現役採用人事の本棚 私の3冊(第21回:コミュニティコム)

現役採用人事の本棚 私の3冊(第21回:コミュニティコム)


連載「現役採用人事の本棚 私の3冊」では、中小企業の採用人事担当者におすすめの本を、現役の採用人事担当者が厳選し、紹介しています。今回お話を伺ったのは、株式会社コミュニティコムの代表取締役・星野邦敏さんです。

 
 

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第21回 株式会社コミュニティコム 星野邦敏さん

 

【プロフィール】
採用人事の業務歴:約14年
担当業務:代表取締役として、正社員とアルバイトの採用を担う。人事計画、人材募集、面談など、一連の採用人事業務を責任者として社員とともに担当する。
 
株式会社コミュニティコムは、コワーキングスペース、シェアオフィスなどの不動産運営事業のほか、自社メディアの運営やWeb制作、WordPressテーマ・プラグインの制作・販売、スマートロックを活用した入退出管理サービス「むじんLOCK」などのクリエイティブIT事業、農産物の販売、障がい者福祉施設の商品販売を担うNPO法人の運営などを行う。
 
星野さんは、大学卒業後に約5年間自宅に引きこもった後、2006年に投資ファンドを併設した税理士法人へ入社。会計・税務・監査を担う。IT事業の副業収入が1,000万円を超えたため、2007年12月に退職し、2008年1月同社を設立した。

 
 

採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?

 
 

◆『マネーの拳』

(三田紀房著/小学館)
 
著者は漫画『ドラゴン桜』(講談社)を描いた三田紀房さんです。本書では元ボクシング世界王者の主人公がゼロから起業して会社を成長させていく様子を全12巻の単行本で描いています。
 
この漫画に出会った当時、私は埼玉県の大宮駅近くに、コワーキングスペース「7F(ナナエフ)」という創業支援施設を開業しました。「これから何かやりたい」と考えている利用者とスタッフが、円滑にコミュニケーションが取れる方法を考えていた頃で、この漫画をスタッフにも読んでもらった記憶があります。
 
印象的な名セリフがいくつもありますが、私は特に、「商売するなら絶対に人のせいにするな。失敗はすべて自分の能力不足。」(2巻)、「アイデアつうのは、結局思いついたやつしかその本質はわからねえってことだ。」(4巻)、「やり終えた頃にはそれまでのゴタゴタはきれいに消えてなくなってる。そういうふうにできてるんだ、会社なんてものは…」(11巻)が胸に響きました。
 
「社長の気持ちを分かってほしい」とため息交じりに話す人に出会いますが、難しい話ですよね。その点、この漫画では社長の立場や考え方がイメージできるように感じます。中小企業や創業社長の会社に勤めている人には、採用の参考にもなるでしょう。

 
 

◆『小さなお店&会社のWordPress超入門~初めてでも安心!思いどおりのホームページを作ろう! 改訂2版』

(星野邦敏、吉田裕介、羽野めぐみ、大胡由紀、清水由規、清水久美子、山田里江、リブロワークス著/技術評論社)
 
WordPressの使い方を解説している本です。WordPressはプログラミングの知識がなくてもホームページを作成・公開できるソフトウェアで、気軽に情報発信が行えるため、自社ホームページの開設に便利なツールです。
 
本書は、中小企業の社長をしながら採用活動も担う事業者に向けて、「情報発信がしたい」と思った時に役立つ本にしようと、私と当社社員が約1年掛けて書きました。社員の名前も筆者として出した理由は、転職活動をする際に実績として役立つからです。結果として、副業でブックライターをする社員が出てくるなど、当社で働きつつ、やりたいことに取り組める体制作りにつながりました。
 
中小企業の採用では、ただ待っていても応募が来ることはありません。企業が積極的に情報発信をして、求人をアピールすることが必要なのです。当社の求人は、すべて自社ホームページからの応募ですが、WebサイトやSNSを通じて情報発信を心がけた結果、求人枠が1人の募集に対して5〜6人の応募が来るようになりました。
 
本書の第4章「文章と写真を投稿しよう」では、投稿と固定ページの違いや画像の挿入方法など初心者が読んでもわかりやすいように工夫しています。自社ホームページを作る際に、参考になると思います。

 
 

◆『記者ハンドブック 第14 版』

(一般社団法人共同通信社編著/共同通信社)
 
「正しい日本語で伝わる文章を」がコンセプトの新聞用字用語集です。2022年3月、6年ぶりに大改訂されました。
 
本書を手にしたのは、地域情報を届けるニュースサイト「みんなの経済新聞」の「大宮経済新聞」と「浦和経済新聞」を運営し始めた頃です。きっかけはメディア運営でしたが、この本の紹介文にある「一般企業の企画・広報担当者からWEBライターまで、文章を書くすべての人にお薦めする日本語用字用語集の決定版です。」の通り、伝わる文章を書く勉強にも使えます。
 
中小企業は情報発信の努力を怠ると、求人への応募がなくなります。まずは自分たちを知ってもらうための文章スキルを磨くという意味で、おすすめします。

 
 

【自社での取り組み紹介】リモートワークで、遠方に住む優秀な人材を採用


当社ではコロナ禍前からコアタイムを設けない完全フレックス制で、リモートワークも可能、という働き方に取り組んでいました。結果として、介護や子育てと両立できる勤務形態や短時間勤務制度の確立などの実績が認められ、2017 年には埼玉県の認定事業「多様な働き方実践企業」のゴールド企業に認定されています。
 
リモートワークができるのは、中小企業という立場から考えると、事情があって田舎に住む優秀な人材を採用しやすいメリットがあります。実際に、当社では社員の半数が本社のある埼玉県さいたま市周辺、残りは遠方に住んでいる構成となっています。
 
普段は、チャットツールやオンライン会議などでコミュニケーションを取っていますが、実際に会う機会も定期的に設けています。その際は雑談することも大切です。「もうすぐ親族に子どもが生まれそう」など普段のオンラインコミュニケーションでは得にくい情報を知ることができ、互いの状況が理解できます。そうすることで、リモートワークがしやすくなるのです。もちろん、交流の費用などは全て会社が負担しています。
 
アルバイト採用では、面接に社員やアルバイトスタッフも同席してもらい、1人に対して1〜2時間の面接を行います。全員が採用と決めたら採用。「採用したくない」という意見が1人でも出たら不採用です。一見非効率に見えるかもしれませんが、おかげで採用後の離職率はほぼゼロ。大学卒業などそれぞれの離職するタイミングまで働いてくれます。
 
一方、難しいのは、面接に同席したスタッフと意見が分かれた時です。自分の判断を優先するか、社員の意見を優先するか。現在は、全員が採用と判断した人のみを採用する方針で定着しましたが、どうしても私が個人的に一緒に仕事がしたいと決めた場合は、別法人で関わってもらうこともあります。
 
大学生の頃にアルバイトスタッフとして関わってくれた子が、新卒で大手企業に就職し、その後、当社に正社員で戻ってきてくれたときはうれしかったですね。人との出会いが楽しめるのも、採用人事業務の醍醐味だと思います。

 
 
 

TEXT:ゆきどっぐ
EDITING:Indeed Japan +ノオト

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