幹部候補になる人の条件とは? 選抜方法や育成方法を解説

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将来的に経営を担う幹部候補を早めに選抜することは、企業経営の安定につながります。幹部候補をどのように見極め、育成していったらいいのでしょうか。幹部候補に必要な知識や能力、選抜方法や育成方法について、株式会社ラーニングエージェンシー・組織開発コンサルティング本部マネージャーの根本博之さんに伺いました。

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幹部候補とは

「幹部候補」とは、将来的に社長の右腕・左腕として、経営を担うことを期待されている人材のことです。
 
そもそも「幹部」には明確な定義がないため、特定の役職以上から選出すべきなどといった決まりはありません。企業ごとに幹部候補の条件は異なりますが、社長と強みが同じではなく、補完関係になれる人物を起用することで、より企業の安定につながります。

 
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幹部候補が必要な理由

昨今、多くの企業で早い段階で幹部候補を見出し、育てていこうという風潮が強くなっています。主な理由として、以下が挙げられます。
 
1.安定した企業経営の実現
経営を担える人材は一朝一夕では育ちません。知識や技術の習得はもちろんですが、特に大切なのが「思い」を育てることです。経営を担う幹部には「企業理念の理解と共感」や「経営に対する当事者意識」などが必須なため、早くから自分ごととして仕事に取り組む姿勢を身につける必要があります。
 
2.幹部候補となる人材の確保と定着が難しい
時代的な背景として、人材不足が問題であり、後継者の不在に頭を悩ませる中小企業は少なくありません。早い段階で将来的に経営を担う人材を見極め、意図的・計画的に育てていく必要があります。

幹部候補に求められる能力

企業によって幹部候補に求める能力は異なりますが、共通していえるのが次の5つです。
 
1. 企業の根源的な思想や価値観への深い理解力と社内伝達力
経営理念・ビジョン・ミッション・方針などへの理解と共感は必須です。また、これらをわかりやすく、かつ共感を得られるように社員に伝える能力も大切です。
 
2.内外部環境の把握力と課題を特定する力
常に変化する企業の内部環境や外部環境を把握した上で、任された部門だけでなく自社の課題を自ら発見し、特定する能力です。
 
3.特定した課題を解決する施策の立案と実行力
多くの企業が幹部候補に求めるのが行動力です。特定した課題を解決するための施策の立案・提言、および自らが率先して社員を巻き込みながら実行・推進できる能力です。
 
4.中長期視点で物事を俯瞰できる力
安定した経営を長く続けていくためには、目の前のことだけでなく中長期の視点で物事を俯瞰できる能力も必須です。
 
5.好影響をもたらす日々の言動力
社員にとって幹部の言葉は企業の言葉です。ネガティブな発言は企業全体の空気を悪くします。企業の業績にも直結するので、社員に好影響をもたらす言動ができるかどうかも重要なポイントです。

幹部候補の「選抜方法」と注意点

幹部候補の選抜方法にはいくつかの種類があります。どれか一つではなく、複合的もしくは段階的に取り入れましょう。
 
1.経営陣や部門長の推薦
経営陣や直属の上司が、日頃の言動や成果を見て判断する方法です。多くの企業で取り入れています。
 
2.人事評価
数年間の人事評価を参考に判断する方法です。人事評価制度が整っている大企業が取り入れています。
 
3.多面(360度)評価
1と2は幹部候補より上の立場からの評価ですが、それを含め、部下や後輩からの評価、同僚からの評価など、多面的な視点で判断する方法です。最近、取り入れる企業が増えています。
 
4.診断テストによる評価
診断テストの結果で判断します。幹部候補として必要なスキルを定量的に診断できるサービスを提供している企業があるので、それらを利用してください。
上記の結果を踏まえた上で選抜の際に気をつけたいのは、「能力だけで選ばない」ことです。たとえば、売上の半分を稼いでいる凄腕のセールススタッフだとしても、企業に対する価値観の共感が薄かったり、ネガティブな発言や独善的な発言が多かったり、人格面に問題があると他の社員の離職につながる可能性があります。

 
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幹部候補の「育成方法」と注意点

幹部候補の育成方法として、主に以下があります。
 

◆育成方法

1.経営層や上司との定期的なミーティング
企業の根源的な思想・価値観への理解や共感を深めるためには、上司との1on1や経営層との懇談会などが効果的です。
 
2.自社オリジナルの育成プログラムの実施
「自社の中長期経営計画を考える」など、自社が求める人材に必要な能力を高める課題を定期的に実施します。
 
3.専門家による研修を実施
外部から専門家を招いて研修を行うのも効果的です。

 

◆注意点

幹部志向のない社員の離職や幹部候補から外された社員の不満を防ぐため、幹部候補の育成を実施する前に検討しておくべきことがあります。あらかじめ「幹部候補研修」と銘打って行うのか、多くの社員を対象とする「管理職研修」など別の名目で実施し、幹部候補の選抜は裏目的にするのかという点です。
どちらを選ぶかは企業のカラーにもよりますが、公表して行う場合は次の点を見極めましょう。

 

  1. 幹部候補と伝えることで、候補者のモチベーション維持・向上につながる。
  2. 候補に選ばれない社員(特に幹部候補と同じ層の社員)のハレーションが起こらない。

「競争」ではなく「共創」が大切

幹部候補の選抜および育成というと、個人の能力アップに注力してしまいがちです。しかし、もっとも大切なのは、候補者が幹部になったときにいかに他の経営陣たちと協力体制を組めるかどうかです。
 
個人の能力開発だけでは「競争」になってしまいます。幹部候補の育成は「共創」を作り上げるトレニーングを加味しながら、「経営チームを育てる」ことを意識しましょう。

 

※記事内で取り上げた法令は2023年2月時点のものです。
 
<取材先>
株式会社ラーニングエージェンシー 組織開発コンサルティング本部マネジャー 根本博之さん
 
事業会社を経て、2010年に株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション)に入社。大阪支社の立上に参画し、営業リーダーとして支社年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。その後、マーケティング部門・OJT部門および中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。現在は社内能力開発・組織開発部門および講師派遣型研修事業の責任者として活動中。
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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