不正が行われていなかったか調べてみる、といったことです。
 
調査をきっかけに、不正を許してしまうような制度や人事体制、手続き上の不備が見つかることがあります。つまり、社内調査は社内制度の改善にもつながるのです。
 
「動機・環境・正当化」という3つの条件が揃うと、組織内で不正が起こりやすくなると言われています。「動機」はお金が欲しいとか、不正を働こうとする人の個人的な理由です。「正当化」とは、「ほかの人もやっているのだから、自分も許されるだろう」とか、「会社の利益のためにやっているのだ」などと、不正行為を行うことのうしろめたさを正当化する理由のことです。
 
対して「環境」は、不正を行う人にとっての外部要因です。企業のお金を動かしやすいとか、チェックする仕組みがないといった「不正を行いやすい環境」があれば、当然不祥事は起こりやすくなります。企業がまず取り組むべきことは、この「環境」を変えて、不祥事を防止することです。
 
不正に関わった個人の責任は当然問われるべきですが、企業側にも不正を起こさせないための制度や体制の不備がなかったかを検証し、改善していくことも大切です。そうした姿勢が企業をより良く進歩させていくことにもつながるのではないでしょうか。

 

<取材先>
プロアクト法律事務所 弁護士・公認不正検査士・公認内部監査人
渡邉宙志先生
1995年慶應義塾大学法学部法律学科卒、2004年弁護士登録。2008~14年まで吉本興業株式会社執行役員法務本部長として勤務した後、プロアクト法律事務所入所。共著に『図解 不祥事の社内調査がわかる本』『図解 不祥事の予防・発見・対応がわかる本』(中央経済社)がある。
 
TEXT:石黒好美
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

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