2024年に創業120周年を迎える有限会社竹内産業。埼玉県吉川市で畳の製造に携わってきましたが、人々の生活スタイルの変化で畳の需要が減少し、難しい経営の舵取りを迫られています。事業領域の拡大や新商品開発をはじめとした、社会やニーズの変化への対応において、人材採用も重要なポイントになってきています。社長の竹内武さんと、後を継ぐ竹内健登さんに人材採用の課題と対策を聞きました。

畳製造業界の状況と課題

■ 後継者不足に悩む畳業界。事業の継続を図るには

竹内武さん写真

竹内武さん(以下、武さん) 畳の需要は、和室の減少に伴って20年以上前から低下傾向にあります。我々の工場でも、かつては当たり前のように、1日に300枚を超える畳を何台ものトラックで出荷していましたが、今では1台分も出荷するかどうかという状態です。以前はマンションでも1-2部屋は和室がありましたが、最近では全くないところも少なくありませんから、需要の減少は仕方がないところかと思います。

竹内健登さん(以下、健登さん) 農林水産省のデータによると、2005年ごろまでは畳表の国内供給量は3000万枚程度ありましたが、東日本大震災からの復興による一時的な需要増加を除いて、供給量は減少傾向にあります。ちなみに、現在、畳表の約80%は中国からの輸入品で、国産の「い草」は20%程度。そして国産のほとんどが熊本県で生産されています。

竹内産業倉庫写真

武さん こうしたなかで、将来の展望もなかなか描けず、新しい働き手が集まらないという状況も年々深刻になっています。事業を継ぎたいという跡取りも少なくなりました。

我々の業界には畳高等職業訓練校というものがあり、訓練生のほとんどは畳製造業者の跡取りたちでした。同校を卒業すると、国家資格である畳製作技能士の2級の資格が取得できます。卒業後は認可を受けている事業所に一定期間勤めて実務の経験を積み、自身の事業所に戻るという流れになっています。

畳の製造事業には有資格者が最低でも1名は必要なため、多いときには20人から30人の跡取りが学んでいたのです。ところが10年ほど前から訓練生が急速に減り、最近では年に1人か2人しか入学がないと聞きます。

訓練校の実情が示すように、跡取りがいないため廃業する同業者が後を絶たず、10社程度あった吉川市の畳製造業者も、現在では当社だけとなってしまいました。竹内産業は1904年の創業。120周年を迎える2024年までは何としても事業を続けたいと考えていたところ、数年前に孫が引き継ぐと言ってくれ、一先ずは安心というところです。

健登さん 障子や襖、網戸などのリフォームも手がけることにし、畳だけに頼るのではなく、和室に必要なものをすべて扱う方向に事業を広げています。また、「置き畳」や「フロア畳」などと呼ばれる薄くて軽く、好きなところに置ける畳が、インテリアとして改めて注目されるようになってきています。当社も、い草ではなく和紙を使った新しい感覚の置き畳を開発しました。積極的に展開するために、専用の製造機械の導入などを計画しているところです。

Indeedの利用に至るまで

■ 応募者との間にあるギャップを解消するために

畳製造作業写真

武さん 竹内産業は私を含めて従業員数7名の会社で、スタッフの募集は常に行ってきたのですが、先ほど申し上げたように、事業を広げたこともあって人材の確保はより急務となりました。

ハローワークをはじめ、新聞折り込みの求人広告を出したり、人材派遣会社に登録したりしましたが、残念ながら応募そのものが少なく、面接にまで至ったのが数年で5名ほど。加えて、ようやく採用にこぎ着けても「作業がキツイ」「仕事がイメージと違う」などの理由で、長続きしないケースが続きました。

昔の畳は土台になる「畳床」に藁を使っていたのでかなり重く、畳の製造には力仕事という側面はたしかにありました。しかし現在はポリスチレンフォームを使用しているものが多く、重量は半分程度になっていて、女性でも持ち運びできます。また、畳の製造工程に関して、特に当社はほとんど機械化しているので、技術や経験がなくても仕事に就いていただくことは可能です。かつては一人前になるまでにそれなりの修業期間が求められましたが、それも短縮されたと感じています。そうした環境や状況については応募者に伝えたつもりでしたが、どこかでギャップが生じていたのでしょう。

