環境型セクハラって何? 「男なのに〇〇」「女なのに〇〇」の言葉にも注意


男女雇用均等法で、企業はセクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)の防止策を講じることが義務づけられています。職場におけるセクハラには「環境型」と「対価型」の2種類があります。ボディタッチや性的な発言のように明らかにセクハラだと分かる行為以外にも、セクハラにつながる行動や発言は様々。両者の中でも特に分かりにくいのが「環境型セクシュアルハラスメント(以下、環境型セクハラ)」です。寺島戦略社会保険労務士事務所代表で社会保険労務士の寺島有紀さんに環境型セクハラとその対策について伺いました。

 
 

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環境型セクハラとは


厚生労働省が発行するリーフレットによると、環境型セクハラとは以下のように定義されます。

 

労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の使用が生じること
出典:厚生労働省


環境型セクハラは、セクハラ行為のみを指すのでなく、労働者がセクハラにより精神的に苦痛を感じた結果、業務に支障をきたしてしまうことや労働環境が悪化することなどを意味します。

 
 

◆セクハラの事例


以下は、セクハラに該当する性的な言動の一例として注意が必要です。

 

  • 個人の性的体験談を相手や第三者に話すこと
  • 性的な冗談やからかい
  • デートへの執拗な誘い
  • 性的な関係を強要すること
  • 身体への接触
  • わいせつな画像や絵などを配布・掲示すること
  • 強制わいせつ行為


また、以下の言動もセクハラとみなされる可能性があります。

 

  • 性別役割分担意識に基づく言動
    「男なのに子どもを保育園に迎えに行くのか」「女性がいれてくれたお茶はおいしい」などの発言。このような言動は、セクハラの原因や背景になり得ると考えられています。
  • 性的性質を有する言動
    本人の意志に関係なく、相手の性的指向や性自認を決めつけること。


セクハラは、男性から女性に対してや上司から部下にだけ行われるものではありません。上記のような言動は、性別や役職関係なくセクハラです。

 
 

◆環境型セクハラの事例


具体的にどのような内容が環境型セクハラに該当するのか、事例を紹介します。

 

  • 上司が妻との性生活の不満を面白おかしく話している声が聞こえてきて、精神的苦痛を感じる
  • 上司がパソコンのスクリーンセーバーにグラビアアイドルの画像を大きく表示させている。見る度に不快になり、業務に支障が出てしまう
  • 別部署の先輩が体に触ってくる。その人が近づくと逃げるようにしているため、業務に集中できない


これらの内容は、行為者が性的な言動をコミュニケーションの一環だと思い込んでいるケースもあります。そのため、当事者同士でやりとりするよりも企業としての対策が必要です。

 
 

対価型セクハラとの違い


対価型セクハラとは、労働者が相手の性的な言動に異を唱えるなどした結果、降格や減給、配置転換などの不利益を受けることを指します。上述した環境型セクハラから発展することもあり、より悪質な事案といえます。
 
具体的には、以下の項目が挙げられます。

 

  • 労働者が上司から身体を触られて抵抗したところ、当該労働者にとって不利益となる配置転換が行われる
  • 上司や同僚の性的な話に苦言を呈したところ、チームメンバーから外される


対価型セクハラは人事に関わる事案で発生しやすい傾向があります。

 
 

環境型セクハラ・対価型セクハラを防ぐには


セクハラが行われる現場では「あの人はああいう性格だから、悪気はないと思うよ」とセクハラ行為を「加害者個人の性格の問題」として捉えられることも少なくありません。企業として、環境型セクハラ・対価型セクハラを防ぐ取り組みが必要です。

 
 

◆セクハラに関する職場の意識啓発


行為者はもちろん、企業全体の意識啓発を行いましょう。ハラスメント研修を行い、セクハラに関する知識や価値観をアップデートさせることが重要です。セクハラが起こる原因や背景について理解を深めることが、セクハラの防止につながります。
 
情報や価値観は刻々と変化するため、定期的な研修は欠かせません。社内報や社内ポータルサイトなどに情報を掲載するのも一案です。

 
 

◆セクハラへの処分について文書化する


性的言動に対する処分の内容を明らかにするなど、セクハラに対する方針や懲戒規定を定めて文書化し、労働者に認識させます。

 
 

◆社内コミュニケーションの見直し


恋人の有無や結婚など、プライベートなことに踏み込みすぎるとセクハラにつながってしまう可能性もあります。あくまでも仕事仲間として付き合うなどの配慮を職場内に求めましょう。

 
 

◆相談窓口の設置


企業にはセクハラの相談窓口の設置が義務づけられています。一般的に、社内窓口は労務担当者が担います。被害者から相談を受けたら、被害者と行為者、必要に応じて第三者の意見を聞いた上で企業としての対応を客観的に判断します。
 
このときに気をつけたいのが、当事者のプライバシーを守ること。社内窓口に相談した結果、本人が望まない異動や噂が広まるなど、被害者が二次被害を受けることは避けなければなりません。セクハラに関する知識や相談への対応方法など、相談担当者の研修も必要です。
 
職場の秩序を保ち労働者を守るためにも、一時的なセクハラ対策では効果がありません。定期的に社内に啓発をして、環境型・対価型セクハラの防止に働きかけましょう。
 
(参考)
厚生労働省「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2020年9月時点のものです。
 
<取材先>
寺島戦略社会保険労務士事務所代表 社会保険労務士 寺島有紀さん
 
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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