現役採用人事の本棚 私の3冊(第24回:ブックオフグループホールディングス)

現役採用人事の本棚 私の3冊(第24回:ブックオフグループホールディングス)

中小企業の採用人事部は、担当者の人数が少なく、問題を一人で抱えがちです。解決のために書籍を頼ることもあるでしょう。連載「現役採用人事の本棚 私の3冊」では、採用人事に役立つ本を、現役の採用人事担当者から紹介しています。今回は「本を売るならブックオフ」のキャッチコピーでリユースチェーンを展開するブックオフグループホールディングスのグループ人財開発部長・野村進一さんに聞きました。

 

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第24回 ブックオフグループホールディングス株式会社 野村進一さん

 

【プロフィール】
採用人事の業務歴:10年以上
担当業務:新卒採用の計画立案、計画に基づく母集団形成から内定、入社までの行動計画立案の作成。
 
ブックオフグループホールディングスは、「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」をミッションとして掲げ、全国で本やおもちゃ、スポーツ用品、家電などのリユース品を販売する。
 
野村さんは2000年に同社へ入社。2007年から新卒採用に携わるようになり、採用、研修、制度設計、給与実務などを数年ずつ担当した。2019年からグループ人財開発部長を務める。

 
 

採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?

 

◆『ドキュメント宇宙飛行士選抜試験』

(大鐘良一、小原健右著/光文社)
 
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2008年に募集した国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の選抜試験密着レポートです。NHKの番組スタッフが取材しています。
 
応募者と採用側の理屈と気持ちが丁寧に描かれている一冊で、採用人事として、「人を選ぶ」立場の人は、読んで損はないと思います。
 
印象的なのは、「なぜならば面接というものは、つまるところ『この人間と一緒に働きたいかどうか』を見ているものだからである」という言葉です。当社は、面接で具体的な評価基準を設定していますが、「『この人と一緒に仕事がしたい』と思える人を採用しよう」という共通認識を持っています。その考え方が、宇宙飛行士の選抜試験でも同じだとわかり、新たな仲間を迎えるときの互いの熱意の重要さを再認識しました。

 
 

◆『SLAM DUNK 22』

(井上雄彦著/集英社)
 
同作はバスケットボールを題材にした漫画で、1990年から1996年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されました。アニメ化や映画化もされている人気作品です。
 
私が取り上げる22巻では、バスケ部の監督を務める安西光義先生の過去の教え子とのエピソードや、「自称天才」の主人公・桜木花道が安西先生と共に、秘密の特訓として2万本のシュート練習に励む様子が描かれています。印象的なのは、桜木が動画で自分のシュートフォームを見て、あまりの下手さにショックを受けるシーンです。
 
私はこの本に出合うまで、人に何かを教えるとき、うまくいくのも、いかないのも、相手との相性が原因だと思っていました。でも、安西先生の教え子とのエピソードや桜木が自分の下手さに気づくシーンを見て、気が付いたんです。
 
教える側は、教えている相手から受け入れてもらえなければ、何を言っても意味はない。そして、教わる側は、まず自分が出来ていないことを自覚しなければ、練習する気にも、人の話を聞く気にもならないということです。
 
この漫画に出合ってからは、教える側、教わる側の両者が互いを受け入れる時間が大切なのだと気づき、勤務中も意識するようになりました。

 
 

◆『徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男』

(木村元彦著/小学館)
 
本書は、日本のサッカー選手を育成する礎を築いた今西和男さんについて書かれたノンフィクション小説です。
 
現在はサッカー日本代表監督を務める森保一さんも、当時無名だった高校生時代に、今西さんからスカウトされています。本の中で、今西さんは当時のことを、「この年の高校生が大人と向き合って話をすると、ふつうは5分もすると集中力が無くなって飽きるんじゃが。こいつはしっかりと目を見てくるのう。集中力がある奴は可能性がある。たちまちサッカーはまだ上手くないが、伸びていくじゃろう」と振り返っています。
 
このとき、将来は日本代表の監督となる森保さんの素養を見出していたのだとしたら、すごいと思いませんか?
 
人を育てる機会は、学校や職場、家庭など様々な場所にありますが、私自身は父親になったときにどう子どもと向き合うか考えることが増えました。この本を読んでからは、「正面から向き合い続ければ、それでいいのではないか」と思えるようになったんです。
 
今西さんの域に達するような人財育成ができているとはまだ思えませんが、「世の中には、今西さんのように、人を磨き続けた人物がいる」と思うと、「自分でも、もっとできることがあるのでは」と奮い立ちます。「人を育てる」という意味がずしりと響く一冊です。

 
 

【自社での取り組み紹介】応募者の本質を見極める


当社は小売業として、店頭でお客様と接する機会も多くあります。ですから、採用人事は、応募者や社員の「面白い」と思う感覚や、お客様と近い価値観を持つ「人間性」を重視しています。
 
人間性を見るためには、まず表情が大切です。面接では、応募者の素の表情を見せてもらうために、冗談を言ったり、相手の好きなことについて話したりと、工夫しています。
 
また、「人と協力して一緒に仕事がしたい」と語る応募者は多いものですが、それが本心から言っていることなのか、気持ちを裏付けるエピソードを聞くようにしています。例えば、ある出来事に対して応募者自身は何を感じたのか、その後の行動に変化はあったのか。ストーリーに一貫性があるかを見ています。
 
仕事をしていると、つらいことも多々あります。私自身、不振店舗の立て直しのため店長に就任し、スタッフがどんどん退職するなか、精神的にも体力的にもきつい日々が続いたことがありました。しかし、あるお客様が「この店、なんか雰囲気変わったな」と口にされたんです。それを聞いて、「この頑張りは必ずいい結果につながるはずだ」と信じられました。
 
お客様と接する職種は、人とのつながりが一番大切です。どうすれば、その人となりをつかむことができるか。採用人事担当者として、工夫を重ねています。

 
 
 

TEXT:ゆきどっぐ
EDITING:Indeed Japan +ノオト

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