健登さん 人材の採用が思うように進まない中で、茨城県の同業の社長から紹介されたのがIndeedでした。その会社では、Indeedだけで人材を確保できているとのことだったので、じゃあ当社でも使ってみようと。2022年7月からまずは無料投稿で求人掲載をスタートしました。

実はその社長は埼玉県の畳高等職業訓練校の出身で、訓練生時代に当社で1年間の実習経験があり、私が事業を引き継ぐと決めた際には、逆にその社長のもとで仕事を学びました。このように我々の業界には訓練校と修行制度をベースとしたネットワークがあり、定期的に情報や技術などの交換を行っています。Indeedの利用にあたっても、茨城の会社で使っているジョブディスクリプション(職務記述書)を共有してもらい、そこにIndeedの担当者からのアドバイスなども加えて、当社に合わせたものにカスタマイズして使っています。

Indeed利用のポイント

■ 求人情報掲載の自由度の高さは中小企業にとって大きなメリット

竹内健登さん写真

武さん Indeedへの掲載を始めるに当たって特徴的だと感じたのが、記入項目の多さです。これまで利用してきたサービスでは給与や勤務時間といった定量的な項目を明確に記載するようにはなっていましたが、Indeedでは仕事内容などの定性的な項目について詳しく記載する形でした。これまでは「求人を出す」といえば前者のような、いわゆる「募集要項」をイメージしていました。しかし、今は後者のように、求職者がより仕事内容をイメージしやすいよう詳細に書かれたものが求められており、それを「ジョブディスクリプション」と呼ぶことをIndeedの担当の方に教えてもらいました。

ジョブディスクリプションを作成したことで、仕事についてかなり細かく伝えられるようになり、先ほど申し上げたような応募者とのギャップが小さくなっていくことを期待しています。

実際の効果については、Indeedは掲載している求人情報がどれだけ見られているかなどがいつでも確認出来るので細かくチェックをするようにしていて、2022年7月の無料投稿での掲載スタート時点から思った以上の反応があって手応えを感じていました。その間は採用には至らなかったのですが、繁忙期に当たる年末年始に向けて1名でも早めに採用したいと思い、11月には月額約5万円の有料オプションを利用したところ、2023年1月現在までに平均して月に3人の応募がありました。Indeedを利用する以前は、数年かけて5名の応募がやっとだったことを考えると大きな変化です。

社内写真

健登さん 応募者との間のギャップが課題だったので、ジョブディスクリプションも可能な限り正確に記載することを意識しました。そのことも応募が増えたポイントかと思います。作業の大半は機械が行い、畳自体も軽量化が進んでいること。加えて、畳製作技能士をはじめとした資格や実務経験は必要ないことを推しつつ、それでも力仕事は発生すること明記しています。

正確な情報を意識しつつ、盛り込むべき内容や表現については閲覧数の動きに合わせて、微調整を繰り替えしています。他の求人媒体やサービスではサービス側にお任せとなるケースが多いかったのですが、Indeedは事業者側の自由度が高く、柔軟に活用できて無駄がない点が大きなメリットだと感じています。自分たち自身で手を動かす必要はあるのですが、その分、今の状況を把握できますし、人材採用の予算に限りのある中小企業にとっては小回りが利き、予算を効率よく活用できる点が非常にありがたいですね。

また、人材の募集にあたって年齢を制限していないこともあって、応募者は20代から40代と予想以上に幅広いものになっています。多様な年代の求職者が利用しているサービスであることも、特長の一つかと思います。

武さん 農林水産省のアンケート調査によると、90%以上の人が畳の香りが好きだと回答していますし、置き畳を使用してみたいという人も75%に上ります。また、い草の抗菌作用や、畳の保温・断熱機能、湿度調節機能などを評価する声も上がっています。オジサンが楽しむものと思われていたサウナが、若い人たちの間で人気を集めるようになった例もあるので、畳は重くて古いというイメージの払拭に努めるとともに、魅力や価値を伝えることができる商品の提供に取り組みたいと思っています。そのためにもIndeedを通じて、新しいスタッフの力を借りる必要がありますね。

健登さん Indeedへの投稿には、「日本の伝統に携われる」という文言をつけています。和室には、畳をはじめ伝統文化や技術がつまったものがいろいろとあり、それらを継承し、支えていくという思いを求人票に込めているのです。それに共感してくれる応募者を待っています。

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ジョブディスクリプションの内容に関して、eBook内で詳細を掲載しています。

ぜひ以下のフォームからダウンロードしてください。