新卒は即戦力となるまでどれくらい? 必要な教育とは

オフィスで働く人のイメージ

初めて社会に出た新卒採用の人材に、即戦力を求めることはできるのでしょうか? また、即戦力となるには、どのような教育が必要なのでしょうか? 人事・採用情報に詳しい、組織人事コンサルティングを手がける株式会社新経営サービスの大園羅文さんに伺いました。

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新卒に即戦力を求めることはできる?

すでに働いている社員と同じレベルで仕事ができる人材のことを、即戦力のある人材と呼ぶのであれば、新卒採用の人材が入社初日から即戦力となるのは難しいでしょう。
 
しかし、たとえば自動車などの整備士、料理人、美容師、エンジニアなど、整備学校や調理師学校などで学んできたような専門職の人材は、ある程度スキルが身についているという意味で、即戦力になると捉えることもできます。
 
または、帰国子女や留学経験者で外国語が使えるバイリンガル人材であれば、新卒であっても海外とのやりとりにおいては、即戦力としての活躍が期待できるでしょう。
 
ただ、学生から初めて社会に出る新卒採用の人材は、ビジネスパーソンとしての心構えや仕事の基礎・基本は身についていないと考えられます。学生時代に専門的な知識・技術を学んできたとしても、やはりプロとして活躍できるようになるためには、一定の教育が必要になるでしょう。


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新卒が即戦力となるまでに必要な期間

業界や職種、またそれぞれの会社によって即戦力の捉え方が異なるため、必要な期間については一概には言えません。
 
たとえば、整備士や医療関係などの専門職に就く人材は、入社時にある程度のスキルが身についていれば、半年から1年程度で一人前の即戦力になっているかもしれません。しかし、それ以外の入社後に身につけるべきことが多い業界や職種では、一般的には独り立ちをするまでに3年程度かかると言われています。

新卒を即戦力にするまでに必要な教育

即戦力となるまでに必要な教育は、「どのような人材になってほしいか」という目標を決めて設定していきます。業界や職種、会社によって必要な教育は異なりますが、共通して言えるのはビジネスパーソンの土台となる「ポータブルスキル」と「マインド」を身につける必要性です。
 
ポータブルスキル」とは、どのような業界や職種でも適用できる、ビジネスパーソンとしての必要不可欠なスキルのことです。大きくは「報連相(報告・連絡・相談)」「PDCAサイクル」「タイムマネジメント」の3つがあり、これらが新卒社員の成長スピードを加速する核となるスキルだと言えます。

 

ポータブルスキルには、報連相、PDCAサイクル、タイムマネジメントの3つがあるポータブルスキルのイメージ(株式会社新経営サービス 大園羅文さん作成)

 

◆報連相

報告・連絡・相談は、どのような仕事でも必要不可欠です。特に新卒社員は、何をするにしても初めてのことばかりなので、勝手に判断して進められると困ることも多くあります。事前に相談し連絡を取り合うといった仕事の進め方を初期段階で身につけておくことで、こういったトラブルを予防し、新卒社員の成長を後押しすることとなります。
 

◆PDCAサイクル

仕事に取り組むなかで失敗はつきものです。失敗をして落ち込むことも大事ですが、なぜ失敗したか、失敗しないためにはどうすれば良いか、PDCAサイクル(「Plan(計画)」・「Do(実行)」・「Check(評価)」・「Act(改善)」)で考え、実践することを習慣化してもらうことも大切です。
 

◆タイムマネジメント

各社で働き方改革が進むなか、限られた時間内に自分の業務を終わらせる必要があります。有限である時間をいかに上手く使えるか、優先順位をつけて段取りよく仕事が進められるかといった、タイムマネジメント能力も重要です。
 
一方、ビジネスパーソンのもう1つの土台となる「マインド」とは、仕事に取り組む姿勢や考え方の部分です。「主体性」「慮り」「プロ意識」といった、3つが挙げられます。これらは、先輩社員の姿勢や何気ない言動に大きく影響を受けやすいものです。教育担当者が教えるだけでなく、職場の周囲の先輩や上司の背中を見せて学んでもらうことになるでしょう。

新卒を教育する際のポイントは?

ポータブルスキルの教育では、「なぜ、それが必要か」を常に伝えていくことが大切です。「『報連相』をしっかりとしましょう」と教えるだけでなく、それを実行することでどのようなメリットがあるか、どういうトラブルを防止できるのかといったことを正しく伝えることで、やる気向上にもつながっていきます。
 
また、新卒社員が失敗したときには、先輩や上司は「なぜ失敗したのだ」と責めるのではなく、一緒に原因を考え、今後失敗しないためにチェックをする質を高めていく観点を伝えることで、自分でPDCAサイクルを回せるような土台づくりにつながります。
 
一方、マインドの部分では、教育担当者が教えている内容と職場の先輩や上司の態度が異なると、説得力がありません。たとえば、「元気よく挨拶しましょう」と指導しているのに教育担当者や職場の先輩・上司ができていなければ、新卒社員もやろうとは思わないでしょう。職場全体が見本となるようにしておくことが大切だと言えます。
 
新卒教育は、教育する側の力量や時間的な余裕も必要になる作業です。感情的にならず、相手を日々観察して事実を捉え、その上で指導していくことを徹底しましょう。

 

<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。「人材採用力の強化」を得意テーマとし、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。採用情報サイト『ヒトノトリカタ』を運営。
 
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト


 
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